割安株ファンドは3タイプ トラップの回避力が決め手
ファンドマニアが語る「投信の沼」
「日本株は割安なのに上がらない」と言われ続けてきた時代が、静かに終わりを迎えつつあります。2021年以降、日本のバリュー株指数はグロース株指数を継続的に上回る局面が続いています。

要因の一つが、23年以降の東証改革です。「資本コストや株価を意識した経営」の要請を契機に、自社株買いや増配、持ち合い株の解消に動く企業が相次ぎました。かつては株主との対話に消極的だった日本企業も、今ではアクティビスト(物言う株主)の提案に耳を傾けるケースが増えるなど、明らかな変化が生まれています。
この変化を背景に、割安株で運用する投資信託への関心が高まっています。ただし割安株には代表的なインデックスが存在せず、アクティブ型が主な選択肢です。
割安株投資の魅力は、株価が既に低水準であるため、相場下落時の値下がりリスクを抑えやすい点です。

一方で注意したいリスクが、割安なまま株価が上がらない状態が長期化する、いわゆるバリュートラップ(割安のわな)。これを回避できるかどうかが投信の成績を分ける重要なポイントです。単なる指標上の割安さにとどまらず、企業価値がどのような経路で顕在化し株価に反映されるのかを見極める力が、運用担当者には求められます。投信選びに当たっては、過去のリターンだけでなく、運用プロセスの一貫性、運用担当者の力量、そしてコスト水準を含めて、総合的に判断することが重要です。
割安株投信のタイプ分類
割安株投信は、運用手法により大きく次のタイプに分けられます。
1つ目は「指標ベース型」です。PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益率)などで割安な銘柄に投資するタイプで、割安度が薄れた銘柄は随時入れ替えるため、ポートフォリオの回転率が比較的高くなる特徴があります。
2つ目は「ファンダメンタルズ改善型」です。現時点の指標だけでなく、収益力改善の可能性まで見極めて銘柄を選ぶタイプです。将来のROE(自己資本利益率)向上を見越した「動的な割安度」を評価するため、ファンドマネジャーの調査・分析力が運用成績を大きく左右します。
もう一つ「高配当株型」もあります。配当利回りを重視するタイプで、予想配当利回りの高さのみに着目する投信と、増配の可能性なども加味して銘柄を選ぶ投信に分かれます。投信全体の配当利回りを市場平均よりも高く維持し、安定した分配金を受け取りながら値上がり益も狙えることから、幅広い投資家に人気のタイプです。

数ある割安株投信の中で、モーニングスターのアナリストが運用の質とコストの両面から高く評価するファンドを紹介します。
One割安日本株ファンド(年1回決算型)はファンダメンタルズ改善型です。PBRや配当利回りなどの指標により抽出した企業について、独自の調査に基づき「割安解消のきっかけとなる要因があるか」で投資対象を絞り込みます。また、投資先企業との建設的な対話を通じ、企業価値向上を促す取り組みも行っています。
ニュー配当利回り株オープンは高配当株型ながら、単なる高配当利回り銘柄の寄せ集めではありません。企業の配当方針や事業モデルの競争力を丁寧に分析し、配当の安定性と増配可能性を重視して銘柄を選ぶのが差別化ポイントです。なお、よりコストを抑えたい方には、同じ運用を行う上場投信(ETF)のSMT ETF日本好配当株アクティブも選択肢に入ります。
この2本に共通するのは、独自の評価基準を運用プロセスに一貫して組み込み、相場の流れに左右されない運用姿勢を貫いていること、そして信託報酬が1%程度と、アクティブ型としてはコストが低いことです。東証改革がさらに進む局面で、「目利き力」を持つ投信の重要性はますます高まるでしょう。
[日経マネー2026年8月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
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