歌会始に今回最年長88歳で入選 18歳の自分を支えた母を思う
宇都宮市の元教員古橋正好さん(88)が1月19日、「歌会始の儀」に参加する。入選者10人の中で最年長。70年前に母と過ごした日々が、創作活動の原点になっている。
「みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる」
「のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳根の母は死にたまふなり」
この2首に心が引かれ、短歌に興味を持った。宇都宮高校3年の秋、国語の授業で学んだ斎藤茂吉(1882~1953)の作品だ。母のシズさんが胃がんの手術を受け、入院していたころだった。
その後に退院したが、医師からは「かなり厳しい」と言われた。母には病名も見通しも伝えなかった。だが、古橋さんは「母は知らないふりをしていただけかもしれない」と振り返る。
大学受験が迫っていたころでもある。友人から東京の大学を誘われた。それでも、地元の宇都宮大学を選んだ。経済的な事情に加え、母を看病しなければならなかったからだ。母は一人息子を東京の親戚宅に下宿させようと考えてくれたが、自身が病気で倒れた。
古橋さんは看病を苦にしたことはないものの、勉強する時間も心の余裕もないまま宇都宮大学を受験する3月下旬の朝を迎えた。
台所からコトコト聞こえる音…







































