家賃高騰、追いやられたバルセロナ住民 都市の「富裕化」闘うべきは

有料記事

[PR]

宮下洋一さんの欧州季評

 地中海のビーチと美食、そして人懐っこい人々が暮らすスペイン第2の都市、バルセロナ。学生時代と仕事人生の大半を過ごしたこの町は、私のもうひとつの故郷だ。約3年ぶりに訪れてみると、老舗の商店やバルが消え、世界の大手チェーンの飲食店やホテルの存在感が増していた。サグラダ・ファミリア(聖家族教会)が象徴するように、ここは首都のマドリードと比べ、今も昔もモダンで、トレンドに敏感な町だ。

 国際調査会社ユーロモニター社による世界の観光都市ランキングでも、毎年、バルセロナは上位に入る。恵まれた気候やグルメの魅力もあるが、最大の利点は欧州内やその他の大陸からの出入国が便利で、格安航空便も多いことだ。陸路でフランス国境から約1時間半の距離といった地理的な環境も関係している。そんな数々の要素が詰まったバルセロナは、観光密度が世界最高とも言われている。

 近年、バルセロナは急激な都市富裕化現象「ジェントリフィケーション」に悩まされてきた。庶民的なエリアの不動産価格の上昇が進み、多くの地元民が、生まれ育った土地を泣く泣く離れざるを得なくなった。

 ジェントリフィケーションという現象は、魅力的な場所に国内外の富裕層が集まってくることから始まる。衣食住の質が高い割に価格が安かったり、IT産業に適した土地だからと高所得者らが押し寄せたりし、もともと暮らしていた労働者階級や低所得者層の生活を圧迫する。ニューヨークやロンドン、昨今ではサンフランシスコやリスボンが典型で、この現象に歯止めがかからなくなっている。東京や京都でも、その兆候が見えている。

 毎年、2千万人以上の観光客…

この記事は有料記事です。残り1550文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません