受験直前でもスマホがやめられない息子 佐藤ママが教える「親ができる最後の仕事」とは

2025/12/27

■思春期子育てお悩み相談

受験が目前に迫っているのに、夜遅くまでスマホばかり触っている。そんな子どもの姿に、いらだちと不安を抱える保護者は少なくありません。今回の相談者も、夜にスマホを見ている時間が長く、朝なかなか起きられない息子に、どう声をかけるべきかと葛藤しています。3男1女全員を東京大学理科三類に進学させた「佐藤ママ」こと、佐藤亮子さんに受験期のスマホ問題と向き合う方法を聞きました。(聞き手=朝日新聞「Thinkキャンパス」平岡妙子編集長)

 

Q.息子は大学受験を控えている高校3年生です。最近、朝なかなか起きられず、何度声をかけても布団から出てきません。起こしても「うるさい」「わかってる」と不機嫌になり、時には無視されることもあります。塾や学校ではそれなりに勉強しているようですが、生活リズムが乱れていることが心配です。「もっと早く寝なさい」と言っても、夜はスマホを触っていたり、ダラダラ起きていたり。私の言い方が悪いのか、それとももう本人に任せるしかないのでしょうか。入試も迫っている中、どう対応すればいいですか。(母親・40代・兵庫県在住)

スマホを取り上げる勇気を

――夜、スマホを触ってダラダラしている息子さんに、どう対応すればいいのかというのは、本当に悩ましいと思います。

ぐずぐずして起きてこない息子さんを、お母さんは毎日、一生懸命起こしているんです。言い方が悪いなどということはないと思いますよ。十分すぎるほど頑張っているのが伝わってきます。

最大の原因は、スマホですよね。高3の受験直前期にダラダラとスマホを見ているなんて、あり得ません。ちょっと気分転換に見るというのではなく、現実逃避してしまっているのだろうと思います。恐らく、わからない問題、解けない問題があるからスマホに手が伸びるんです。過去問がどんどん解けて手応えがあれば、こんなふうにはなりませんから、悪循環に陥ってしまっています。

――高校生ともなると、親が一方的にスマホを取り上げるのも難しそうです。

そうですね。でも、高校生は私たちが思っている以上に未熟です。その場その場で何とも刹那的に生きています。目の前の問題がわからないと、「ちょっとYouTubeを」とスマホに手が伸びる。最初は「ちょっと」のつもりが、あっという間に30分、1時間となってしまうんです。

「朝、起きられないんだから、スマホを触らずに早く寝なさい」と目の前のことを注意するのではなく、「このままスマホを触っていたらどうなるのか」と少し先のことを伝えるのが大事です。

――「話をしよう」と声をかけても、「うるさい」と反発されそうです。

 確かに、この状況で改まって話をしようとしても難しいでしょう。食事中に感情的にならず、淡々と伝えるのがいいと思います。「あなたの前には道が2つある。スマホをやめてしっかり勉強し、夜はさっさと寝て、朝しっかり起きて合格を目指す道と、このままダラダラとスマホを見て受験当日を迎える道。今、人生の大きな分かれ道の分岐点にいるんだよ」と教えてあげてください。

そのうえで、現実問題として、どうやってスマホ断ちをするか。スマホは息子さんの大切な時間を吸い取っているわけです。そのスマホとどう距離を取らせるか、ここは母親の覚悟が試されているとも言えます。

合格したら「ありがとう」と言われる

――優しく言っていても、そう簡単にスマホから離れられないですよね。

1日や2日では、スマホを触りながらダラダラする習慣は直りません。そもそもスマホを取り上げようとすると、絶対にバトルになります。それでも、どれだけ覚悟を持って対峙できるかです。

私の息子たちが受験生だった頃はガラケーでした。当時はガラケーのゲームに依存してしまう子がいたのですが、灘高では私が知っているだけでも、そのガラケーを半分に折って使えないようにしたお母さんが4人いました。もちろん、その時は大反発だったでしょうけれど、結果的にはみんなお母さんに感謝したと聞きました。合格を勝ち取った時に、「あの時はありがとう」と息子に言われたと。それくらい、依存していたということです。

先日、都内のある超難関校で講演する機会がありましたが、やはりそこでも保護者の最大の悩みはスマホ問題でした。本当に今の中高生にとって切実なテーマです。

――スマホを断つためには、どんなことができると思いますか。

刹那的に生きている子どもには、建設的な提案をしてあげるべきです。具体的には、「勉強中はお母さんが預かる」「夜寝る時も預かって、朝起きたら渡す」といった案を出して、「お母さんも応援するから、頑張ってみない?」と提案するといいと思います。

それでもダメなら、強硬手段に出るか。スマホを水没させてしまえばいいと思うほど、ショック療法を与えないと変われない子もいますよね。

いずれにしても、「お母さんはスマホをやめてさっさと寝るという道も示したよ。その道を選ばなかったのはあなた自身であることは、死ぬまで覚えておいてね」と釘をさしておくことも大切です。

朝起こすことは、最後の仕事

――このままだと浪人する可能性もありそうな気もします。

この状況のまま浪人しても、絶対に勉強しないと思いますから、この息子さんの場合は現役で合格できる大学を探すべきです。いつも言っていることですが、受験って本当に現実的です。「この状況だと、受験大学のレベルを落とすことを考えよう」と、厳しい現実も突きつけるべきだと思います。現役で大学生になるためには、1ランク、2ランク下の大学を受験するしかない。それも教えてあげないとわからないと思います。

――朝起こす、起こさないについてのお母さんの葛藤はどうしたらいいでしょうか。

受験生でも、7~8時間は寝ないと誰でも眠いんですよ。勉強後はスマホを触らず、決めた時間に寝て、睡眠時間はしっかり確保すること。これは大原則です。

息子さんがスマホを手放せず変化が見られなくても、起こすことだけは最後までやってあげればいいと思います。無視されても、何を言われても、いわばお母さんの「最後の仕事」だと思って徹底的に起こす。そのほうが、お母さん自身に悔いが残らないですよ。

<プロフィル>
佐藤亮子(さとう・りょうこ)/大分県生まれ。津田塾大学卒業後、大分県内の私立高校で英語教師を務める。結婚後は夫の勤務先である奈良県に移り、専業主婦として長男、次男、三男、長女の4人の子どもを育てる。長男、次男、三男は灘中学・高等学校を経て東京大学理科三類に進学。長女は洛南高等学校附属中学・洛南高等学校を経て、同理科三類に進学した。現在は4人とも医師として活躍している。そうした育児法、教育法に注目が集まり、進学塾「浜学園」のアドバイザーを務めながら、子育てや勉強、受験をテーマに全国で講演を行っている。著書に『三男一女東大理Ⅲ合格!佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール42』(朝日新聞出版)など。

(文=小内三奈、写真=倉田貴志)

 

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