現場から

倒壊した町「見たくないし行きたくない」不安こぼれた段ボールの食卓

内田光
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 ガレージの真ん中。段ボールの机の上で、カップ焼きそばの白い湯気が立ち上る。

 「何か食べる? 充電は大丈夫?」

 7日夕、能登半島地震で被害を受けた、石川県輪島市の河井町地区のはずれ。自宅ガレージの前で山中功さん(51)が近隣住民に声を掛けていた。

 ガレージに積まれた食料に水、燃料。長男の雄飛さん(29)とともに釣り船を営む功さんは、客や友人から寄せられた物資を、近くの人たちと分け合っている。被災後、午前7時と午後4時ごろになるとガレージの扉を開けている。

 輪島港から約1・5キロのところにある山中さん宅の周辺は今も停電中だが、家に住める状態の人は、避難所には行かず残る人も多いという。

 この日、一緒に食卓を囲んでいたのは、近くで親子4代にわたり牛乳の卸販売業を営む水上正人さん(51)。

 「地震後初めて飲んだよ」。紙コップに注いだ日本酒に口をつけ、「町に出ると涙が出る。見たくないし、行きたくない」と話した。

 小中学校や幼稚園に給食用牛乳を卸すかたわら、個人宅配も行っていた。しかし、地震で多くの家が倒壊、配達先を失った。「輪島はお年寄りも多く、今後どれだけの人が街に残って再建するのかも不透明。100年近く続いた店を残せるか心配」だという。

 昨年、父親の功さんから、船長を引き継いだばかりの雄飛さんは、「輪島は自営業が多いが、どれだけの支援が受けられるか……」。

 地震に襲われた能登半島では、海底が隆起した場所も多いとされる。「船が出せたとしても客が戻ってきてくれるかわからない」と囲んだ段ボールの食卓で、思わず不安をこぼした。

 功さんは、金沢などに身寄りがある人には避難を勧めているという。

 「でも、自分はこの町が好きだし、残りたい」

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内田光
映像報道部
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