マグミクス | manga * anime * game

『千と千尋』あの「両親」は毒親? なぜああなのか←これが意図して描かれていた話

2001年公開の『千と千尋の神隠し』は、千尋の両親が「子供に冷たい」と度々、話題になってきました。そう「見える」ことは、実のところかなり緻密に計算されたものといえるかもしれません。

「理想」ではなく「リアル」?

映画『千と千尋の神隠し』より (C) 2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM
映画『千と千尋の神隠し』より (C) 2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM

 日本テレビ系「金曜ロードショー」、2026年は『千と千尋の神隠し』からスタートします。おなじみ宮崎駿監督によるスタジオジブリの2001年公開作品です。

 公開から四半世紀、今回のようなTV放送のたびに話題になるネタのひとつが、主人公「千尋」の両親に関するものでしょう。子供に冷たいのでは、とか、大人として常識に欠ける、とかいった声が聞かれます。具体的にどのような場面が問題視されているのでしょうか。

 まず挙げられるのが、映画冒頭の車中のシーンです。父親の運転は荒く、狭い山道でも速度を落としません。後部座席で不安げな千尋の様子など、まるで気にしていないかのようです。

 さらに決定的なのが、トンネルを抜けた先での両親の行動でしょう。「行きたくない」と泣きそうになる千尋を置いて、父親はずんずん進んでいき、母親も「車で待っていなさい」と突き放します。そしてふたりは、無人の食堂で勝手に料理を食べ始めました。千尋の制止など、まったく耳に入っていません。

 怖がる娘に「しっかりしなさいよ」と言い放つ母親の態度も、視聴者の印象に残っているようです。まるで娘の不安に共感する気がないかのようで、これでは「冷たい親」と言われても仕方がないかもしれません。

 作画監督を務めた安藤雅司さんは、このふたりのキャラクターデザインについて「宮崎さんの作品に出てくる典型的なお父さん、お母さんではなくしたかった」と述べています。ここで言う「典型的な親」とは、『となりのトトロ』のお父さんや、『魔女の宅急便』の「キキ」の両親といった、子供に寄り添い優しく見守る、理想的な親の姿と考えられるでしょう。

 それに対して千尋の父親は、娘を溺愛しているものの「野放図で無神経」、母親は「クールで自分を持っている」キャラクターであると、安藤さんはいいます。茶髪でイヤリング、きちんと化粧をしている母親について、声を演じた沢口靖子さんは「旦那さまとまだまだ恋人気分を味わっている女性」と分析していました。

 つまり、子供中心ではなく、自分たちの生活や関係性を大切にする大人として描かれている、といえそうです。結果として、あのようなマイペースなふたりになったということでしょう。公開以来、確かに「毒親」という声はずっと聞かれるものでしたが、一方で2001年当時の、ドライで自分たちの趣味などを優先する「現代的な親」の姿であるという意見も見られます。

 この「頼れない親」という設定は、千尋の成長物語には必要不可欠なもの、ともいえるでしょう。湯屋でひとりきりになった千尋は、誰にも助けてもらえない状況で、自分の力で生き抜く方法を学んでいきます。もし両親が「典型的な親」だったら、千尋はあそこまで強くなれたでしょうか。親が頼りないからこそ、娘は自立せざるを得なかった、というわけです。

(マグミクス編集部)

【画像5枚】子供のころはちょっと怖かった? 千尋と両親の「例のシーン」です

画像ギャラリー

マグミクス編集部関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

アニメ最新記事

アニメの記事をもっと見る