甘糟太郎忠綱に示す御詞 (法然上人全集)
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甘糟太郎忠綱に示す御詞
建久三年十一月十五日。甘糟の太郎忠綱。上人に参じて申様。弓箭の家業をもすてず。徃生の素意をもとぐる道侍らば。願くは御一言を承らんと申ければ。上人仰らるゝ様。彌陀の本願は。機の善惡をいはず。行の多少を論せず。身の淨不淨をえらばず。時處諸緣をきらはざれば。死の緣によるべからず。罪人は罪人ながら。名號を唱へて徃生す。これ本願の不思議也。弓箭の家に生れたる人。たとひ軍陣にたゝかひ。命を失ふとも。念佛せば。本願に乗じ。來迎に預らん事。ゆめ〳〵疑べからず。
- 〈勅修御傳。九巻傳等に出づ〉
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