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杵屋勝国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

杵屋 勝国(きねや かつくに、1945年昭和20年)3月28日 - 2023年令和5年)2月9日)は、日本の長唄三味線奏者。人間国宝2020年(令和2年)、日本芸術院賞恩賜賞受賞。本名は牟田口 照國(むたぐち てるくに)。福岡県みやま市出身[1]

経歴

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実家は料理屋を営んでおり、父は長唄を唄い、母は三味線を弾く家庭に育ち、幼い頃から長唄に親しんだ。6歳の6月6日に隣に住む杵屋寿太郎に入門し、三味線を始める。14歳で七代目家元、杵屋勝三郎から名取を認められ、杵屋勝国を名乗るようになる[2]。その後東京藝術大学邦楽科に進学、1967年昭和42年)に卒業[1]1980年(昭和55年)には坂東玉三郎が踊る「鷺娘」、5世中村勘九郎(後の18世中村勘三郎)が踊る「供奴」で、歌舞伎公演での立三味線を初めて務めた[3]

2009年平成21年)、NHKの主催する芸の真髄「吉原雀」で松尾芸能賞を受賞。2010年(平成22年)、一般財団法人杵勝会理事長に就任、死去まで務める。2014年(平成26年)、文化庁長官表彰2018年(平成30年)、第48回JXTG音楽賞(邦楽部門)を受賞。2019年令和元年)、重要無形文化財保持者(各個認定)いわゆる人間国宝に認定。2020年(令和2年)、「長年にわたり長唄界と歌舞伎長唄に貢献、並びに後進を育成した業績」に対し2019年度(令和元年度)恩賜賞日本芸術院賞を受賞[4]。同年、新宿区名誉区民に選出、みやま市市民栄誉賞を受賞。2021年(令和3年)、旭日小綬章を受章[1]

2023年(令和5年)2月9日間質性肺炎のため神奈川県内の病院で死去[1][5]。満77歳没。同日付で正五位叙せられる[6]

出演

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脚注

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  1. ^ a b c d 杵屋勝国逝去について”. 一般財団法人杵勝会. 2023年3月20日閲覧。
  2. ^ 長唄三味線演奏家 杵屋 勝国 さん”. 公益財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団. 2023年3月20日閲覧。
  3. ^ 杵屋勝国さんを名誉区民として顕彰」(PDF)『広報新宿』第2307号、新宿区、2020年1月15日、8頁、2023年3月20日閲覧 
  4. ^ 令和元年度日本芸術院賞授賞者の決定について”. 日本芸術院 (2020年3月19日). 2023年3月20日閲覧。
  5. ^ “長唄三味線方の人間国宝、杵屋勝国さん死去”. 西日本新聞. (2023年2月12日). https://www.nishinippon.co.jp/item/o/1052924/ 2023年3月20日閲覧。 
  6. ^ 叙位・叙勲」(PDF)『官報』第940号、独立行政法人国立印刷局、2023年3月20日、7頁、2023年3月20日閲覧 
  7. ^ 【DVD】芸の真髄シリーズ 長唄 伝える心 受け継ぐ力 杵屋勝三郎 杵屋勝国 映画データベース - allcinema