さよなら、僕の英雄のレビュー・感想・評価
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鬼才と名優陣が織り上げた異色作
アナス・トマス・イエンセンといえば、重厚な人間ドラマを多く手がける脚本家。そんな彼が数年に一度、自ら監督として生み出す作品は、いつもに増して内容がぶっとんでいることで知られる。本作はその6本目。まずは「自分がジョン・レノンであると主張する男」をある種の尊厳とリアリティをもって演じ上げた常連俳優マッツ・ミケルセンの役者魂はやはりさすがという他ない。かくもイエンセン監督作は、気心知れた仲間たちとの抜群の理解と機動力と阿吽の呼吸で、互いの表現の限界を超えた領域まで突き進んでいくのが大きな醍醐味。まずはコメディと犯罪劇とバイオレンスと人間ドラマを寓話性で包み込んだかのような「ごった煮感覚」に翻弄されつつ、やがてこの家族のように小さなコミュニティが獲得する関係性を温かく受け止めたいところ。多様な衣を纏いつつ「互いのアイデンティティをどう尊重するか?」という命題へ集約されていく物語。私はそう解釈した。
さよなら、僕の英雄
兄弟愛
取り戻した英雄
15年の服役を終えた男が、盗んだ金を託した兄と再会するものの、彼の様子がどうにもおかしく…、元の兄と大金を取り戻すことはできるのか!?…といった物語。
初っ端から重苦しい御伽噺でスタート。程なくして、危なっかしいマンフレn…いや、ジョンとの生活が再開されるが…。
シリアスな雰囲気の中にもどこかコミカルな描写も織り交ぜられ…しかしやはりクセ者揃いの生活はどこか危うい緊張感。
30年以上前のトラウマでも…の件から、忘れていたバンカーに至り、あぁ本当はこっちが…みたいなオチが早々に読めちゃったよ!!
…と思いきや、実際にはそう単純ではなく、意外な展開や驚くべき事実に気持ち良く騙されたり、アンカーのあまりに壮絶な過去、そしてそれを乗り越える愛情に深く涙腺を刺激された。無邪気な演奏姿、漸く見せた微笑み…う〜ん(涙)
そして最後まで謎だったのがジョンの真相。金を手にしたらまた居なくなってしまうと思ってたから…と思いきや、実はこのトラウマから逃げずに乗り越えさせる為に!?…ってのは考えすぎでしょうか?
色々な解釈ができそうだけど、不気味さと哀しさ、コミカルさも感じさせつつ愛情に溢れた名作だった。
デジタル画像が気持ち悪い
SFとか、夜のシーンならいいけどね
なに?実写?
全編16mmフィルムで撮影され、それを「4Kデジタルリマスター」した・・それ、最悪だね。AI 生成画像に似た感じだった。美術性はマイナス。見続けていると心が腐りそうで苦痛を強いられた。
というか、これはリマスターの方向性の問題だ。
デジタルカメラの画像の方が収集しやすく、つまり学習させやすいので、安易にそちらの方に行ってしまっている。そっちへ行くのではなくて優れたフィルム映画の映像をAIに学習させ、それに近づけるようなリマスター版をつくるように努力をしていけば必ず素晴らしいものができるであろう。 16ミリで撮影しても、ワイドビジョンみたいな映像になったら、それはそれで面白いと思う。そして美しいと思う。
自分をジョン・レノンと信じ込む狂気と大金の横取りを狙う犯罪者たちの狂気
ほぼ予備知識なしで観たこの映画は全く予想外の内容だった。自分をジョン・レノンだと思い込んだマッツ・ミケルセン演じる主人公(これが予備知識のすべて)がビートルズになり切ってバンドを組んで演奏するという楽しくてユーモラスなコメディ映画だと僕は思っていた。ところが実際はヴァイオレンスの雨霰、ユーモラスとは真逆のストーリーだった。
マッツ・ミケルセンが演じたマンフレルが少年だった頃1980年冬に起きた家庭内の惨劇。この日に前後して奇しくもジョン・レノンが凶弾に倒れた。この悲劇がテレビから流れ、トラウマを抱えたマンフレル少年は自分をジョン・レノンだと信じ込む。この映画では自分をリンゴ・スターだと信じ込む男、ポール・マッカートニーでありジョージ・ハリスンだと信じ込む男も現れ、そこに狂気(多分)の精神科医を加えた4人で"ビートルズ"は結成される。彼らの演奏するビートルズナンバーを背景に、盗まれた大金の横取りを狙う健常者(犯罪者)たちが絡みスクリーンのなかでは目を背けたくなるような暴力シーンがたびたび繰り返される。誰が狂人で誰が健常者なのか。
正気と狂気の狭間で起きる暴力、そして不思議な人間模様。北欧の神話とも言えるバイキングによる逸話がその下敷きになっている。
悪役ではないマッツ・ミケルセン
よい意味で予想と違った〜
予告編を観て、
勝手に「マッツ・ミケルセンのコメディだ!」と思い込んでいたら、
見事に裏切られました〜(笑)。
でも、めちゃくちゃ面白かった!!
ある意味、ブラックでシュールなコメディかも。
オープニングの童話の絵本の時点で、「うわっ!」ってなって、
「あれ?なんか思ってたのと違うかも」と、期待しながらドキドキ。
そのまま最後まで引き込まれました。
途中、痛すぎて薄目で観る場面もありましたが……。
ジョンと呼ばれなかった時のマンフレルの不意打ちの動きには、
思わず笑ってしまったんですが、
よく考えたら、結構ひどいトラウマなんですよ⋯。
だから、笑っていいのか、悲しんでいいのか、なんとも言えない気持ちになる。
その感じが、ずっと心に残っています。
観てから4日経った今でも、
「なんか、おもろいもん観たなぁ」って思い出してはニヤニヤしています。
ストーリーはハチャメチャなようでいて、ちゃんとまとまっていて。
マンフレルの見事な走行車からの飛び降りも、「ほぉ〜、ここにつながるのかぁ〜!」と、
心の中で小さく拍手してしまいました。
そして、ラストで完成するオープニングの童話。
あれも、なかなかトラウマ級に心に残っています。
最後のバイキングの「公平」に対する考え方は、かなり突飛なんですが、
この作品が伝えたかったことの筋は通っている気がします。
この作品を考えた監督、なんかスゴイな!!
【補足】
草刈正雄さんにそっくりな精神科医(でいいかな)が、個人的にはかなりツボでした(笑)。
ハートウォーミングな人間ドラマではありません そして邦題よ!
予告編を観ずに、「自分の事をジョン・レノンだと思っているマッツ・ミケルセン」の予備知識だけで観に行った。
なので、「僕の英雄」はジョン・レノンのことで、マッツ・ミケルセンが見事な演技をみせるヒューマン・ドラマだろうぐらいの気持ちだった。
全く違いますから。
まず、グロイのと血が苦手な方はご注意ください。
結構色々飛び散ります。
そこそこバイオレンス度が高いです。
マッツ・ミケルセンが見事な演技を見せる、のはその通りで毎度毎度感心させられます。
凄いの一言です。
ヒューマン・ドラマでもあるっちゃあります。
兄弟愛であったり。
でも一番心に響いたのは差別とは何か、多様性とは何か、という部分です。
非常に社会的なテーマを扱っているのにも関わらず、その表現の仕方が過激なので、好き嫌いが分かれる作品だと思います。
ちなみに私はこのカオスな状態、それでも突き進む強引さが面白かったので、☆4つになりました。
一瞬も飽きませんでした。
しかしまたしてもこの邦題よ!
どこが「さよなら、僕の英雄」なの?
この内容であれば「Den sidste viking」(英題:The Last Viking)で良かったと思う。
そのまま「ザ・ラスト・バイキング」で。
陳腐な邦題をつけるから肝心のテーマがぼやけてしまう。
ほんとやめて欲しいと心から思いました。
笑いを堪えきれず吹き出しました
最初からとてもダークなアニメーションでスタート。とても不穏です。
マッツさんはいきなり言われるがまま鍵を思い切りよく飲み込んでしまうところから、もう面白いです。
そして久しぶりに弟と再会すると、もっともっと面白くなっていました。あの全身棒のようになって頭から窓の外にぶっ飛ぶ発作がシュールすぎます。まさかそれが後半に繋がってくるとは。度々大怪我していてもおかしくない場面での鉄人ぶりが、ただただ面白かったです。
そして、1番吹いてしまったのは超絶下手くそなビートルズからのABBA笑。そしてめちゃくちゃ上手い!
多分、世代的に理解できてなかったネタもあったと思われます。
後半は意外な展開があるし、反語的なアニメーションの結末も用意されていて、とてもよくできた映画だと思いました。
暴力シーンが苦手な人はちょっときついかもしれませんが、個人的には結構おすすめしたい作品です。
見た けど 途中で寝ちゃったので 採点不可
兄弟愛と北欧の綺麗な景色
兄弟の人生を丁寧に描いた、静かで力強い感動作
マッツ・ミケルセンさんがジョン・レノンを演じると聞いていたので、もっと軽妙なコメディ作品なのかと思っていました。ところが実際はまったく違い、とても真面目で、じっくりと人間ドラマを描いた作品でした。
特に感心したのは、冒頭の絵本のエピソードです。一見すると何気ない導入に思えますが、その後の物語全体としっかりつながっていました。また、序盤の行動や出来事がきちんと伏線として機能しており、構成の巧みさが印象的でした。
そして何より心に残ったのは、二人の兄弟の関係です。それぞれが異なる人生を歩みながらも、お互いを思い続ける気持ちが静かに描かれていて、その深い兄弟愛に何度も胸を打たれまた。
とても良い作品でした。ぜひ劇場で観てほしい一本です。
身も心も痛いのだが、奇妙
「日本人の感覚」から一番遠い作品。感情移入しにくいです。
予告編を観た限り、コメディとは言わないものの、もう少しクスっとする要素がある作品だろうと思っていたのだが。例えばマッツ・ミケルセン演じるマンフレルが、ジョンでなくマンフレルと呼ばれるとあたり構わず飛び出す、飛び降りてしまうところ、可笑しいというより何か唖然としてしまう。このマンフレルとアンカーの兄弟を中心に、兄弟のもともとの家で民泊をやっているマデレーデとヴェアーナの夫婦であったり、ジョン=マンフレルはじめ、ビートルズのメンバーだと思い込んでいる面々やそのマネジャー格のローターだったり、アンカーが隠した金(4千万クローネということは10億円ぐらい)をひたすら追い求める悪党仲間のフレミングであったり、実に個性的なメンバーがわちゃわちゃする物語なんですが、どうもヌケが悪いというか誰にも共感できないし親しみを感じない。むしろ話が進むにつれて陰惨な過去なんかが浮かびあがってきたりしてかなり鬱々とさせられてしまう。一応、監督の説明では兄弟のきずながテーマだっていうんだけど双方、何か屈折しているので日本人の兄弟船的(俺と兄貴のヨゥ夢のゆりかごサァ)な感覚からは程遠い。
「最後のバイキング」という原題は冒頭とエンディングに登場する絵本からきている(本来は絵本作家であるヴェアーナが描いたことになっている)のだが、この話自体も陰惨たるもの。
まあマッツ・ミケルセンが本国で出演している映画はこの手の作品が多くて、それでもアチラでは絶対な人気があるということは、やはり日本人である私は北欧人の感覚は理解できないということかと考えてしまったですね。
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