今日は竹芝の海辺に行った。夜だった。海は真っ黒で、でもビルの光がチカチカ反射して完全な闇じゃなかった。波が寄せては返すたびに、細かく砕けて頭から離れなかった。風が強く吹いて、潮の強い匂いが鼻の奥まで入り込んでくる。
そんな場所に立っていると、昼間の自分とか仕事中の自分とか全部遠くに飛んでいって、ただ「今ここにいる身体」だけになる。
本当に気持ちいい。
俺は本物の変態だ。ナルシストとかいう言葉じゃ足りない。家に帰ったらすぐ全裸になって鏡の前に立つ。照明を落として、自分の体をじっくり見つめる。
肩から胸、腹筋の溝、太ももの張り、全部がくっきり浮かぶ。中でも一番愛おしくて、真正面から向き合いたいのは自分のペニスだ。太くて長くて重いチンポ。血管が浮き出た太い幹は手のひらに収まらないくらい太くて、先端は大きく張り出して別の生き物みたいに脈打つ。勃起させると根元から先端まで鉄みたいに硬くなって、重々しくビクビク揺れる。俺は両手でしっかり包み込んでゆっくりシゴきながら、鏡の中の自分に囁く。
「愛してるよ」と言いながらガラスに唇を押しつけてキスする。時にはチンポを鏡に擦りつけて、鏡の中の自分と本気でセックスしてるような妄想に浸る。射精した瞬間、鏡に白い精液が飛び散って、俺はただ「ここにいる」と胸の奥で思う。勃起は俺にとってただの欲情じゃない。
自己肯定感そのものなんだ。ガチガチに勃起してるだけで「俺はまだ生きてる」「俺は俺でいい」って体が証明してくれる。
有毒なナルシズムはチンポを武器にして他人を踏み台にするやつだ。あれは脆くて、他人の視線や反応にすぐ依存して萎える。
俺のは場合は少し違ってて、静かで内向きで執拗なものだ。勃起したチンポを鏡の前で愛撫しながら、誰もいない部屋で「俺はこれで十分だ」と呟く。誰にも優位に立たなくても、誰にも認められなくても、ただ勃起してるだけで俺は満たされる。
俺の男らしさは勃起をただ「ここにいる証」として受け止める。隠さず、誇張せず、ただそこにある熱い肉棒を愛すること。俺は後者を選びたい。勃起したペニスを世界の外に置き去りにしたくない。もっとしっかり向き合いたい。見られることも、感じることも、全部「今ここ」の一部として。
夜中は特にそれがエグい。
全裸のままランニングをするのが好きだ。勃起したチンポを堂々と前に突き出した状態で港を歩く事も。街灯の下で筋肉が艶やかに光って、腹筋の影が深く刻まれる。大きなペニスは重力に逆らって上向きに張りつめ、先端から透明な先走り液が糸を引いてダラダラ滴る。歩くたびにチンポが重く揺れて太ももに当たる感触がする。それでも俺は隠さない。胸を張って背筋を伸ばし、ゆっくりとした歩幅で歩く。誰かに見られても構わない。むしろ見られたい。その視線でチンポがさらに硬くなって、露出の快感が全身を駆け巡る。そこに羞恥はない。ただ「ここにいる」という純粋で傲慢な肯定だけだ。勃起したまま夜の港を歩くとき、俺は自分のチンポと真正面から向き合っている。
薄い布が全身にピッタリ張り付いて、勃起したチンポの形がくっきり浮き出る。スーツの中でさえ根元からカリまで丸わかり。もっこりというより保健体育の教科書のイラストような鮮明さがある。
俺はそれを恥ずかしいとは思わない。むしろこの姿で夜の海辺に立ってる自分が、鏡の前と同じくらい興奮する。
「こんばんは」
スーツ姿で自撮りをしていたら中年の男に話しかけられた。少し酔ってる感じだった。あとで聞いたらホテルの料理人で、昔自衛官だったらしい。見た目はくたびれてたけど。最初にって笑いながら言ってきた。俺はストレートに答えた。
そいつは笑いながら俺の体を舐め回すように見てきて、「変態だな」って言った。
俺は「そうですね、変態ですよ」って普通に返した。むしろ嬉しかった。そいつは言い方は雑だったけど、ちゃんと俺のチンポのラインとか胸板とか腰のくぼみまでガン見してた。俺のチンポはもうその視線だけでガチガチに勃起してて、大きな幹が布を押し上げ、カリの形までくっきり浮き、先端がじわじわ先走り液を染み出させてテカテカ光ってる。それでも俺は堂々と胸を張っていた。
「立派だな」って言われた。男はかなりストレートに俺の股間を見てた。俺のチンポはスーツの中で熱く脈打って、根元から先端までびしょびしょに濡れてた。俺はそれを隠さず、ただそこにあるものとして受け止めてた。
そいつが「俺のはもう枯れちゃったよ」って言ったとき、俺は唐突に「このスーツ、着てみますか?」って提案した。反射的に。
「今ここで?」
「無理ですよ……」
そいつは少し好奇心を混ぜたような、でも戸惑った声で言った。俺は笑って答えた。
「夜は誰も来ませんよ」
「背中のチャックを閉めるのは僕がやります。安心してください」
そいつは一瞬迷った顔をしたけど、結局「……わかりました」って小さく頷いた。
トイレの中でファスナーを閉めて、マスクを被せた瞬間、俺は思わず声に出した。
「美しいですね」
マスクをかぶったそいつは、ただの黒い布じゃなくなって、完全に別の存在になっていた。俺のチンポもその姿を見てさらにガチガチに硬くなった。俺たちは格好良さと美しさで繋がってるのかもしれない。姿見の前に並んだとき、二人はどちらもガチガチに勃起していた。
俺のチンポはスーツの中で限界まで突っ張ってて、そいつのチンポも薄い布を押し上げてカリの輪郭までくっきり浮き出ていた。先走り液が二人とも染み出して布がぐしょぐしょに濡れている。
スーツの薄い生地が勃起したチンポが窮屈そうに暴れている。スーツに擦れるたび、まるでガーゼにローションをたっぷりつけてチンポを擦りつけるオナニーみたいだった。先端がびしょびしょに濡れてローションまみれみたいになって、激しく勃起したチンポがビクビク動くたびに布に擦れて気持ちいい。
変態の俺と、普通のそいつが、こんなところで同じような快感を共有してるのがなんだかおかしくて、でもすごく自然に感じた。
俺は少し勇気を出して声をかけた。
「ここにいるより、外で撮りませんか?」
「……恥ずかしいです」
そいつは心細そうな声で答えた。マスクを取ろうとする手を、俺はそっと優しく掴んだ。
そのまま外に歩き出すと、そいつの足取りは意外と軽かった。まるで少しずつ自信が出てきてるみたいだった。彼はまだ勃起をしていた。
スーツの股間がくっきり浮き出たまま、歩くたびに布に擦れてビクビク動いているのがわかった。少し歩いてから、俺はふと思いついて聞いてみた。
「なんか……今、ガーゼオナニーしてるみたいな感じしませんか?」
そいつは小さく笑って
俺も笑いながら答えた。
「……わかりますよ、すごく」
冗談のノリで軽くハグした。不意に勃起したチンポ同士がスーツ越しに擦れ合った。
俺は自分自身と抱き合っているような感覚だった。鏡の中の人が出てきて俺を抱いてくれた気がする。彼は俺に甘えるような動きで体を預けてきて、まるで野性の動物がじゃれ合うときみたいな自然な動きだった。
警備員が近づいてきたときも、俺たちは自然に肩を寄せ合った。俺が「友達とコスプレの撮影です」って笑って答えて、彼も小さく頷いてくれた。警備員が去ったあと、俺たちはまた軽く笑い合った。変態の俺と、そうじゃない彼が、まるで当たり前のようにお互いをかばい合ってた。そのときも、二人のチンポはまだ勃起したままだった。俺たちはそれを隠さず、ただそこにあるものとして、静かに向き合い続けていた。
別れるとき、俺は彼にスーツとマスクを押し付けた。勢いもあった。でも渡したかった。
彼がそのあとどう生きてるのかは知らない。
ブラックパンサーのスーツをもう一度着たかどうかも知らない。ホテルの厨房で働き、疲れて帰って、また眠るだけの日々に戻ったのかもしれない。
あの夜のことは、それだけだ。
夜の海のにおい。
砕ける光。
沈黙。
ヒーロー。
そして、ただの俺。