海への憧れに突き動かされ 「海なし県」出身記者が瀬戸内の島に思う

高松総局・内海日和 2023年入社 高松市政 教育 離島担当
[PR]

 「瀬戸内にぴったりの名前ですね」

 2年前、高松総局に赴任してから名刺を交換する際、度々言われてきた言葉だ。

 そんな言葉をかけてもらった後、私は決まってこう続ける。

 「埼玉県出身なので、海とは全く縁はないんですけどねえ」

 だからだろうか。穏やかな海に囲まれた地に住み始め、海への憧れが私を突き動かした。

 船で移動する非日常感。島に残る豊かな自然。瀬戸内国際芸術祭のアート作品。それらを求めて、休日も、香川県に24ある有人島に通うようになっていた。

 そのかいあって、2023年9月からは「離島担当」を拝命した。島々を取材し、「きょうも島びより」という不定期連載も任されるようになった。

 島を取材する前に、必ず調べるものがある。

 人口と高齢化率。

 どの島も、人口減少が著しく、若手が少ないのが現実だった。振り返れば、連載でどんな話題を取り上げた時も、根本には常にその二つがあったように思う。

 「猫の島」として知られる佐柳(さなぎ)島(多度津町)では、不妊手術が追いつかず、いつのまにか、島民30人に対して猫の数が100匹以上になった島の未来に、問題提起をした。

 県内最大の小豆島土庄町、小豆島町)では、人口が減るなかでも「島で子どもを出産したい」という希望をかなえるために、新しいお産のシステムを構築した医師らの思いを記事にした。

 高齢化率が80%以上の広島(丸亀市)に移住した大学生が、島の生活を支えるNPOに就職したことを希望として紹介したこともある。

 最初は海への憧れから巡り始めた島も、取材を続けるにつれて、見え方が変わってきた。

 島で今起きていることは、いずれ高松で、日本全体で、起きることなのかもしれない、と。

 だからこそ、瀬戸内の島々で起きている問題も、新しい取り組みも、伝えたい。そんな思いで島を渡り歩いている。

 5年後、10年後、私が取材した島の姿や人口は様変わりしているだろうと想像する。その変化を逃さず伝え、記録していきたい。

 それがこんな名前を持つ自分の使命だ。

 そう、勝手に思っている。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら