東武鉄道は7月13日、新型車両「90000系」を報道公開しました。

90000系は、9000系などの置き換えを目的に導入される通勤型車両。9月26日のデビューを予定しています。

先頭部は「今までにない形状」!? 目を引く東武90000系の外観
90000系の車両コンセプトは、「地域と人と未来をつなぐ わたし舟」。東上線エリアの人や物流のルーツが、荒川や新河岸川の「舟運」であることに着目したもので、デザインにも反映されています。
先頭部のデザインは、前面下部から反り上がるように丸みを持たせた「逆スラント式」です。舟運で使われた高瀬舟をモチーフとしたもので、車両パンフレットでは「今までにない印象に残る大胆な先頭形状」と表現されています。

前面のライト類は窓上にまとめられており、中央に前照灯、両脇に尾灯が配置されています。

車体はアルミ製で、先頭部を除き無塗装です。メンテナンス負荷低減の観点から側面カラー帯は省略されましたが、前面および側面乗降扉の窓まわりには、東上線の路線カラーであるブルーが配色されています。また、各車両1か所に設置されているフリースペースに近い乗降扉は、識別しやすいよう、他の扉よりも薄い色が使われています。


側面の車号表記では、オレンジ色が使用されています。これは「シャイニーオレンジ」と呼ばれる色で、50000系列で採用された色を踏襲しています。

床面には「枯山水」! 車内も「舟運」モチーフの90000系
車内デザインも舟運をイメージしたものとなっています。

座席は、舟体をイメージした木目柄を採用。座席端の袖仕切りは、水蒸気が立ち上がる様子をデザインした日本の伝統柄「立涌柄」となっています。また、床面は枯山水をイメージしたデザインに。これらにより、気持ちが安らぐような落ち着いた客室空間を表現したといいます。


車両前面デザインと並ぶ、90000系の特徴が、乗降扉の窓の大きさです。下端は成人男性の膝あたりという低さで、ガラスが多用された車内デザインとあわせ、開放的な車内空間を演出しています。


扉上の旅客案内表示器は、17インチの2画面タイプを採用。右側は行先や走行位置などの情報、左側は広告を表示するディスプレイとなっています。

座席前の吊り手は、高いものと低いものを交互で設置。さまざまな身長の利用者に配慮しています。
運転台は、T型マスコンハンドルと、2画面のグラスコクピットという構成。機器配置は、東京メトロ17000系のものを踏襲し、直通運転時の機器取り扱いに配慮しています。また、9000系や50070型と同様にワンマン運転に対応しており、ATO(自動列車運転装置)用などのボタンや、乗降監視用のカメラモニターなどが設置されています。



保安装置は、東上線池袋~小川町間用の「T-DATC」、東上線小川町~寄居間などに設置されている「TSP-ATS」、森林公園検修区構内用の「T-ATS-P」のほか、東京メトロ有楽町線・副都心線、東急東横線・東急新横浜線、みなとみらい線に設置されている「CS-ATC」に対応しています。
なお、森林公園検修区に設置されているT-ATS-Pは、車両基地構内運転用に機能を絞った保安装置とのこと。同検修区のほか、旧川越工場の側線に設置されているといいます。
従来の東上線車両よりもモーター車が減少! その理由とは?
90000系は10両編成ですが、うちモーター車は4両(4M6T)。モーター車と付随車の比率を示す「MT比」は2対3となります。

東武では、8000系から60000系まで、通勤型車両はMT比1対1を基本としていました。70000系でも、7両すべてがモーター車ではあるものの、車軸単位で見ると、1両4軸中2軸にしかモーターが搭載されていないため、実質的なMT比は1対1です。
しかし、2025年に登場した野田線(東武アーバンパークライン)用の80000系では、MT比が2対3となり、モーター車が減少しました。そして、10両編成で登場した90000系でも、MT比は80000系と同一となっています。
MT比が低くなった背景には、メンテナンス負荷を低減したいという考えがあるとのこと。モーター車はモーター非搭載車(付随車)よりもメンテナンスが必要な部分が多くなるため、モーター車を減らすことができれば、メンテナンスの作業量も削減できます。直通先の東京メトロでも、モーター車の比率を低くしており、90000系と同じ路線を走ることになる17000系も、10両編成時はMT比が2対3(4M6T)となっています。
モーター車は減少したものの、モーターや制御装置の性能は以前よりも向上しており、モーター車が減った分を補える性能を備えているとのことです。また、一部の台車には、レール上に増粘着材を噴射する装置を搭載しており、この装置の使用で必要な性能を発揮できるといいます。

プレスリリースでは、90000系は9000系の置き換え用として導入されると発表されています。一方、東武の決算発表関連資料や有価証券報告書では、10000系や30000系の置き換え用としても導入するとされています。

現在の東上線池袋口では、マルーン帯の9000系、10000系列、30000系、オレンジ色の50000系列と、大きく4系列が運用されています(他社車両除く)。将来、90000系の増備が完了すれば、池袋口を走る東武車両は50000系列と90000系の2系列となり、車両ラインナップが大きく変わることになります。








