大国による「勢力分割」でロシアに共鳴か 北米にこだわるトランプ氏
小泉悠・東京大学准教授
ウクライナへの全面侵攻に停戦をもたらそうとしているトランプ米大統領は、本当に世界平和への道を進んでいるのでしょうか。3年以上にわたって侵攻をウォッチしてきた軍事アナリストの小泉悠さんは、ロシアのプーチン大統領とトランプ氏は一つの世界秩序イメージを共有している可能性があると語ります。一握りの大国が周辺諸国を支配しながら世界を分け合う「勢力圏分割」の未来図とは。
戦争目的の達成、遠のいたロシア
――ロシアの軍事に詳しい研究者として、この3年余り、ウクライナ侵攻を見つめてきましたね。トランプ氏の停戦交渉をどう見ていますか。
「撃ち合いの止まる可能性は今、この3年間の中では最も高くなっています。米国が現実に停戦を目指しており、ロシアにとっても戦争は成算の見えないものになっているからです」
――見えないとは?
「戦い続けても当初の戦争目的を達成できそうにないのです。ロシアの戦争目的は根本的には、ウクライナが独立状態にあることをやめさせることです。しかし実は、ロシアがこの1年間に新たに拡張できた支配地は、ウクライナの国土の1%くらいに過ぎません」
「膨大な死者を出しながら1年で1%だとしたら、あと何年戦争を続けなければならないのか。『戦場』では勝っているけれど、勝っても勝っても『戦争』に勝てる見通しが得られない。その状態が続くことはロシアにとって好ましくないことになっていました」
「過去の戦争との比較で言えば、日中戦争での旧日本軍や、ベトナム戦争での米軍に似た状態とも言えます。個々の戦場では優勢なのだけれど、戦争目的は達成できない状態です」
「そこへトランプ政権が登場し、ウクライナに降伏を迫る勢いで停戦を持ちかけてきた。プーチン氏には好条件に見えたはずです。ただ、やはりそのまま進むこともなかった。ロシアも簡単には戦闘を止めることはできないでしょう」
プーチンが停戦で狙うものとは?
――停戦で何を獲得しようとしたのでしょう。
「ロシアが一方的に併合を宣…
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