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コリン (栄養素)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コリン (栄養素)
識別情報
CAS登録番号 62-49-7
PubChem C00114
特性
化学式 C5H14NO
モル質量 104.17 g mol−1
危険性
EU分類 腐食性 C
EU Index 腐食性 Corrosive (C)
NFPA 704
0
0
0
COR
Rフレーズ H314
Sフレーズ P260, P264, P280, P301+330+331, P303+361+353, P304+340, P305+351+338, P310, P321, P363, P405, P501
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

コリンCholine, Cholin)は、循環器系の機能、および細胞膜の構成と補修に不可欠な水溶性の栄養素である。

歴史

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アドルフ・ストレッカー(ドイツ語: Adolph Strecker)により1862年に発見され、1866年化学合成された。1998年にはアメリカ医学研究所食品栄養委員会によって必須栄養素とされ、適正摂取量が定められた。

化学的性質

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コリンは以下の示性式で表される第四級アンモニウムカチオンである。

ここでX塩化物イオン水酸化物イオン酒石酸イオンといったアニオンである。

生理学的性質

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コリン代謝系
B12:ビタミンB12
CH3・: メチル基
Choline: コリン
Homocystein:ホモシステイン
Methionine:メチオニン
Methylation: メチル化
Phosphatidylcholine:レシチン(リン脂質)
THF:テトラヒドロ葉酸

コリンおよびその代謝物質は、生理学上の3つの重要な役割を演じる。細胞膜の構造の保全と細胞シグナリングの役割、アセチルコリンへ合成されることによる神経伝達物質としての役割、S-アデノシルメチオニンを合成する代謝経路に関与する代謝物質トリメチルグリシン(ベタイン)を通じたメチル基の主な原料としての役割である。

コリンが肉体によって代謝されるとき、魚のにおいがする合成物トリメチルアミンが生成されることがある。したがって、サプリメントとして1日10ないし16グラムとるなど、大量のコリンを摂取した場合、その人は魚のような体臭に苦しむ可能性がある。

食品中のコリン

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栄養素としてのコリンは次の形で存在している。[1]

摂取

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摂取基準

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米国における推奨コリン摂取量を以下に示す。日本においてはコリンの推奨摂取量は定義されていない模様。

コリン推奨摂取量(米国)[2]
年齢/性別など 推奨量 ADI/AI (mg/日) 上限 UL (mg/日)
幼児(0-1歳) 125-150 未定義
子供(1-8歳) 200-250 1000
子供(9-13歳) 375 2000
成人男子(14歳以上) 550 3000-3500
成人女子(14歳以上) 400-425 3000-3500
成人女子(妊娠期) 450 3000-3500
成人女子(授乳期) 550 3000-3500

食品中の含有量

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食品中の総コリン含有量
総コリン含有量(USDAデータベース)より抜粋[3]
食品名 総コリン含有量
(mg/100g)
クリームチーズ 27.0
たまご(全卵、生) 250.0
牛乳(全乳、3.25%) 14.0
パセリ(スパイス、乾燥) 97.0
ターメリック(スパイス) 49.0
鶏(肉、ロースト) 79.0
鶏(肝臓、生) 190.0
鶏(肝臓、調理済) 290-330
シリアル
(ケロッグ、オールブラン、オリジナル)
49.0
バナナ(生) 9.8
豚(ベーコン、生) 47.0
豚(ベーコン、調理済) 120-130
豚(挽き肉、生) 69.0
豚(挽き肉、調理済) 87.0
えだまめ(冷凍) 56.0
アーモンド 52.0
カシューナッツ(ロースト、塩) 61.0
マカダミアナッツ(ロースト、塩) 45.0
牛(挽き肉、95%赤身、生) 71.0
牛(挽き肉、95%赤身、ゆで) 85.0
牛(肝臓、生) 330.0
牛(肝臓、調理済) 420-430
たら(北大西洋、調理済) 84.0
サーモン(北大西洋、養殖、生) 79.0
サーモン(北大西洋、養殖、調理済) 91.0
紅鮭(アラスカ産、生) 99.0
白身魚(アラスカ産、卵) 250.0
まぐろ(ツナ、ライト缶) 29.0
ピーナツバター(スムースタイプ) 66.0
ピーナッツ(生) 53.0
大豆(完熟種子、生) 120
大豆プロテイン(isolate) 190 [4]
パン(精製小麦) 15.0
パン(全粒小麦) 27.0
アイスクリーム(バニラ) 26.0
シリアル(QUAKER、オートブラン、乾燥) 59.0
オートブラン(生) 32.0
米(長粒種、玄米、調理済) 9.2
米(長粒種、精製、調理済) 2.1
スパゲッティ(調理済) 6.4
小麦胚芽(トースト済、シリアル) 180

脚注

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  1. ^ Paul M. Coates; M. Coates Paul; Marc Blackman; Marc R. Blackman, Gordon M. Cragg, Mark Levine, Jeffrey D. White, Joel Moss, Mark A. Levine (29 December 2004). Encyclopedia of Dietary Supplements (Print). CRC Press. pp. 109. ISBN 978-0-8247-5504-1. https://books.google.co.jp/books?id=Sfmc-fRCj10C&pg=PA109&redir_esc=y&hl=ja 
  2. ^ Dietary Reference Intakes”. Institute of Medicine(英). 2012年6月26日閲覧。
  3. ^ USDA Database for the Choline Content of Common Foods, Release 2 (2008)”. 2018年9月19日閲覧。
  4. ^ 16122, Soy protein isolate, National Nutrient Database for Standard Reference Legacy Release, USDA (2018)

関連項目

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外部リンク

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