投資信託よりもETFを選ぶべき人は 実は「配当派」にも向く
ファンドマニアが語る「投信の沼」

NISA(少額投資非課税制度)の広がりとともに、資産形成の主役は投資信託(公募投信)になりました。金額指定で買えて積み立てもでき、少額でも分散投資しやすい。オール・カントリーや米S&P500種株価指数連動型の人気を見れば明らかです。
ただ、投信に慣れてきた人ほど、一度はETF(上場投信)にも目を向ける価値があります。ETFは、いわば「指し値注文ができる投信」です。投信と同じく複数資産を一つの商品にまとめた器でありながら、株式と同じように取引時間中に売買できます。
公募投信の約定価格は注文時点では分からず取引終了後に決まるのに対し、ETFは取引時間中の価格推移を見ながらリアルタイムで注文できます。あらかじめ希望価格での指し値注文も可能です。
何に投資しているかを把握しやすい点も特長です。公募投信は月次で上位10銘柄の開示が一般的ですが、ETFは全保有銘柄が高頻度で開示される場合が多いです。
例えばNEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信は、特徴が分かりやすい商品です。半導体関連株は、生成AI(人工知能)、設備投資、米国ハイテク株の動向などに反応しやすく、取引時間中の値動きも大きくなります。関連企業群をまとめて、かつリアルタイムの価格で売買できる点は魅力です。ニュースに敏感なテーマだけに、ETFの機動性とも相性が良いと言えるでしょう。
ここ数年でも、東証に上場するテーマ型などのETFの銘柄数は大きく増えました。投資したいテーマのETFが設定されていないか、一度確認する価値はあります。
インカム派にもETF
また、ETFは定期的なインカム収入を重視する投資家にも向いています。ETFは税法上、決算期間中に得た利子や配当などの収益から費用を控除した額を分配する仕組みを取っています。投信と違い、分配原資を内部留保して翌期以降へ繰り越すことができないため、収益分配の透明性が高く、個別株の配当に近い感覚で分配金を受け取ることができます。もちろん、NISA口座内で保有するETFの分配金は非課税です。

その視点で見ると、グローバルX 銀行 高配当-日本株式 ETFも興味深い存在です。銀行株は、低金利環境から金利が持ち直していく局面で注目されやすく、相対的に配当利回りも高いセクターとして知られます。個別銀行株の優劣を見極めるのは簡単ではありませんが、ETFなら主要銀行にまとめて投資できます。実は、日本の銀行セクターにまとめて投資できる公募投信は現状存在しません。セクター全体の追い風を取り込みたい投資家にとっては最良の選択肢と言えるでしょう。
最後に、ETFの注意点についても触れておきましょう。ETFは株式と同じように市場で売買されるため、流動性の高低が買値と売値の差、いわゆるスプレッドとして表れます。売買が活発な銘柄であれば大きな問題になりにくい一方、出来高が少ない銘柄では実質的な取引コストがかさむこともあります。注文時には価格だけでなく、売買代金や板の厚さにも目を向けたいところです。
また、ETFは分配金を自動で再投資する仕組みを基本的に備えていません。受け取った分配金を資産形成に回したい場合は、自身で再投資する必要があります。積み立ての手軽さや複利運用のしやすさでは、公募投信に分がある場面も少なくありません。
ETFは万能な上位互換ではなく、公募投信とは異なる特性を持つ別の道具と捉えた方がいいでしょう。積み立てや長期保有は公募投信、機動力やテーマ投資、インカム重視ならETF。両者は競合ではなく、目的に応じて使い分けることが大切です。
[日経マネー2026年7月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
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