「死んだンゴ」予約投稿して逝った22歳 父が語る最期の〝らしさ〟

有料記事

聞き手・小川尭洋 小田邦彦
【動画】中山奏琉さんの闘病の様子や「グエー死んだンゴ」の投稿などについて話す、父の和彦さん=小川尭洋撮影
[PR]

 希少がんと闘い22歳で亡くなった中山奏琉(かなる)さん。生前に予約してXに投稿された「最期のつぶやき」が感動を呼び、医療機関などへの相次ぐ寄付につながりました。「一度きりの『祭り』でも十分だけど、希少がんにもっと関心が集まる後押しになるのなら、インタビューにお答えしたい」。闘病の一方で学生生活を精いっぱいに楽しむ姿を見守った父親の和彦さん(48)が、感謝の思いと、未来に向けた願いを語りました。

やらない善より、やる偽善

 奏琉が、生前の予約設定で「グエー死んだンゴ」(冗談で死んだことを表現するネットスラング)と投稿したのは、亡くなった2日後の10月14日午後8時でした。

 17日の葬儀の際、奏琉の友達に教えてもらい、驚きました。奏琉と面識のない人たちが、ここまで共感してくれたり、お悔やみの言葉をかけてくれたりしたことは素直にうれしいです。一番最初に「寄付した」と表明した人や、葬儀後に新聞のお悔やみ欄の画像を投稿した人……。それぞれの善意や配慮がよく伝わってきました。

 奏琉はたぶん、意識がもうろうとしていた10日ごろ、死が近いと覚悟し、数日後の設定で予約投稿をしたんでしょうね。「最後に仲間うちで笑ってもらえるといいな」ぐらいの軽いノリだったのかなと。自分の死までネタにして笑わせようとしたのは奏琉らしいなと思いますが、それがここまで拡散するとは、本人が一番驚いているんじゃないかな。何より、北海道がんセンター(札幌市)にはお世話になったので、寄付が増える形で恩返しできたのは、すごく喜んでいると思います。

 奏琉が「偽善的な行為」のために利用されているのではないかと気遣ってくれる方々もいます。

 ただ、ぼくらとしては、それ…

この記事は有料記事です。残り3930文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
小川尭洋
デジタル企画報道部
専門・関心分野
人種差別、海外ルーツの人々、歴史認識、政治と教育
小田邦彦
青森総局|高校野球、事件・事故
専門・関心分野
スポーツ(高校野球、陸上、相撲)、法律
  • commentatorHeader
    BossB
    (天文物理学者・信州大准教授)
    2025年11月11日12時26分 投稿
    【視点】

    22年という人生はあまりにも短い。しかし、彼が残した最後の言葉と、そこから広がった善意の連鎖は、私を含め、確かに誰かの未来を変えています。 宇宙の視点で見れば、私たちの人生は一瞬の光のようなものです。その一瞬の中で、奏琉さんは自分の死すら

    …続きを読む