【社説】皇室典範改正 無体な可決に同調した中道の不実
この社説のポイント
●皇室典範改正案がわずか3時間の審議で衆院を通過した
●中道改革連合は、是非を深く論じないまま、旧宮家の男系男子による養子縁組を法制化する改正案に同調した
●多様な民意を立法に反映させる野党の責任を果たしたとは、とても言えない
皇室典範改正案の国会審議が始まり、衆院の委員会、そして本会議で即日、可決された。与党のほか、中道改革連合などの各党も賛成した。国のかたちに関わる重大テーマが様々な疑問を抱えたまま、わずか3時間余で質疑を終えた。成立へとひた走るさまは、立法府の責任をまっとうしたとはとても言えない。
強引な国会運営の責任が政権にあるのは言うまでもない。一方、野党には政府案の問題点をただし、国民の多様な意見を立法に反映させる責任がある。衆院野党第1党の中道や、第2党の国民民主党が、その役割を果たしたとは評価できない。
中道は10日、小川淳也代表が「苦渋だが賛成したい」と表明した。ただ、その過程で迷走し、賛成にまわる理由も透明性を欠いた。
改正案は、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることを可能とし、養子の男性子孫は皇位継承の資格を持つことが明示された。
本来は、皇位継承のあり方に踏み込まず「皇族数の確保策」を決めるはずだった。男系男子への急旋回に野党は反発。中道は「女性天皇の是非や女性宮家創設の検討」などを付帯決議案に盛り込むよう求めたが、自民は拒否した。
それなのに中道は、政府が養子の子孫の条項について、将来の検討を縛らないなどと答弁したことを理由に賛成に回った。だが、これは政府が以前から明示していた見解だ。中道が改正案に賛成するための方便というほかない。
養子案について、中道には賛成、反対、様子見が混在する。党内に亀裂が走ることを懸念する執行部は、その是非を深く論じることなく改正案に同調したのが実情だ。
そのツケは、本会議の採決で数人の議員が退席する足並みの乱れに表れた。参院では、立憲民主党が改正案への反対方針を決めている。ちぐはぐな対応が、中道と参院の立憲、公明の3党による合流協議に悪影響を与えるのは必至だ。税財政や安全保障政策など今後の重要テーマへの対応にも不安を残した。
「ジェンダー後進国脱却」を掲げる国民民主にも反省を求めたい。女性・女系天皇への道を妨げつつ、男系男子の養子縁組を法制化してしまう重みを、どこまで自覚しているのか。政府案の矛盾や将来への影響を十分にたださないまま賛成するなら、安易な追随とみられよう。
皇位継承のあり方を、国民的な議論なくして既成事実化していいはずがない。来週からの参院審議では、衆院の拙速を追認しないよう、望む。
「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。
この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録











































