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海上法要義ニ関スル宣言

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朕󠄁西曆千八百五十六年四月十六日巴里公󠄃會󠄃ニ於テ墺地利、佛蘭󠄄西、大不列顚、普魯西、露西亞、サルヂニア、及土耳古ノ間ニ締結󠄂セル海上法要義ニ關スル宣言ニ加盟シ玆ニ之ヲ公󠄃布セシム

御名

明治二十年三月十九日

內閣總理大臣伯爵󠄄伊藤博󠄄文󠄃

外󠄂務大臣伯爵󠄄井上 馨

陸軍大臣伯爵󠄄大山 巖

海軍大臣伯爵󠄄大山 巖

海上法ノ要義ヲ確定スル爲メ西曆千八百五十六年四月十六日巴里公󠄃會󠄃ニ於テ決定セシ宣言

千八百五十六年三月三十日巴里條約ニ署名セル各全󠄃權委員ハ玆ニ會󠄃議ヲ開キ戰時海上法ノ古來久シク痛嘆スヘキ紛󠄃議ノ原因ト爲リ且本件ニ關スル法律及ヒ義務ノ明確ナラサルハ局外󠄂中立國ト交戰國トノ間意見ノ相合ハサルノ基ニシテ隨テ容易ナラサル困難或ハ葛藤ヲ惹起󠄃スルノ恐レアルコトヲ悟リ此緊要ナル事項ニ關シ一定ノ主義ヲ設クルノ利益アル事並󠄃ニ巴里公󠄃會󠄃ニ參集セル各全󠄃權委員ニ於テ本件ニ關スル列國交際上一定ノ原則ヲ議定スルハ最モ能ク各自政府ノ希圖ニ應スルモノナル事ヲ認󠄃メリ

因テ右全󠄃權委員ハ各其政府ヨリ妥󠄃當ノ委任ヲ受ケ此目的ヲ達󠄃スルノ方法ヲ協議センコトニ決シ評󠄃議ノ上左ノ宣言ヲ採󠄃用セリ

第一 私船󠄄ヲ拿捕ノ用ニ供スルハ自今之ヲ廢止スル事

第二 局外󠄂中立國ノ旗章ヲ揭クル船󠄄舶ニ搭載セル敵國ノ貨物ハ戰時禁制品ヲ除クノ外󠄂之ヲ拿𫉬スヘカラサル事

第三 敵國ノ旗章ヲ揭クル船󠄄舶ニ搭載セル局外󠄂中立國ノ貨物ハ戰時禁制品ヲ除クノ外󠄂之ヲ拿𫉬スヘカラサル事

第四 港󠄃口ノ封鎖󠄃ヲ有効ナラシムルニハ實力ヲ用井サルヘカラス即チ敵國ノ海岸ニ接到スルヲ實際防止スルニ足ルヘキ充分ノ兵備ヲ要スル事

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。