「暴力で破壊し尽くされる意味知る街」広島で、パレスチナ女性が演説

興野優平
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 パレスチナ人が「土地の日」と呼ぶ3月30日、パレスチナ解放を求めるデモが広島市の本通商店街などであった。ガザへの攻撃を続けるイスラエルに対し、デモ隊は「虐殺やめろ」などと叫びながら原爆ドームまで行進。パレスチナ人の両親を持つララさん(27)がスピーチし、「私たちは沈黙するわけにはいかない」と話した。

 ララさんはヨルダン生まれ。イスラエルによる占領に伴い、父は7歳でパレスチナを追われた。母とララさんは現地に住んだ経験がないが、「家族がパレスチナの話をしてくれたし、パレスチナ人作家の本を読み、音楽を聴いて育った」とララさん。足を踏み入れることのかなわない故郷への思いが募った。

 カナダの大学を卒業した後、ヨルダンに3年住み、昨秋から広島市内で働く。初めて平和記念資料館を訪れて原爆の被害を知り、「ガザでいま起きていることを見ているようだ」と感じた。状況は違えど、同じ痛み、同じように破壊された街並みがそこにあった。

 スピーチでは「私は今日、暴力によって破壊し尽くされることの意味を知る街にいる」と話を始め、「広島のように、パレスチナも忘れることを拒み、抵抗をやめることを拒む」と訴えた。

 土地の日は、イスラエルによる土地の強奪に抗議していた6人が殺された1976年3月30日の事件に由来する。パレスチナでは毎年この日に抵抗運動があるという。

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この記事を書いた人
興野優平
広島総局|県政担当
専門・関心分野
文芸、核、人口減少、ジェンダー
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

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