「Google Chrome」にて、高性能な広告ブロッカーに終わりが近づいている。Chromeに施される内部的な変更によって、セキュリティだけでなく、表示されるウェブコンテンツをエンドユーザーが制御できるレベルも大きな影響を受けることになる。Googleによると、導入される変更内容には、Chromeに読み込まれるウェブページに対して拡張機能が持つ権限を制御する仕組みにかかわるものもあり、それによってプライバシーやセキュリティ、パフォーマンスが向上するという。
Googleは売り上げの70%以上(2025年は2600億ドル以上)を広告で得ているが、現在、拡張機能と読み込み中のウェブページとの連携を制御する仕組みであるAPIシステム「Manifest」の変更を進めている。現行のシステムである「Manifest V2」から「Manifest V3」に移行する作業が段階的に進行中であり、このアップデートにより、それぞれの拡張機能が適用できるフィルタリングルールの数が制限されるほか、コンテンツを動的にブロックする機能も完全に廃止される。
中でも特に大きな影響を受けるのが、「uBlock Origin」や「AdBlock」といった広告ブロック拡張機能だ。

Manifest V3への移行が迫っている(提供:Screenshot by Adrian Kingsley-Hughes/ZDNET)
Manifest V2からV3への移行は、Chromeのバージョン150のリリース(うわさによると米国時間6月30日公開)をもって完了する見通しである。それ以降は、最新版にアップデートすると、Manifest V2をベースとした拡張機能は全て使えなくなる。
Manifest V2の高い機能性と柔軟性のおかげで、uBlock Originのような拡張機能は、ブラウザー内で動作する「ミニファイアウォール」のような存在となっていた。実際に、極めて複雑な追跡防止技術やブロック回避技術への対策を実行したり、あらゆるウェブリクエストをリアルタイムに傍受したり改変したりすることが可能だった。
Manifest V3へ移行すると、こうした拡張機能は機能が大幅に制限され、ただフィルタリングルールが並べられただけのリストになってしまう。筆者が実施したテストでも、Manifest V3に対応した広告ブロック拡張機能は大半の広告をブロックできているものの、これまでより多くの広告がすり抜けていることが確認できた。
数字で言うと、Manifest V3では拡張機能のフィルタリングルール数が最大3万件に制限されるのに対し、広告ブロッカーでは8万~30万件ほどのルールが使われている。
Manifest V3でも動作するように設計された広告ブロッカー(「uBlock Origin Lite」「AdGuard」「Ghostery」など)も存在するが、高度な機能の多くを欠いている。
そして、Manifest V3が全面的に導入されると、広告主は広告ブロックを回避する技術をこれまで以上に積極的に利用するようになると筆者は見ている。


