90年代に世界最速を目指し誕生してから わずか4年で倒産 139台しか作られなかった“悲運のスーパーカー” 青いブガッティ「EB110GT」の価値とは
走行わずか1.1万キロの極上個体
RMサザビーズが2026年8月に開催する「モントレー・オークション」において、スーパーカーの歴史を語る上で欠かせない記念碑的なモデルが出品されます。
それが、1993年式ブガッティ「EB110GT」です。この車両は、現在のブガッティの礎を築いた伝説的なモデルであり、当時の最先端技術が惜しみなく投入された貴重な一台です。
ブガッティの創業者であるエットーレ・ブガッティの生誕110周年を記念して命名された「EB110」は、イタリア人実業家ロマノ・アルティオーリの手によってブランドが復活した1990年代初頭に産声を上げました。
そのメカニズムは、現代のハイパーカーと比較してもまったく見劣りしない先進性に満ちています。当時の航空宇宙企業アエロスパシアルが開発に関わったカーボンファイバー製のモノコックシャシを採用し、軽量化と非常に高い剛性を両立しました。
心臓部に搭載されるパワーユニットは、3.5リッターのV型12気筒エンジンに4基のターボチャージャー(クワドラプルターボ)を組み合わせたものです。さらに、F1マシンのような1気筒あたり5バルブの構造を採用しており、最高出力は550馬力を発揮します。
この強大なパワーは、フルタイム四輪駆動(4WD)システムと6速マニュアルトランスミッションを介して路面に伝えられ、最高速度は340km/h以上に達しました。当時、元F1ドライバーなどの専門家たちから「これほど高速域で安定しているクルマは他にない」と絶賛されるほどの完成度を誇りました。

当初は勢いがあり、F1世界チャンピオンのミハエル・シューマッハをはじめとする著名人がオーナーを務めていたにもかかわらず、同社はすぐに財政難に直面したといいます。当時の世界的な経済不況のあおりを受け、同社はわずか数年で生産終了を余儀なくされました。
EB110の総生産台数はバリエーションを合わせてもわずか139台にとどまり、その中でも標準仕様である「EB110GT」はわずか84台しか製造されませんでした。
今回オークションに出品される車両は、南フロリダの高名なコレクションから登場した個体です。
外装はアイコンカラーである美しい「ブルー・ブガッティ(Blu Bugatti)」に彩られ、内装は上品な「グリージョ・キアーロ(Grigio Chiaro)」のライトグレーレザーで仕上げられています。カタログ製作時の走行距離はわずか1万1505km(約7149マイル)であり、これまでのオーナー歴やメンテナンスの記録もしっかりと残された素性の良い一台です。
90年代のアナログかつ超ハイテクなスーパーカーの魅力を今に伝えるこの歴史的な傑作のオークション予想落札価格は、175万ドルから225万ドル(約2億8400万円から3億6500万円)とされています。
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