「書店で、売り切れだそうです!」 電話口の報告に、吉條宏さんは耳を疑った。東京や大阪の玩具問屋に持ち込んでも、発売から4年ほどは思うように売れなかったパズルブロック。それが、試しに置いてもらった書店で、わずか1週間で完売したのだ。 このブロック「LaQ(ラキュー)」は今、世界28カ国で販売され、海外の玩具アワードを多数受賞している。2010年にはアメリカの権威ある評価機関『Dr.Toy's』で、100点中のトップ10に選ばれた。さらに2026年6月、経済産業省『新たな世界を切り開く 玩具産業企業20選』に選定されている。 だが、ここに至るまでには、売れるまで約10年、累積赤字約8000万円という道のりがあった。 おもちゃ屋では見向きもされなかった「知育玩具」 その会社があるのは奈良県吉野郡。人口約1.5万人の奈良県の山あいの町だ。開発者は、吉條宏(きちじょう ひろし)さん。ヨシリツ株式会社

