【密着レポ】NVIDIAが「フィジカルAI」で日本に賭けた真相
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先週、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが来日して数多くのニュースが流れていましたが、それらのほぼ全てを現地で取材して見えた「フィジカルAIで日本推し」する理由を解説しています。
僕の印象は、「AI敗戦国」と言われることの多い日本も、思っていた以上にこの分野で戦えそうだというもの。
明日の特集2話目で、詳細を解説予定なので、まずは本稿でNVIDIAの狙いから「フィジカルAIのビジネスモデル」をキャッチアップしてみてください。今回の熱烈なプロポーズの背景には、悲しい大人の事情が見え隠れします。NVIDIAにとって、世界最大の製造大国でありデータの宝庫である「中国市場」は喉から手が出るほど欲しい本命でした。しかし、米中経済戦争によってそこへの道を塞がれてしまった。
そこで振り返った先にいたのが「技術はある、政治的に安全、しかもおだてれば喜んで動いてくれる日本」です。米中という主役たちの喧嘩のおかげで、日本が「都合のいいキープ君」から「運命のパートナー」にスピード昇格した構図とも言えます。6月に台湾でジェンスン・ファンへの熱狂を肌で感じたが、今回の「日本に賭ける」というメッセージは、単なるリップサービスではなく、フィジカルAIという次の巨大産業において“日本が代替不可能なピースを持っている”という構造的事実に基づいていると信じたい。
生成AIは米中が圧倒的に先行した。しかしフィジカルAIは、AIの「頭脳」だけでは成立しない。精密機械制御、素材・化学、製造装置、そして巨大な現場データ。この“手足と現場”の領域で日本は世界でも稀有な強みを持つ。
ただし、手足は手足であり、中心にはAIがいる。日本が担うのは「身体と現場」であり、AIという“頭脳”の進化とどう統合するかが勝負になる。
日本企業が「ソブリン性」を明確に打ち出した点は極めて重要だが、最大の課題はスケールとスピード。日本の意思決定の遅さは、フィジカルAIの世界的な加速フェーズにおいて致命傷になり得る。
この構造的チャンスを本当にチャンスにできるかどうか。ここが日本の産業史における分岐点になると思う。うがった見方をすれば、「日本に賭けた」といっても世界中に賭けているし、日本各社の技術はすごいですが、それを本当に結集して「持続的」に勝てるかは???半導体など主導権の取り合いで自滅に近い負け方をしています。
むしろNVIDIAのリーダーシップのもとに結集したほうが実があるのでは?なんて思ってしまいますが、そんな天邪鬼の見方を一蹴してほしいものです。世界のNVIDIAが、日本のものづくりを必要としている。
日本には今も世界で戦える技術があり、今回はソブリン性や制御基盤を自ら握ろうとする構想もある。大きなチャンスだと思います。
ただ、最も向き合うべきなのは、「これほど技術がありながら、なぜ日本は過去に産業の主導権を失ったのか」ではないでしょうか。
日本が当たり前のように積み重ねてきた、安全に、精密に、持続的に動かすものづくり。それは、誰かに求められたからだけではなく、「もっと良くできる」と仕事そのものを突き詰めてきた職人気質の結晶であり、これからも色褪せない強みだと思います。
しかし、その技術を誰の、どんな課題のために使い、どんな未来をつくるのか。さらに、それを統合し、素早く投資し、世界に売り切る主体をどう生み出すのか。
過去の敗因を曖昧にしたまま「今度こそ主導権を握る」と言っても、同じことを繰り返す可能性が高いです。NVIDIAに必要とされるだけでなく、対等なパートナーになるには、技術の高さに自信を持つと同時に、なぜ過去にそれを事業の主導権へ変えられなかったのかを、徹底的に問い直す必要があると思います。この件、水を差すようでアレですが、「NVIDIAが今後成長するために残された大市場の一つが日本だった」だけに過ぎない気がするのは私だけでしょうか。
