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重要鉱物が紛争資金源に 供給網巡り企業の責任増す

安全保障とeconomy

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レアメタル(希少金属)などの重要鉱物の調達時に人権リスクを回避することが企業の新たな責任となってきた。紛争の資金源になったり、強制労働で採掘されたりする恐れがある。アフリカや中東など紛争が続く地域のサプライチェーン(供給網)の点検が課題となる。

採掘や取引、流通などで得る利益が紛争の資金源となっている金属は「紛争鉱物」と呼ばれる。コンゴ民主共和国の東部で採掘されるスズ、タングステン、タンタル、金の4鉱物が代表例だ。

特にタンタルはコンデンサーなど様々な電子部品に使われるレアメタルで、世界的に需要が高まっている。米地質調査所(USGS)によるとコンゴからの供給量が最も多い。

コンゴ東部では武装勢力や軍がこうした鉱物を売って紛争を続けるための資金を得ているとされる。

2024年末にはコンゴ政府が米アップルを刑事告訴した。米欧メディアによると「アップルは犯罪組織が関わった鉱物を間接的に使用している疑いがある」と主張したという。

アップルはコンゴなどを原産とする問題の鉱物は使用しないよう指示を出した。同社は以前から関連業者が武装集団に資金提供した証拠は見つからなかったと説明している。

レアメタルに詳しい東大の岡部徹教授は「タンタルはオーストラリアなどにもあるが、コンゴやルワンダで採る方がコストは安く含有量も多い」と話す。「金属の末端価格は1キロ数万円と高価なため、児童労働やゲリラによる資金稼ぎが横行してしまう」と強調する。

紛争と関わりがない鉱物の袋に認証タグをつける対策が導入されているものの、タグを偽装する行為などとの「いたちごっこ」になっていると指摘する。

消費者や投資家の人権意識の高まりを受け、供給網の管理・監視に関する企業の説明責任は重みを増す。米国のドッド・フランク法(金融規制改革法)は上場企業に紛争鉱物の有無を製錬所まで調べて米証券取引委員会(SEC)に報告する義務を課す。

欧州連合(EU)は紛争地域や高リスク地域としてコンゴ、アフガニスタン、ミャンマーなど28の国・地域を指定し規制する。EUは24年に供給網の人権順守について企業に注意義務を負わせる「企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)」も採択した。

ビジネスと人権に詳しい梅津英明弁護士はこうした規則への違反と人権侵害を理由とした訴訟の2つの法的リスクが企業にあると説明する。「国内法は未発達だが、グローバル企業はCSDDDなどを守らなければ将来的に取引を停止される恐れもある」と警鐘を鳴らす。

電気自動車(EV)などに不可欠なリチウムイオン電池に使うコバルトなど報告義務の対象に入っていない鉱物も児童労働や強制労働の背景が指摘される。規制される鉱物の対象が広がる可能性もあるという。

ニッケルやリチウムは半導体やEVといったあらゆる製品に使われ、デジタル化や脱炭素化にも欠かせない。特定の国・地域に調達を依存しがちで経済安全保障上の弱点になりやすい。供給網を広げ、リスク管理を徹底する必要が高まっている。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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