

リノベーションブランド「bento」を展開するROSETTAは、東京都立川市にある築46年の団地の一室を、IoT家電と家具付きの“未来の家”へと生まれ変わらせた。スマートスピーカの登場とともに、家のIoT化が進む中、「あえて機能を絞り、本当に使えるスマートホーム」を目指したという、その内容とは。



リノベーションを担当したのは、1月に設立したばかりのROSETTA。ウェブ制作や空間デザインなどを手がけてきた木村英寛氏が代表取締役を務める。「結婚をしたタイミングで家を探したが、都内の新築物件はとにかく値段が高い。中古のリノベーションも考えたが、中古でもそこそこの金額が必要だし、住宅設備にこだわれないなどの制約もあり、自分たちで生活を向上するために何かできないかと考えたのがbentoのスタート」ときっかけを話す。

木村氏は、以前から企業のブランディングに関わる仕事をしており、クライアントの1つであった不動産オーナーから空間デザインを請け負った経験も持つ。そうした家に関わる仕事の経験から、「今のままでは住宅を使いこなせないと感じることが多かった。IoT機器も数々登場しているが、BtoBの方を向いている機能が多く、エンドユーザー向きではない。それならば、家の中すべてをプロデュースすることで、毎日便利に使えるIoT機器を導入しようと思った」と、スマート家電と家具付きでリノベーションするbentoのコンセプトを思いついたという。
立川市に作ったIoT家電と家具付きのリノベーション住宅には、スマートスピーカやIoT照明、スマートロック、スマートフォンから来客が確かめられるドアホンなど、数多くのIoT機器を導入。加えて、ホームクリーニング機「LG Styler」や衣類自動折り畳み機「ランドロイド」といった最新家電が並ぶ。
「こだわったのは無理して相互の機器をつながないこと。それぞれの機能を限定することで、毎日使えるIoT機器の導入を目指した」と木村氏は言う。
室内には、「Amazon Echo」「Google Home」と複数のスマートスピーカを配置しているが、キッチンのタイマー用、ニュースや天気などの情報の読み上げ用、リビングの照明点灯用と役割を限定。キッチンにはコンパクトな「Amazon Echo Dot」、ニュースの読み上げが得意なGoogle Homeは、朝の支度をしながら使えるようパウダールームに置くなど、特性に合わせて設置しているという。

「IoT機器を導入すると、スマホで一括コントロールすると思われがちだが、連動させる意味があまりないものもある。無理につながず、単体で使えるものは使う形を採用した。スマホアプリからのコントロールは、確かに多くの機器を1つでコントロールできるが、1つ障害が出てくると、すべてを使わなくなってしまう可能性もある。本当に使うことを考えると、単体で使うことを優先したほうがいい」と木村氏はポイントを話す。
一方で、外出先でも訪問者を確認できるドアホンと、スマートホンから解錠できるスマートロック、動体検知で録画するカメラを組み合わせることで、外出時の荷物の受け取りに対応するなど、機器同士の連携で、実現できるサービスもある。例えばLG Stylerは、衣類の匂い、ホコリの除去に加え、シワを伸ばす効果もあるが、高速風を衣類に吹きかけてシワを伸ばす「風アイロン」機能を備えた日立アプライアンス製の洗濯乾燥機「ビッグドラム」と組み合わせることで、「どちらか1つだけで使うとシワが伸びないケースもあるが、2つを組み合わせることで、通常の衣類であればアイロンいらずで着られる。2つを連携して使うことがポイント」(木村氏)という。

今回リノベーションしたのは、1971年に建てられた団地の一室。築46年が経ち、建て替えも視野に入ってくる時期だ。それに対し木村氏は「こちらの団地は鉄筋コンクリート造。全体で600戸あり、現在550戸が入居している。ここまでの大規模な集合住宅で、建て替えの話が本格化するのは、現時点では難しいと判断した」とした
フルリノベーション、家具家電付きで、物件の参考価格は3480万円。物件取得費650万円から考えると割高感は否めない。「この物件は最寄り駅から徒歩4分の駅近。そうした利便性を意識しながら、周りには緑が多く、暮らしやすい。そうした住環境かつ自宅内の家事をオートメーション化して、すっきりとした暮らしができるという新しいライフスタイルを提供できる。こういう暮らしに興味をもってくれる人にはすごく刺さる住宅だと思う。IoTを使った先進的な暮らしではなく、bentoで提供したいのは時間。家事は家がやるものという認識を広げていきたい」(木村氏)と、時間を生み出す価値を強調する。
すでに、そのままでは販売しづらいという築古の集合住宅の一室や戸建てなど、リノベーションのオーダーもきているという。「生活動線と結びついたIoT機器を提供し、新たなライフスタイルを提案していきたい」と木村氏は今後の展開を見据える。
導入したIoT機器のアップデートについて聞くと「よりより機器が登場してくれば、もちろんアップデートも考えている。その都度検討していくことになると思うが、最新の情報を住民の方に提案していきたい」と、木村氏は積極的な姿勢を見せた。
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