キャナルシティ博多のナムジュン・パイク作品はいかに修繕されたのか。メディア・アートの「魂」を未来へ運ぶために福岡市のキャナルシティ博多にある、ナムジュン・パイクのビデオ・アート作品《Fuku/Luck,Fuku=Luck,Matrix》。近年、機器の劣化によって上映を停止していたが、今年10月に修繕された。
名和晃平 PixCell-Deer #51 2018 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE Photo by Nobutada OMOTE | SANDWICH 「タグチ・アートコレクション」は、実業家の田口弘、娘の美和の2代にわたって取り組まれている現代美術コレクション。1990年頃、キース・ヘリングの版画に魅せられて始まった収集は、現在、現代美術の動向を世界規模で概観できるコレクションへと発展している。 本展は、タグチ・アートコレクションを初めて北海道で紹介。日本、アジア、アフリカ、中東、欧米の現代アーティストの絵画、彫刻、写真、映像など66点が展示される。主な出品作家に、ジュリアン・オピー、マーク・クイン、ダミアン・ハースト、トーマス・ルフ、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリング、ライアン・マッギンレー、ヴィック・ムニーズ、ヴァルダ・カイヴァーノ、草間彌生、オ
会場の半分を失った「アーモリー・ショー」 ニューヨークを代表するアートフェア「アーモリー・ショー」は、例年マンハッタンの最西端、ハドソン川に面した埠頭の「ピア92」と「ピア94」で開催される。ところが今年、会期直前に行われた、ニューヨーク市による定期立入検査において、会場のひとつである「ピア92」に構造上の欠陥が見つかった。2月20日、市は「アーモリー・ショー」を運営する親会社「Merchandise Mart Properties, Inc(MMPI)」に対し、安全面の観点から「ピア92」のフェア会場としての使用を禁じる通達を行った。33ヶ国から198の出展者を予定していた「アーモリー・ショー」。3月7日からの開催を間近に控えたタイミングで、会場の半分を失うのは、まさしく最悪の事態だった。 そこで白羽の矢が立ったのが、「アーモリー・ショー」の姉妹フェア「VOLTA」だ。「VOLTA」はア
オリンピックを翌年控えた2019年の東京を舞台にした大友克洋によるSFコミック『AKIRA』。同作は1988年に映画化もされ、いまなお世界的に高い支持を集める作品だ。 この舞台とリンクするような現代、12月23日からNHKで放送されるNHKスペシャル『シリーズ「東京リボーン」』に、『AKIRA』の制作に携わったクリエイターが集結した。 『シリーズ「東京リボーン」』は、戦争からの復興、そして高度成長期に続く3度目の大変貌の最中にある東京にフォーカスし、人々の頭脳戦や人間ドラマを織り交ぜながら、巨大開発の壮大なスペクタクルを全6回シリーズで描くもの。 大友自らがデザイン監修を務め、テーマ音楽は映画『AKIRA』の音楽を担当した芸能山城組の組頭で作曲家の山城祥二が担当。また題字は『AKIRA』の文字を手がけた劇画家の平田弘史が務めるなど、『AKIRA』の世界観がそのまま再現されたような構成になっ
1970年代の禁欲的な絵画やコンセプチュアル・アートなどへの反発から「新表現主義」などが広まった80年代、そして続く90年代には、村上隆などに代表される日本のサブカルチャーに影響を受けた表現が注目を浴びた。 こうした背景から、美術が参照されることはいまだ少ない80年代だが、インスタレーション、オルタナティブ・スペース、メディア・アートなどが生まれた充実した時代であり、現代美術という領域にとって重要な通過点だ。 本展では、今日の視点から80年代の日本の美術を見つめ直し、「起点」となる作品を紹介。日比野克彦や中原浩大、大竹伸朗、横尾忠則をはじめ、現在でも最前線で活躍する作家たちの、当時の表現に注目する。
生命を主題や素材にした芸術の新しい潮流である「バイオ・アート」。その現在形を紹介する企画展「2018年のフランケンシュタイン バイオアートにみる芸術と科学と社会のいま」が東京・表参道のEYE OF GYREでスタートした。 本展は、金沢21世紀美術館で「DeathLAB: 死を民主化せよ」(2018)、「バイオバロック」(2017)、「コレクション展2 死なない命」(2017〜18)、「Ghost in the Cell: 細胞の中の幽霊」(2015〜16)などを企画し、話題を集めてきた学芸員の髙橋洋介がキュレーションを担当。 イギリスの小説家メアリー・シェリーによって「フランケンシュタイン」が誕生してからちょうど200年となった今年。髙橋は『フランケンシュタイン』で提示された「創造物による創造主への反乱」「神に代わり生命を創り出すことの代償」「性と生殖の分離」といった問題に焦点を当て、「
奄美大島の自然を日本画に描いた孤高の画家、田中一村の生誕110年を記念し、大規模な回顧展が開催される。 一村は栃木県生まれ。幼少期より南画を描き、1926年に東京美術学校に入学をするも2ヶ月で退学し、それ以降は特定の師から学ぶことなく、独学で画家人生を歩む。千葉で20年間写生に没頭し、新しい創作への道を模索。奄美大島へわたり、亜熱帯の植物や鳥などを題材とした日本画を描き、独自の画業を追い求めた。だが、その作品を発表されることなく無名のまま世を去る。 本展では、田中の幼少期〜青年期にかけての南画、その後の南画との決別から新しい日本画への模索、そして琳派を彷彿とさせる奄美の情景を描いた作品まで、各時代の代表作を含む150点以上の作品を展示。「本道と信ずる絵」を求めた創作の軌跡とその芸術の真髄に迫る。
DeathLAB Constellation Park 2014 © LATENT Productions and Columbia GSAPP DeathLAB 人口集中とそれに伴う深刻な墓地不足、少子高齢化、無宗教を支持する人の増加、火葬の二酸化炭素排出による環境負荷といった、都市における「死」をめぐる問題をテーマにした展覧会「DeathLAB:死を民主化せよ」が、金沢21世紀美術館で開催中だ。 環境、時間、空間といった街の多種多様な制約に対応できる「死」の未来を、宗教学や建築学、地球環境工学、生物学などを横断して探求している「DeathLAB」。2013年コロンビア大学の建築・都市保存大学院に設立された、火葬や自然葬や宇宙葬といった既存のものとは違う新しい死の形を提案する「死の研究所」だ。代表は、聖域、追憶、死の都市空間を再考する学際的な研究で知られる、コロンビア大学建築・都市・歴史
森美術館「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」より 齋藤精一+ライゾマティクス・アーキテクチャーによる、体験型インスタレーション《パワー・オブ・スケール》の展示風景 東京の観光名所・六本木ヒルズ内にある森美術館では、日本の建築全体をテーマにした展覧会「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が開催中だ。日本の建築の歴史を100のプロジェクト、400の展示物を通して概観するものとなっている。 なかでも注目なのは、国宝《待庵》の原寸大再現。《待庵》は、千利休が1581年頃に大山崎在住中に建てたといわれる小間の茶室で、今回の原寸大模型ではその特徴でもある二畳の茶席やにじり口などの細部までが再現されているので、要注目。 ほかにも、齋藤精一+ライゾマティクス・アーキテクチャーによる、体験型インスタレーション《パワー・オブ・スケール》は見逃せない。最新技術のレーザーファイバーと映像によって、古今の
世界を代表する美術館・テートのコレクション──まず、この展覧会が開催に至った経緯からうかがいます。本展は、イギリス、テートのコレクションを紹介するものですが、まずはそのテートが一体どういう美術館なのかからお聞かせください。 テートはイギリスを代表する国立美術館で、現在4つの分館(ブリテン、リバプール、セント・アイヴス、モダン)があります。もともとは砂糖精製で財を成したヘンリー・テートのコレクションが核になっています。テートは1889年、自分のコレクションを国に寄贈しようとしたのですが、ナショナル・ギャラリーに断られてしまったんです。テートのコレクションは当時の現代美術だったのですが、イギリスには受け皿となる現代美術館がなかった。そこで、「同時代の美術を展示する美術館を」という議論が起こり、「ナショナル・ギャラリーの分館(ナショナル・ギャラリー・オブ・ブリティッシュ・アート)」というかたちで
マシュー・バーニー CREMASTER 5 1997 Photo by Michael James O’Brien © Matthew Barney, courtesy Gladstone Gallery, New York and Brussels 「爆音上映」は映画批評家でboid主宰の樋口泰人が始めた上映イベントで、いまや各地で映画の爆音上映が行われている。これは、一般的な映画用の音響セッティングではなく、音楽ライブ用の音響機器を使用することで、高音質で高音響の映画を個別に試みるというもの。ただ音を大きくするだけではなく、爆音にすることで、通常上映では小さく沈んでいた音も浮かび上がらすことができ、より作品のディテールに迫ることも可能となる。
日本を代表する現代美術館の一つとして1979年の開館以来、数々の企画展を開催してきた原美術館。本展では、創立者であり現館長の原俊夫自身が初めてキュレーションを手がけるもの。 前期は、美術館開館前後の70年代後半から80年代前代までの初期収蔵作品を中心に、後期は企画展などをきっかけに購入した作品で構成。ジャクソン・ポロック、アンディ・ウォーホル、ジャン・デュビュッフェ、河原温、草間彌生、ナム・ジュン・パイク、荒木経惟、名和晃平、野口里佳、束芋など、さまざまな時代、ジャンルの作品を展覧する。 |現代美術に魅せられてー原俊夫による原美術館コレクション展前期:2018年1月6日〜3月11日 後期:2018年3月21日〜6月3日 会場:原美術館 住所:東京都品川区北品川4-7-25 電話番号:03-3445-0651 開館時間:11:00〜17:00(祝日を除く水曜〜20:00)※入館は閉館の30分
近代都市文化の申し子であるミュシャが、最晩年に手掛けた民族神話の一大叙事詩。「神話」「叙事詩」という前近代的なモチーフを描くにあたって、いわゆる「近代絵画」ではないミュシャのイラスト的画面構成が功を奏していると思えば、一方で、近代絵画をスキップしていることによる空間の平板さ、凡庸さもあり、それらの混在は目眩を誘う。現代の日本で言うなら、愛国心に目覚めたネットの神絵師が古事記をテーマに巨大絵画を描いたようなものであり、その意味で本展は、私たちにとって「予言的」ですらあったのかもしれない。 |地獄絵ワンダーランド(三井記念美術館、2017年7月15日〜9月13日) 周知のように、今年は恵心僧都源信の1000年忌であった。源信1000年忌を記念して、地獄をテーマにした展覧会が多数開催されたが、一番の目玉であったはずの「源信展」(奈良国立博物館)が意外と平凡で肩透かしだったのに比べ、本展は出色の出
Matthew Barney and Jonathan Bepler RIVER OF FUNDAMENT: BA, 2014 Production Still Photo by Hugo Glendinning © Matthew Barney, Courtesy Gladstone Gallery, New York and Brussels. アメリカを代表する作家ノーマン・メイラーの小説を下敷きに、古代エジプト神話とアメリカの現代が交錯する映像叙事詩。三幕にわたり繰り広げられる死者(ノーマン)の死と再生の儀式はついに失敗に終わるのだが、その神話的な循環する時間と運命を引き受ける覚悟の感覚が、ある種の享楽とともに到来する。どの場面を切り取っても美醜ないまぜの圧倒的な絵づくりが、観る者を6時間にわたり忘我の境地に誘う。ヴィジョナリーとしてのアーティストの才能を見せつけられた。 |杉戸洋
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