安全管理のスタッフ常駐せず 5歳児死亡のスキー場エスカレーター
北海道小樽市の朝里川温泉スキー場で5歳の男児が屋外のエスカレーターに巻き込まれて死亡した事故。スキー場の総支配人が29日、取材に応じ、当時エスカレーターのそばに、安全管理のスタッフがいなかったと説明した。北海道警が業務上過失致死容疑も視野に、安全管理体制を調べている。
事故は28日午前10時ごろ発生。駐車場からレストランなどが入る休憩施設(センターハウス)に向かうコンベヤー式の移動用エスカレーターの降り口で、札幌市東区の後藤飛向(ひなた)さん(5)が転倒。ベルトの巻き込み口に右腕を挟まれた。約40分後に救助されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。
スキー場を運営する「Sasson」の玉川謙介総支配人によると、エスカレーターは、終点にある点検用のふたに、スキーのストックなどが挟まると、非常停止装置が作動する仕組みになっていた。だが、飛向さんが腕を巻き込まれた後も動き続けた。母親は、自ら緊急停止ボタンを押して停止させたと話しているという。
エスカレーターのそばにスタッフは常駐していなかった。毎朝、停止装置が反応するか点検していたといい、トラブルがあった際は、駐車場の誘導や周辺の雪かきなどをする担当者が駆けつける運用になっていたという。
安全確保、他のスキー場では
この装置は、「スノーエスカレーター」などと呼ばれ、他のスキー場でも広く使われている。
3基を設置する道央のスキー場では、リフトに乗れない初心者が練習用の緩やかな斜面を上るための「リフト代わり」に使っている。使用時は、乗降地の両方にインストラクターを配置。手助けのほか、緊急時に即座に停止させる役割も担っているという。
小樽の事故を受け、すぐに自施設の設備の再点検やオペレーションの再確認を実施。スタッフにも事故情報を共有し、注意喚起をしたという。
10年ほど前まで設置していたという別のスキー場も使用時は従業員を配置していた。担当者は、「乗り降りの際にはトラブルが起こりうる。リフトやゴンドラの運営と考え方は全く同じ」と話した。
別のスキー場も、転倒リスクが高い「降り場」を最優先に、最低1人は人員を配置している。「屋外では屋内よりもトラブルに気づきにくい。安全面はもちろん、お客さまに不便をかけないためにも人員は必要。自分の認識からすると、『近くに誰もいない』という状況は大きな懸念がある」と語った。
そしてこう続けた。
「リフトならば国土交通省の管轄で、厳格な基準や点検などが義務付けられている。一方、スノーエスカレーターはどこの官庁の(法的な)網にもかからない。安全対策のレベルは、事業者側の判断にゆだねられている」
事故のあった現場では
冬休み期間中ということもあり、同日、スキー場には、朝から多くのスキー客が詰めかけた。現場付近では、スキー場の職員が手を合わせる姿も見られた。
スキー場近くで働く60代の男性は、「このスキー場は、スキー学習でたくさんの子どもたちが利用する。二度とこんなことが起きないようにしっかり調べて、対応してほしい」と話した。











































