「ポストAI」へ投資バトル 熱狂!量子覇権Photo:SOPA Images,CFOTO/gettyimages

政府は7月22日、量子コンピューターの“次世代機”の実現に向けて、日立製作所と米インテルなどが手掛ける「半導体方式」のマシンの開発支援を決めた。高市政権の戦略17分野に「量子」も選定されており、2040年度までに官民10.3兆円の投資を見込む。これまで日本が後手に回っていた量子コンピューターの開発において、次世代の半導体方式への支援を加速することにより巻き返しを狙う。特集『「ポストAI」へ投資バトル 熱狂!量子覇権』の本稿では、日立とインテル連合の半導体量子コンピューターを政府が支援する背景などを詳報する。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

半導体方式の量子コンピューター次世代機開発
日立・インテル連合を支援

 量子コンピューターの国策「10兆円」投資がいよいよ動き出した。

 高市政権は成長戦略として、AI・半導体や情報通信、造船など「戦略17分野」に、2040年度までに官民合わせて370兆円超を投資する構想を掲げる。

「量子」も戦略分野の一つに選ばれており、40年度までに想定する官民投資額は10.3兆円だ。「産業や社会にインパクトを与える汎用技術で、今後、基盤産業のゲームチェンジャーとなり得る」と、官民投資ロードマップでは巨費を投じる意義が強調されている。

 今回、経済産業省は7月22日、「半導体方式」と呼ばれる量子コンピューターの“次世代機”の開発を支援することを決めた。経産省が所管する国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を介して、日立製作所や米インテルなどの研究開発事業を支援する。

 日立は14年に半導体の自社製造から完全撤退した。だが、残された半導体エンジニアたちは、半導体量子コンピューターの開発に移り、研究を進めていた。20年度からは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業の中の半導体量子コンピューター技術開発のプロジェクトにも参画している。

 加えて、日立とインテルは6月5日、主要産業領域で戦略的協業を開始すると発表し、半導体製造や量子コンピューティングなど五つの重点領域を軸に連携すると掲げていた。この連携により半導体量子コンピューターの開発で、日本の支援をさっそく射止めた形だ。

 次ページでは、日立とインテル連合の半導体量子コンピューターを支援する背景や、支援の中身を詳報する。