2014-09-17

浮気をした。

特に不満はない結婚生活だった。セックスレスでもない。経済的にも恵まれている。

ベランダにはためく二人分の洗濯物を見ながら幸せだなあと思えていた。本当に。心から

そもそも、私は浮気したいと思ったことが一度もなく、それは一体どんな心持ちなんだろうと不思議に思っていた部類の人間だった。

ある日、よく行く店で出会った隣の人と映画音楽趣味の話が合った。何度か店で会ううちにDVDを貸してくれた。

それらはとてもおもしろくて、会うたびに感想を言いあっては笑って、もっとゆっくり話したいと思うまでにそう時間はかからなかった。

学生時代に好きだった人ともこんなことをしていた私はまるでその頃に戻ったみたいに思って、どこか思い出を辿るような甘ったるい気分で何度か飲みにいった。

何度目かの帰り道に抱きあった。キスしていい?といわれた。だめだよといったけれど、いざキスをされたら止まらなかった。

誰もいない夜の街で5、6歩あるいてはキスをし、それを繰り返しながら、部屋まで行った。

胸を触られながら、私、浮気するんだろうか、こんなに簡単に?浮気ってこんなものなのか?と思っていたが、事が進むうちになにも考えられなくなっていった。

彼のセックスは私の人生のなかで経験したことのないもので「セックスはこういうものなのか」と感じさせるほどによかった。

「いけないことをしている」という気持ちが拍車をかけたのかもしれないが、その後、何日か下腹の奥の感覚がよみがえり、生まれて初めて明確に自分自身の「性欲」を意識した。

話の合間に見え隠れする彼の驚くほどの気遣いと表裏一体の残酷さ、それを素直に出しすぎて多くの人に誤解されがちなところ。話をする時の声。大きくてしっかりした手。甘い匂いのする髪。

気がつけばそんなことばかり、深く考えるようになってしまったので、もう会うべきではないのだろう。

いまではベランダにはためく二人分の洗濯物をみても何も思えない。

たった一度のことで私は変わってしまったのだろうか。もう戻ることは出来ないところにいるのだろうか。

毎日さみしくてかなしくてむなしくてくるしくて泣いてしまう。旦那への申し訳なさと自分の弱さと彼のずるさに。

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