ロジスティクス物流・交通インフラを取り巻く環境は、近年急激な変化を遂げている。いわゆる「2024年問題」に端を発した労働環境の改革、安全管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)化、および荷主企業や社会全体から求められるコンプライアンス(法令遵守)の徹底など、輸送・運行に携わるすべての企業にとって、安全運転への取り組みは単なる「リスクマネジメント」を超え、「最大の経営戦略」へとシフトしている。
こうしたなか、日頃からの卓越した安全運転への取り組みを可視化し、称え、業界全体の安全意識の底上げを図るための表彰制度「Safety Driving Award 2026」のエントリー受付が開始された。
同アワードは、日々の運行において事故防止に全力を尽くしている運行管理者やドライバーにスポットライトを当て、その優れたプロセスや成果を社会に広く発信することを目的としたもの。

▲昨年の会場の様子(出所:Safety Driving Award 2025実行委員会)
「自社の安全対策はどこまで通用するのか」「現場の努力をしっかりと形にして報いたい」「企業の社会的信用をさらに強固なものにしたい」──そんな熱い想いを持った企業の皆様からの積極的な応募を期待している。
本年のアワードは、2025年度の枠組みをベースにしつつ、現在の運行環境に即した新たな評価軸を取り入れ、より公平かつ多角的な審査を行う。
また、今年度からはさらに多くの企業に光を当てるため、新たに「安全運転実践事業者」の認定を開始する。これにより、基本的な取り組みを組織的・継続的に実践できている数多くの企業がその実績を公表・発信できるようになり、社会全体での交通事故削減の機運向上を目指す。
■応募対象
営業車、トラック、バス、タクシー、送迎車などの社用車を有し、交通安全に取り組むすべての企業・事業者。大企業から中小企業、自治体、または拠点・営業所単位での応募も可能。
■認定・表彰の構成
最優秀賞、優秀賞: 事故削減の成果をあげ、他社や業界の模範となる優れた取り組み
Good Practice賞: 事故削減などの成果が期待でき、ユニークな創意工夫がみられる取り組み
安全運転実践事業者: 基本的な事故削減の取り組みを、組織的・継続的に実践している企業・事業者
■提出物
規定エントリーシート(Excelファイル)
※所定のフォーマットに基づき、自社の安全運転の取り組み内容、事故削減実績などのデータを記入し提出する。
■開催スケジュール
エントリーシート提出期間: 2026年6月8日(月)~ 2026年8月28日(金)17:00
・応募説明会
今年度からは、応募に先駆けて応募説明会が開催される。新たに追加された認定制度のエントリーシートの具体的な書き方や、応募にあたっての疑問などについての説明が行われる。参加希望者は、記事下段フォームより申し込みを。
日時:
第1回:7月6日(月)16:00~17:00
第2回:7月28日(火)16:00~17:00
開催方法: オンライン(Zoomなど)
・最終締切: 8月28日(金)17:00
・審査会・結果通知: 2026年10月中旬
・受賞企業発表・授賞式イベント: 2026年12月9日(水)
受賞企業が語る、アワードに応募・受賞することのメリット
安全運転アワードへのエントリーは、単なる「賞状の獲得」に留まらない。

▲昨年の大賞を受賞した西部運輸は、安全対策を担当していた占部恵司氏がトロフィーを受け取った(出所:Safety Driving Award 2025実行委員会)
前年度の「Safety Driving Award 2025」において、運送事業部門の最優秀賞に輝いた西部運輸(広島県福山市)によると、受賞したことによるいくつもの具体的な効果があったという。同社で安全統括管理者を務める安全指導部・取締役部長の占部恵司氏は、受賞を果たしたこと、および受賞に向けた自社プロセスの整理のなかで、経営、採用、現場のモチベーション、および取引先との関係性において、極めて具体的なメリットが実証されたと語る。
以下に、同氏のリアルな声を交えながら、本アワードに応募・受賞することによる「5大メリット」を紹介する。
メリット1:取引先(荷主)からの圧倒的な信頼獲得と新規案件の受注増
現在、荷主企業が物流業者を選定する際、最も重視するコンプライアンス項目の一つが「安全への投資と実績」である。本アワードでの受賞や「安全運転実践事業者」としての認定事実は、自社の安全品質が客観的に高水準であることの公的な証明になる。安全性を武器にした強固な営業提案が可能になり、結果として既存取引の維持だけでなく、新規相談件数の増加にも直結する。
西部運輸においても、かつて直面した厳しい行政処分という苦い経験を乗り越え、法令遵守と徹底した安全対策を推進した。そしてその姿勢が、最優秀賞の獲得という形で公的に評価されたことで、取引先からの評価は決定的なものとなった。
占部氏は、「2019年に事業許可取り消し処分という極めて重い現実を経験し、そこから法律遵守を徹底する姿勢を突き詰め、アワードに応募した」と応募の経緯を説明。また「その安全に対する本気の姿勢がコンプライアンスリスクに敏感な大手荷主様から極めて高く評価され、結果として、長距離便のさらなる受注をいただけるようになった」とアワードが信頼回復に大きく寄与したと語る。まさに「安全が最大の営業ツールになる」ということを、具体的な数字をもって証明しているのだ。
メリット2:「安全でホワイトな職場」としての求職者への強いアピール
深刻なドライバー不足が続くなか、求職者やその家族が最も懸念するのは「労働環境の過酷さ」や「事故のリスク」である。「Safety Driving Award」のロゴマークを求人票や自社採用サイトに掲げることで、他社との圧倒的な差別化を図ることができる。これにより、質の高い人材を効率的に確保することが可能となり、ご家族に対しても「安心して送り出せる会社」としての強い信頼感を与えることができる。
未経験者の採用を多く手掛け、紹介による入社も活発である西部運輸でも、本アワードの獲得による企業イメージの向上は、採用を劇的に好転させる要因になった。
占部氏によれば、「新規採用においては、業界経験者よりも未経験者を多く受け入れているが、アワードでの受賞は求職者に対して『ここは安全最優先のホワイトな環境である』という強力な安心感を与えるフックになっている」と求人面でも大きなメリットを享受していると語る。また、「ドライバーだけでなくご家族の方にも『安心して送り出せる会社』として強い信頼を持っていただいたことで、内定辞退の抑制や従業員からの知人紹介(リファラル採用)の増加に直結している」とし、定着率向上や、さらなる採用活動の拡大にもつながっていると説明する。
メリット3:現場ドライバーのモチベーション向上と「プロ意識」の醸成
日々の安全運転は、目立ちにくく、地道な努力の連続である。その努力が「全国規模のアワード」という最高峰のステージで公に評価されることは、現場でハンドルを握るドライバーや、それを支える運行管理者の皆様にとって、大きな誇りと自信になる。
西部運輸では、アワードの受賞を契機に現場のプライドと一体感がより強固なものへと進化した。占部氏は、社内に生まれた変化を「日々の安全活動が全国規模で認められたことで、社内に『最優秀賞を受賞した会社の名に恥じない運転をしよう』という良い意味での高いプライドと連帯感が芽生えた」と説明する。また、一般の方向けにも、自社の車両がルール違反をしているのを見かけたら、直接会社に連絡をしてほしいと公言しているのだという。占部氏はこれにより「一般からの通報を単なるリスクと捉えて隠すのではなく、プロとしての看板を背負う健全な緊張感へと変えることができた」といい、ドライバー自身が自律的に安全を意識し、お互いにノウハウを共有し合う文化が定着したと語る。

▲授賞式の後に開かれる交流会では、社内の反発をいかにクリアしたのかなど、生々しいエピソードが聞けるほか、受賞企業の担当者に直接質問をぶつけることも出来る(出所:Safety Driving Award 2025実行委員会)
メリット4:事故率の劇的低下による保険料・燃料コストの削減
アワード応募に向けて自社の運転データや取り組みを整理するプロセスそのものが、直接的なコスト削減へと繋がる。くわえて、「安全運転実践事業者」などの認定を獲得することで、自社の安全に対する姿勢が高水準であると第三者から客観的に裏付けられ、それを武器とした力強い営業提案が可能となる点も見逃せない。 こうした明確な目標に向けて安全運転の徹底(急加減速の禁止、法定速度の厳守)が現場に根付くことで、重大事故の発生件数が極小化されるだけでなく、車両の平均燃費が改善し、燃料コストを大幅に削減できる。さらに、長期的な事故率の低下に伴い、自動車保険のフリート契約割引率が最適化され、固定費の大幅な圧縮が可能となる。
独自の安全活動を追求し、グループ全体の事故総数を約5割削減するという驚異的な成果を収めた西部運輸では、このコスト削減効果がさらなる安全投資を生む好循環を構築している。
占部氏は、経営面での具体的なメリットを以下のように解説する。
「事故防止の取り組みを徹底してグループの事故件数を半減させたことで、有責事故に伴う賠償や自動車保険料の大幅なコスト圧縮を実現できた。そして何より、この削減効果によって浮いた損保関連の費用などを原資として、AI搭載型ドライブレコーダーなどの最新安全機器へさらに再投資するシステムができた。安全投資が利益を生み、その利益が次の安全へと還元される好循環が回っている」
メリット5:参加企業限定「事例集」の進呈と安全対策のブラッシュアップ
本アワードに応募した企業には、参加特典として他社の具体的な安全活動が体系的にまとめられた「参加企業の事例集」が贈呈される。
一口に安全対策と言っても、企業の規模や保有車両、走行エリアによって抱える課題は千差万別だ。この事例集には、様々な業界や企業の実状に沿った生々しい実例や、失敗から改善に至るまでのプロセスが豊富に収録されている。

▲授賞式で行われるパネルディスカッションには受賞企業が登壇し、安全対策を現場に落とし込む際の詳細なノウハウが語られた(出所:Safety Driving Award 2025実行委員会)
他社がどのような基準で安全教育を実施し、どのようなシステム運用で課題を解決しているかを知ることは極めて重要。実状に沿った多種多様な成功・失敗事例をベンチマークにすることは、自社の安全管理体制における死角の発見や、既存の取り組みを次の次元へとブラッシュアップするための貴重な武器になる。これを得ることもまた、すべての応募企業にとって挑戦するに値する大きな利益といえる。
提出物の「規定エントリーシート(Excel)」は特設サイトからダウンロードして記入し提出する。
【STEP 1】特設サイトよりエントリーシートのダウンロードと作成(2026年6月8日〜)
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【STEP 2】規定エントリーシート(Excel)の提出
(1次締切:7/31、2次締切:8/14、最終締切:8/28 17:00)
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【STEP 3】審査会による厳正な審査、結果通知(2026年10月中旬)
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【STEP 4】受賞企業発表・授賞式イベントでの表彰(2026年12月9日)
応募書類を作成するプロセス自体が、自社の現在の安全対策を棚卸しし、強みと課題を把握する「健康診断(現状把握)」の絶好の機会となる。「まだ他社に誇れるような大それた実績はない」と躊躇する必要はない。今年から新設された「安全運転実践事業者」の認定も含め、自社のステップアップのためのマイルストーンとして、ぜひ本アワードを活用してほしい。
E-mail:info@safety-driving-award.com(Safety Driving Award 2026 事務局)
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