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夏の中華というと、ガツンとスタミナ系の料理や、辛くインパクトのあるものがフィーチャーされがちだ。しかし、夏に効くのは、辛さだけではない。特に蒸し熱い暑いときに食欲を呼び戻すのは“酸”だ。 そもそも、中国料理における“酸”には、大きく分けて2つある。 ひとつは、「酢」の酸である。特に、中国料理に欠かせない黒酢はアミノ酸が豊富で、料理にコクも与えてくれる存在だ。 私のお気に入りは山西老陳醋。酸・綿(まろやかさ)・甜・香・鮮(うまみ)のバランスがよい。 そしてもうひとつは、「漬物」の酸である。 泡菜(パオツァイ:発酵野菜)や、酸菜(スァンツァイ:発酵白菜や発酵高菜)など、野菜の乳酸発酵から生まれるまろやかな酸味とうまみは、一度味わうとクセになるおいしさ。 中国料理には漬物を活用した名菜も数多く、泡菜が家にあると、炒めものや鍋料理などに重宝する。 自家製の泡菜。4~5%の塩水に野菜を漬けて乳酸発酵
獅子頭(シーズトウ)のような、ふわふわの巨大肉団子が入ったごちそうスープ。作ってみたいし、家で食べたい。美味しさも間違いない。でも、肉を刻み、丸めて……という手間を考えると、気が遠くなる。これはプロに任せたい案件だ。 そんな獅子頭の食感に近いものが、実は長芋(山芋)とひき肉で作れる。 包丁の出番はほぼ無し。特別な機材もいらない。肉だねを器の底に敷き詰めて蒸し、湯を注いで再び蒸すだけ。それだけで、ご馳走感、食べごたえ、品の良さを兼ね備えた、大きな肉団子入り“風”の蒸しスープができあがるのだ。 蒸し調理は、鍋で煮るのと違って、加熱中に液体の対流がほぼ起きない。そのため、アクを出さずに食材の味だけをクリアに引き出した、限りなく透明で雑味のない清湯(チンタン)がとれる。蒸籠や蒸し器がない場合は、深型フライパンなどを使ってできる(詳細は後述)。 この料理の陰の主役は長芋(山芋)だ。中華圏では山薬(さ
文字は意味が伝わればいい。そう考えれば、多少違っていても大らかに見ればいいのかもしれない。 しかし、多くの人が誤字を使うようになると、それを正しい表記だと読み手が勘違いすることがある。そもそも、まったく知らない単語を誤字で提示されたら、信じてしまうのもやむなし。誤字の連鎖によって、誤字が正字として定着していくこともあり得る。日本で使われている中国料理名や食材名にも、このようなものがいくつも存在する。 そこで当記事では、これまで80C(ハオチー)編集部でたびたび話題になってきた2つの言葉を採り上げ、誤字が正字になった背景を推察・紹介したい。 形の似た漢字をあててしまった「豆豉(とうち)」 ◎豆豉(とうち) ×豆鼓 麻婆豆腐、回鍋肉、スペアリブの豆豉蒸しなど、中国料理に欠かせない調味料、豆豉(とうち)。炒めもの、蒸しもの、煮ものなど幅広い調理で使えることもあり、豆豉の塩気とうまみを生かした料理
TEXT&PHOTO:玉置標本 フリーライター。趣味は家庭用製麺機を使った自家製麺と身近な場所で野食材採集。個人サイトは『私的標本』。https://blog.hyouhon.com/ 四川料理の肝といえば、なんといっても唐辛子をたっぷり使った刺激と香り。生だけでなく、乾燥、焙煎、発酵など、さまざまに加工される唐辛子は、もはやスパイスを超えた存在だ。 ほとんどの料理人は入手可能な範囲から好みの品を選んで使用しているが、その理想を求めるあまり、自分が使いたい唐辛子を種から栽培し、さらには発酵調味料まで自作している料理人がいるという。 その人物は、埼玉県狭山市に「中国家庭料理 蓮華(れんげ)」という店を構える(西武新宿線入曽駅から徒歩20分!)、オーナーシェフの蓮見年男さん。 調理専門学校を卒業後、四川料理の名店で修業を重ね、18年前に縁もゆかりもなかった入曽に「蓮華」をオープンさせると、同業
焼けた葱の香りが食欲をそそり、サクサクの生地がやみつきになるねぎ餅。台湾では、街のあちこちでみるファストフードで、葱油餅(ツォンヨウビン|cōng yóu bǐng|蔥油餅)、または葱抓餅(ツォンジュァービン|cōng zhuā bǐng|蔥抓餅)の名前で親しまれています。 作り方はシンプルです。小麦粉で作った生地を伸ばし、表面に油を塗ってねぎを巻き込み、薄く伸ばしてから、焼くOR揚げたらできあがり。食べるときは、できたてをそのまま味わうのもよし、卵やベーコン、ソーセージ、野菜をのせたり、巻いてもOK。いろいろな食べ方ができるので、飽きが来ないのも魅力ですね。 最近は日本でもねぎ餅が楽しめる店が増え、冷凍食品でもいろんな商品が選べるようになりました。そこで当記事では、台湾のねぎ餅(葱油餅・葱抓餅)にフォーカス。店や家でとことん楽しめる情報をお伝えします! 台湾のストリートフード「葱油餅(ツ
ぷるんと滑らかな生地で、小エビや叉焼をくるりと巻いた腸粉(ちょうふん|チョンファン|Cheong fan ※広東語読み|cháng fěn ※中国語読み)。きっと、「飲茶といえばこれは外せない」という方も多いのではないでしょうか。 そんな腸粉は、主に広東料理文化圏で楽しまれている中華圏南方の点心。ユニークな名前の由来は、豚の腸に似た形ということから名づけられた説が有力です。 しかし、中国で腸粉を食べ歩くと“くるりと巻いた”ものに限らず、さまざまな形と作り方が見られます。地域によってどんな腸粉があるのか、中国南方をを南から東にかけて見ていきましょう。 中国最南端!海南省|大きな生地に具がたっぷり。1皿で腹パンの卵入り腸粉 文昌市舗前鎮の老爸茶の店にて、海老入りの腸粉。卵を追加オーダーし、一緒に巻いています。 まずは”中国のハワイ”でおなじみの海南島は海南省の腸粉です。1988年まで広東省に属
滋味深い牛骨スープで、作りたての手延べ麺が楽しめる蘭州拉麺(蘭州牛肉麺)。中国では、発祥の地の甘粛省蘭州のみならず、全土で親しまれている麺料理であり、今では日本でも食べられる店が増えましたね。 蘭州拉麺の「拉(ラー:lā)」は引っ張る、引き延ばす、という意味。つまり「拉麺」は手延べ麺を指します。なかでも注文ごとにひとつの生地から麺を作り分ける蘭州拉麺は、まさに手延べの職人技を味わう麺料理ともいえるでしょう。 「馬子禄牛肉面 新宿店」の厨房で麺をつくる清野店長。客席から、みるみる麺ができあがっていく様を見ることができる そんな中国の蘭州拉麺店のなかでも「馬子禄(マーズルー)牛肉面」は、知名度・人気ともにトップクラスの“老字号(老舗)”。2017年には初の海外支店となる神田神保町店がオープンし、日本の蘭州拉麺ブームに火を付けたのは、今なお記憶に残るところです。 選べる拉麺は9種類!どれを選べば
葱油を自家製すると、副産物として葱の揚げカス=油葱酥(ヨウツォンスー|yóu cōng sū)ができる。水分が抜け切り、サクサクになった揚げ葱は甘く香ばしい。これを料理に活用しない手はない。※自家製葱油を熱く語る回はこちら 葱油を作ったあとにできる揚げカス。サクサク、カサカサ、歯切れのよい食感で香ばしい。 料理の第一候補は、葱油拌麺(ツォンヨウバンミェン|cōng yóu bàn miàn|葱油拌面)だ。 葱の揚げカス料理というジャンルがあるならば、葱油拌麺は知名度、おいしさ、作りやすさの全方位から、この分野の超級明星(スーパースター)といえる。 材料は、麺、葱の揚げカス、茶色い調味料。麺とタレを食べる前に一心不乱に混ぜて混ぜて、麺が茶色くぬらぬらと色づいたらずずーっ。甘塩っぱく、どこか下世話で、思わず口から麺を迎えに行きたくなってしまう魔性の味だ。 雰囲気としては、ソース焼きそばのソース
葱油は中華の食材や料理の風味をじゃませずに、ふくよかさと香ばしさを増してくれる強力なアイテムだ。使い道は幅広く、葱油の作り方でも紹介した通りだが、できたてを味わうなら、迷わず野菜料理をおすすめしたい。 使い方は、サッとゆでた季節の野菜に和えて、塩をぱらり。艶やかな見た目も美しく、思わず「あなた、本当はそんなに綺麗だったのね!」と野菜に声をかけたくなるほどだ。 甘く、香ばしく、ふくよか。油に移した葱の香りは決して強くなく、上品。野菜の清麗さを味わうのに、葱油をまとった素八鮮(sù bā xiān|スーバーシェン|季節野菜の精進和え)は、これ以上ない料理である。 さっぱりとしているので肉料理や麺料理の副菜としても優秀だし、ビーガンの方にもおすすめできる。シンプルな調理で、ごま油との違いを感じてほしい。 葱油で野菜の清麗さを味わう「素八鮮(スーバーシェン)」のレシピ 材料 小さめの中皿1枚分(約
葱油(ネギ油)は、中国料理の風味を底上げする強力な調味料だ。ごま油が町中華の香りなら、葱油は高級中華の香り付けに欠かせない。 野菜や魚料理を品よくまとめるのもうまければ、葱油拌麺(葱油の和えめん)のように庶民的な味も得意とする。辣油やごま油のように場を支配する強さはないが、主役を引き立たせる能力はズバ抜けている。だからこそ、プロ中のプロの厨房で暗躍しているのだ。 例えば、細切りにした野菜をサッとゆで、葱油と塩で和えれば、素材を生かした美しい味わいの凉拌菜ができあがる。 細切りにした野菜をサッとゆで、葱油と塩で和えれば、素材を引き立てた美しい凉拌菜ができあがる。 かたや、醤油と砂糖と葱油でタレをつくり、葱の揚げカス(油葱酥)をトッピングすれば、ガツンとうまい葱油拌麺(葱油の和えめん)もお手のもの。 葱油拌麺(ツォンヨウバンミェン)。葱油を使った、代表的な上海の味覚だ。 そもそも、葱・生姜・大
ただふかしただけのじゃがいもなら、1個が限界かもしれない。しかしこの料理は罪深い。「じゃがいもってこんなに食べられたっけ?」と思うほど、皿の上の芋があっという間に消える。ビール党なら、見た瞬間に「ビールビール!」となることを約束する。 主材料は新じゃが、葱、油、挽肉。ポイントは「煎り焼き」だ。焼いたじゃがいもに限らず、焼肉、お好み焼き、クッキーなど、茶色いおいしさは、みんなメイラード反応でできている。すなわち糖とアミノ酸を加熱すると、褐色に色づき、おいしそうな香りが出るのだ。これは、その化学反応をいかしたじゃがいも料理だ。 食べるタイミングは、作りたてが圧倒的においしい。店頭で新じゃがを見かけたら、迷わず買って作ってほしい。後悔はさせない。 メイラード反応で美味くなる!じゃがいも・葱・ひき肉でつくる「香煎土豆肉末(シャンジェン トゥドウ ロウモー)」のレシピ <作り方のポイント> じゃがい
日本の町中華で、スープは永遠の脇役だが、中国でスープは主役を張れる料理だ。 それは、佛跳墻(ぶっちょうしょう)のように手間暇かけた高級レストランの料理に限らない。無駄がなく合理的な、中国家庭料理の世界でも同様である。 なかでもスープとおかずの1品2役を担う、一挙両得的な料理が連鍋湯(れんごうたん|liánguō tāng|リエングゥオ タン)だ。 四川省の伝統料理である連鍋湯は、豚肉を主役に、大根または冬瓜などを取り合わせて作るシンプルなスープである。素材を活かしたあっさりした味わいの中に、いきいきとしたおいしさがあり、食べ飽きない。 そんな連鍋湯の名脇役は蘸水(ジャンシュイ)、すなわちつけだれだ。スープの中の豚肉を豆板醤ベースのたれに潜らせれば、先ほどまでのおだやかさが一変、俄然ごはんに合う肉料理が爆誕する。 思わず肉でごはんを巻きたくなる。 一品のスープで2品分のおいしさが味わえるこの
身近な食材でハッとするような美味が作れるのが中国料理だ。例えば、豆腐と葱という味噌汁の具のような食材でも、火と油の力を借りれば、驚くほどごはんに合うおかずができあがる。 そんな料理の筆頭に挙げたいのが、葱焼豆腐(ツォンシャオドウフ|cōng shāo dòu fǔ)だ。 調理は木綿豆腐を軽く煎り焼き、葱を加えて醤油味で煮込むだけ。ただそれだけなのだが、たっぷりと使った白葱が、煮込み汁に甘く香ばしい風味を与え、煎り焼いた豆腐のぷりぷりした食感に箸が止まらない。 肉を使わなくてもコクはしっかり。世の中に「大豆ミート」があるのも納得の食べごたえである。レシピのオイスターソースをヴィーガン仕様すれば、すべて植物性食材なので菜食の方にもおすすめ。冬により一層おいしさを増す白葱を使って作ってみよう。 主材料はこれだけ。葱と木綿豆腐があればそれでいい。できればおいしい豆腐屋さんの豆腐を使いたい。 葱と豆
夏の盛りに旬を迎えるとうもろこし。日本ではトウモロコシの調理法を検索すると、真っ先にゆで方が出てくる。かたや中国料理は、炒めたり煮たり焼いたり蒸したり、あらゆる調理法で楽しまれている印象がある。 なかでも蒸し暑い時期におすすめしたいのがトウモロコシとレンコンとスペアリブのスープ(玉米排骨蓮藕湯|玉米排骨莲藕汤)だ。その理由は三伏(さんぷく)にある。 三伏とは陰陽五行説における季節の捉え方で、夏至から立秋にかけて、一年で最も酷暑となる頃をいう(2024年は7月15日~8月14日)。日本でも古くは時候の挨拶、俳句の季語にもなっているので、耳にしたことがある方もいるだろう。 暑さが極まり、湿度は高くなるこの時季は、身体に熱や湿気がたまりやすく、胃腸が弱りやすい。一方、冷房にばかり当たっていると身体は芯から冷える。うっかり風邪をひいてしまうのは、まさにこんな時である。ゆえに、三伏の期間は胃腸をいた
今月から、横浜中華街の五目焼きそば全140皿を食べ尽くした男、五目ひでおさんの不定期エッセイが始まります。生まれも育ちも横浜の五目さんが、五目焼きそばに目覚めた理由とは?約1年半かけて食べ歩き、最も心に残った3店とは? 最初に、私が好む五目焼きそばの特徴は以下の3点です。 麺そのものから味と香りを感じられる、褐色の深蒸し麺 それぞれの具材の歯触りを楽しめるよう、丁寧に施された下ごしらえ 餡のとろみは程々で、味付けは濃過ぎない もうひとつ、大切なことをお伝えしておきたいと思います。 私は五目焼きそばに、お酢をかけません。ですので、お酢を入れた際に引き起こされる化学反応については、未知の状態でのご紹介になることをご容赦ください。ついでに、からしもつけません。 そんな風に考えてみますと、五目焼きそばには食べ方の作法のみならず、調理方法や具材も含めて、思いのほかバリエーションがあるようです。 同じ
いつ訪れても、朝から晩まで賑やかな高田馬場の駅前。だが、そこから5分も歩かないうちに、駅前の喧噪が嘘のように静かな、落ち着いた住宅地があるのをご存じだろうか。 「ここに行く」と目的を持って歩かなければ絶対たどり着かないその一角に、2024年4月末、中国茶のあるひとときを楽しむ茶館「虫二(ちゅうじ)」がオープンした。 「虫二(ちゅうじ)」外観。以前はイタリアンレストランだった。 ドアを開けると、茶菓子や茶の売り場、その奥に茶席を楽しむスペースが広がっている。photo by Chuji 実はこの店、中国茶カフェとして人気を集める西早稲田「甘露(かんろ)」が手掛ける二号店。「甘露」は中国のおやつと中国茶をアラカルトで楽しめるほか、イベントや語学教室などを通じて、日中交流の温かな拠点となってきた。 一方「虫二」は、厳選された中国茶と茶菓子をセットにしたコース、すなわち茶席を楽しむ場所。茶館をつく
大塚は普段着の街だ。ターミナル駅の池袋から山手線でたった一駅、隣の街にいくだけで、ぐっとカジュアルでおいしいものが楽しめる。 居酒屋、焼き鳥、洋食、ラーメン、カレー、もちろん中華もいろいろある。特にこの街は、ふらりと入って、びっくりするような中国郷土料理があったりするから侮れない。 そんな店のひとつが「豫見ハーラー麺(ユージェンハーラーミェン|豫见饸饹面|豫見餄餎麺)」だ。 河南省の非物質文化遺産、ハーラー麺とは? 2024年2月15日からプレオープンしている。 ハーラー麺とは中国語で饸饹面(フールーミェン|hélemiàn)と呼ばれるもので、中国北方を中心に作られている麺料理のひとつ。端的にいうと、ところてんのように生地を押し出して作る、押し出し麺である。 食べ方は、羊や牛のスープ麺に仕立てるほか、焼きそばなどにすることも。特に河南省の羊肉スープで食べる羊肉餄餎麺は名高く、同省では非物質
餃子を山ほど食べたい。いろんな餡の餃子を、みんなでわいわい分け合って食べたい。そんな気分にぴったりな店が「餃子封神榜(ぎょうざほうしんぼう)」だ。 場所は「ガチ中華」のメッカ、JR池袋駅北口界隈。あらゆる中国料理店が軒を連ねるエリアだが、ここまで餃子に特化した店は、意外にもこれまで出現していなかったのではないだろうか? ここで食べられるのは、作りたての水餃子や蒸し餃子。注文が入ると、フロアに隣接したガラス張りの厨房で、面点師が皮をのばし、餡を包み、ゆでたて&蒸したての餃子がすぐに運ばれてくる。 厨房の中はまるで中国の餃子専門店そのもの。 餡たっぷりで皮は薄め。「薄皮大餡」な餃子を特製だれで召し上がれ 餃子の種類は約30種類。餡は、牛肉×大根、羊肉×香菜×白菜、牛肉×玉葱、鶏肉×ニラ×トウモロコシ、羊肉×ニンジン、豚肉×蓮根、豚肉×香菜、豚肉×フェンネル、豚肉×ピーマンなど実に多彩で、これだ
中国料理で最もよく使われる食材はなにか。それは恐らく、葱と生姜だ。炒め物、煮物、蒸し物、肉の下ゆでなど、多くの料理において、葱と生姜は縁の下の力持ちである。 ゆで湯に入れて肉や魚の臭みをマスキングしたり、炒めて食欲をそそる香りをつけたり、葱と生姜はいつも主役の引き立て役だ。しかし、この2つが主役に躍り出る料理がある。それは、葱油手撕鶏(チキンの葱生姜まみれ:ツォンヨウショウスージー:cōngyóu shǒusījī:葱油手撕鸡)だ。 作り方は実にシンプル。みじん切りの葱、すりおろした生姜に塩と砂糖少々を加え、煙がでるほど熱したピーナッツ油をヂヂヂーッと注いで香りを立てた葱姜油(ツォンジャンヨウ)をつくり、手で裂いた鶏肉を和えるというただそれだけなのだが、恐ろしくおいしい。 葱姜油(ツォンジャンヨウ)。葱、生姜、ピーナッツ油でつくる。白葱でもOKだ。 そもそも葱油手撕鶏(鶏の葱生姜まみれ)の
おいしそうな惣菜がずらりと並んだ台の上から、その日の気分で自分の食べたいおかずを選び、自分だけのお弁当や定食が作れる店。台湾の街中で、こうした飲食店を見たことはありませんか? これは台湾では自助餐(ズジュツァン|zìzhùcān)と呼ばれる飲食店のスタイル。自助餐の「自助」はセルフサービス、「餐」はごはんや食事の意味で、自分で料理を選ぶ食べ放題の店も、この自助餐に含まれます。 台北の自助餐。おかずがずらりと並んだ台。目移りして選べないほど!Photo by Takako Sato 台北の自助餐。肉も野菜も魚も!近くにあったら毎日通ってしまいそう。Photo by Takako Sato 台湾の自助餐。バットの上にお皿が乗っているのがいかにも台湾らしいですね。Photo by Yuka ここ数年間で、日本には魯肉飯、鶏肉飯、台湾料理の弁当を食べられる店がだいぶ増えましたが、ありそうでなかった
家庭料理を格上げする飛び道具として、干し貝柱ほど使えるものはない。煮込み料理やスープに1~2粒使えば、しっかりとしたうまみで味わいの骨格を生み出し、鶏肉をはじめ肉類と組み合わせれば、うまみの相乗効果で、料理にぐんと奥行きを持たせてくれる。 料理をしない方には、駅の売店で売っているおつまみとして認識されているかもしれないが、干し貝柱は、昔から高級中国料理に欠かせない食材のひとつである。前述のとおり、そのうまみは海鮮の乾物の中でもトップクラス。少量でこれほど効き目があるものはそうそうない。 干し貝柱(左)と、水で戻した干し貝柱(右)。たった1粒で威力を発揮する、うまみ爆弾だ。 中国料理店でXO醤(エックスオーじゃん)や炒飯など、さまざまな料理に活用される干し貝柱は、実は家庭料理でも使いやすい食材である。 特に寒い季節においしくなる白菜や大根は干し貝柱のベストパートナー。白菜や大根はいずれも淡泊
中国で食べ歩きをしていると、日本では見たこともない珍しい食材によく出会う。それは実に刺激的な体験だが、それと同じくらい刺激的なのが、よく知っているはずの食材が意外な形で食べられているところに出会ったときだ。 この連載では、「ところ変われば食べ方も変わる。知っている食材の意外な姿!」をテーマに、中国各地で出会った様々な料理をご紹介していく。最終回の今回は、ミント(中国語では、薄荷)についてお送りしたい。 ライター:酒徒(しゅと) 中華料理愛好家。初中国で本場の中華料理に魅入られてから四半世紀、中国各地の食べ歩きがライフワーク。北京・広州・上海に10年間在住し、帰国後は本場で覚えた本格中華料理レシピをnoteや各種SNSで紹介。2023年10月19日に初の著書『あたらしい家中華』を刊行。 X(旧Twitter)@shutozennin note https://note.com/chiji
丸鶏料理というと、手間暇かけて作るご馳走といったイメージがある。しかし実際のところ、丸鶏を使えば、手間をかけなくても、ほったらかしでもおいしい料理を作ることができる。 なかでも中国家庭料理において、特におすすめしたい丸鶏料理が清燉鶏(チンドゥンジー|qīng dùn jī|清炖鸡|※清燉全鶏・清炖全鸡とも)、丸鶏のスープ煮込みだ。 この料理は、調理道具はほぼ使わない。鍋ひとつででき、難しい工程は一切不要。鶏ガラやひき肉でも鶏のスープはとれるが、丸鶏を煮てとった鶏スープの、まあるくふくよかでしっかりとしたうまみといったら、スープを飲むたび「おお…」「ふぁ…」「んん…」「あぁ…」しか言葉が出ない。 もちろん、そこにしっとりと火の通った鶏肉がついてくるのだから、ひとつで二度おいしいというか、鶏肉を満喫するのにこれ以上の料理はない。 そんな清燉鶏(チンドゥンジー)に必要なものはおいしい鶏肉。むしろ
ここ数年、日本では魯肉飯の知名度がうなぎのぼり。台湾料理店でなくてもランチで見かけるようになりました。一方、台湾ではよく知られているのに、日本であまり知名度がないごはんものが鶏肉飯(雞肉飯|ジーロウファン|北京語:jīròufàn|台湾語:ke-bah-pn̄g)です。 こういってはなんですが、見た目はかなり地味な鶏肉飯。しかし、ひと口食べてみると、予想外に「美味しい…!」が押し寄せてきます。 しっとりと火を入れた鶏肉に、油葱酥 (ヨウツォンスー|yóucōngsū|揚げエシャロット)と、鶏油の効いたタレがかかった鶏肉は、香ばしく、それでいてしつこくなく、一度この味を知ったらまた食べたくなってしまうはず。 同じ台湾のごはんものでも、豚肉を使った魯肉飯はこってりしていますが、鶏肉飯は比較的あっさりしているので罪悪感がなくていいですね。 台北晴光市場「嘉義雞肉飯」の鶏肉飯(写真提供:mitsu
<ポイント>卵の生臭みを消すために、生姜は使わず、黄酒(紹興酒)を加える。卵は香りが立ち上るまでたっぷりの油で加熱する。トマトは具を兼ねた調味料とするため、水加えて軽く煮て、片栗粉を少々加え、加熱した卵に絡めるように炒める。 ①にんにく、白ねぎをみじん切りにする。 左が白ねぎ、右がにんにく。 香りづけの薬味には、にんにくと白ねぎを使う。中華料理は何かとしょうがを使うが、この料理に関して、李さんはしょうがを使わない。なぜなら「しょうがを使うと“蟹の味”になってしまう」という。 「蟹⁉」と思うかもしれないが、卵と生姜の組み合わせは、たしかに蟹を思わせる要素がある。例を挙げると、西太后のために作られた宮廷料理、賽螃蟹(サイパンシェ)は、鶏卵に生姜を効かせ、蟹のような味わいを出した料理として知られる。 また、秋冬の風物詩、上海蟹を使った料理で、蟹味噌の生臭みを消すためにしょうがを合わせるあの感じ…
「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざがあります。 この解釈には「おいしい秋なすを嫁に食べさせてはもったいない」という説や、「秋なすはおいしいので、嫁が食べ過ぎると身体を冷やしてしまうから気を付けよ」などさまざまありますが、いずれにせよ秋茄子はおいしい。そんなイメージがありますよね。 事実、秋なすは夏に収穫されるなすとはちょっと違います。まず、夏のギラギラした日差しが弱まるため、皮が軟らかく、水分が多くて瑞々しい。さらに昼夜の寒暖差がでて、うまみや甘みがでやすいといわれます。 今回はそんな秋なすを使って、レンチンで手軽にできる四川風の中華おつまみ兼おかず、四川風なすの肉巻きをご紹介しましょう。 都内スーパーにて購入。 甜醤油と辣油が香る!四川料理の定番の前菜・雲白肉(うんぱいろう)インスパイア 四川風なすの肉巻きのベースになっているのは、四川料理の定番の前菜、雲白肉(うんぱいろう:云白肉:
この味を覚えたら後戻りできない!魅惑のトマたま麺 どちらかというと、卵よりもトマト優勢のトマト卵炒めに仕立てるのが英英(インイン)式。このまま食べてもトマトのうまみがしっかりとしてたいへん美味なのだが、麺と食べるとその相性に悶絶する。 とはいえ、麺は一般家庭で自作する人は少ないと思うので、ここでは店での作り方をご紹介し、想像を膨らませていただこう。 店では麺片子(短冊形の麺)や爆竹麺(爆竹型の麺)など数種類から好みの麺をリクエストできるが、おすすめはラグメン。下の写真は生地を延ばす前のラグメンだ。1本30gずつ棒状にして、油を塗って、くっつかないように整えてある。 これを手に「じゃ、やるよ!」といったら、数秒でびよーんと麺が伸びる伸びる! 延ばしてたたんで、ペシペシ!と打ち付けたら… ハイできあがり!できたら鍋の中に投入し、ゆで上げた麺を皿に盛る。 こちら、一連の動画でもどうぞ! こうして
<ポイント>中国料理定番の薬味3種類に、生トマト、水煮トマト、砂糖、水を加え、香りとコクを立たせた「食べるトマトソース」をつくる。卵はたっぷりの油でふんわりとまとめ、一度取り出してトマトソースで軽く煮るように仕立てる。 ①にんにく、しょうが、白ねぎをみじん切りにする。 まずは中国料理定番の薬味、にんにく、しょうが、白ねぎを、それぞれみじん切りにする。 にんにくは叩き潰さなくてもいいのか聞いてみると「きゅうりの和え物のように、香りを立てる必要がある料理の場合は叩くけど、この料理は叩かなくていいよ」とのこと。 ②トマトを小さめの乱切りにする。 ヘタを取り除いた後、1個を10片を目安にカットする。同じ10片に切るにも、串切りだと薄過ぎて加熱するとほぼ崩れてしまうし、角切りにすると食べる時にスッと口に入らない。 このような乱切りにすると、炒めたときにしなっと軟らかくなる部分と、食感が残る部分の両方
中国14億人の胃袋を満たす最強の家庭料理 中国の一般家庭で、ほぼどの地域でも作られている料理といえば、トマトと卵の炒めもの(西紅柿炒鶏蛋|西红柿炒鸡蛋)だろう。広大な中国は、地域によって主食が異なり、味付けもガラリと変わるが、トマトと卵は大陸のどこでも手に入りやすい食材で作れるとあって、中国人ならだれでも知っている料理といえる。 とはいえ、どこも同じかというとそうではない。砂糖を入れる派、にんにくを入れる派、炒めてから取り出す派など、細かく見るとそれぞれにこだわりがある。そんななか、見た目でわかる最も大きな違いは「つゆだく」か「つゆなし」かである。 つゆだくORつゆなし、どっちが好き? 「つゆだく」は、たっぷりのトマト汁の中に、炒めた卵と、少々ぐでっとなったトマトが入ったビジュアルがそそる。このタイプは、半分くらい味わったら麺を投入し、セカンドステージを楽しむのが最高of最高。むしろそのた
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