口で絵を描く画家&実業家、佐藤涼さん7月某日。私は約束の朝、ニューヨークの中心地にあるホテルの障害者専用ルームに向かった。ホテルマネジャーの帯同でドアが開くと、部屋は薄暗く、室内のムンとした湿度の高い空気が鼻をついた。 対照的に明るい笑顔で迎え入れてくれた車いすの彼。手足が不自由とは聞いていたが発声も困難が伴う。互いに自己紹介をすませてしばらくすると、彼はチューブ状のゼリーを指差し「開けてもらっていいですか?」と尋ねてきた。ちょっとした手違いで、昨晩から何も食べることができていないという。夏場なのに冷房の設定温度が適正でなかったのもそういうわけだ。私は栄養補助ゼリーのキャップを取り彼の口に含ませた。彼はすごい勢いで吸い込んでいく。その吸引力に漲る「生きる力」を感じずにはいられなかった。 私と画家・実業家、佐藤涼(りょう)さん(45歳)との初対面のシーンだ。 涼さんは生まれながらの脳性麻痺(

