Snowflake Summit

Snowflakeがオブザーバビリティー分野に進出--「可観測性はデータ問題だ」

末岡洋子

2026-06-18 06:00

 データのクラウドサービスを手掛けるSnowflakeがオブザーバビリティー(可観測性)分野を拡大している。その土台は、同社が2月に買収完了したObserveの技術だ。Snowflakeが6月に米国サンフランシスコで開催した「Snowflake Summit 2026」では、Observeの共同創業者で現在はSnowflakeのオブザーバビリティー事業部ゼネラルマネージャーを務めるJeremy Burton氏に、競合ひしめく市場に参入する意義とObserveの技術の強みなどについて話を聞いた。

--SnowflakeによるObserve買収の経緯を教えてほしい。

 Observeは、アプリケーションの問題解決を支援するオブザーバビリティーの企業だ。モバイルアプリや業務システムに障害が発生した際、その根本原因を調査・特定する。競合はSplunk、Datadog、New Relicといった企業になる。

 私は、2015年からSnowflakeの取締役を務め、2018年にObserveの開発を始めた。(Observeの)創業時からSnowflakeだけを基盤として構築する方針を採った。Snowflakeのストレージとコンピュートの分離というアーキテクチャーが、オブザーバビリティーのコストを大幅に下げられると確信していたからだ。当時はSplunkが1GB当たり月額5ドルを課していたが、われわれは50セントを実現できると考えた。Snowflakeによる買収は2月に完了した。

--オブザーバビリティー分野は、Cisco SystemがSplunkを買収するなど動きが激しい。なぜSnowflakeがこの分野に進出するのか。戦略的意義はどこにあるのか。

Snowflake オブザーバビリティー事業部ゼネラルマネージャーのJeremy Burton氏
Snowflake オブザーバビリティー事業部ゼネラルマネージャーのJeremy Burton氏

 Snowflakeのビジネスは、これまでデータのエンジニアリングやオペレーションの担当者相手だった。一方で、Observeの顧客はDevOps、SRE(サイト信頼性エンジニアリング)、エンジニアリングの責任者だ。同じ企業の中でも全く異なる顧客になる。オブザーバビリティーは、Snowflakeにとって全く新しい分野で、既存顧客企業の中でも別の部門に接触できる。

 意義はわれわれの根本的の思想がある。われわれは「オブザーバビリティーはデータ問題だ」との確信を持ち続けてきた。Splunkはログ、Datadogはメトリクスといったように、データが分断されていたからオブザーバビリティーは困難かつ高コストだった。データをSnowflakeのデータベースに集めれば、異なる3つ製品が1つで済む。

 今後はデータプラットフォームのプロバイダーがオブザーバビリティー市場の主役になると確信している。データ量が増えるほどに、自前のデータプラットフォームを持つことが経済的に不可欠になる。

--Snowflakeに統合されたことでObserveのアーキテクチャーがどう変化するのか。

 基本的な変化はない。われわれは創業時からSnowflake専用の設計を貫いており、複数のデータベースをサポートするという判断を一度もしなかった。複数のデータベースに対応しようとすれば、必ずアーキテクチャーに妥協が生じる。創業メンバーには、Snowflakeのクエリーエンジンを構築した人物(Philipp Unterbrunner氏)と、Snowflakeの非構造化データ対応を担当した人物(Vadim Antonov氏)の2人がいる。テレメトリーの大部分は非構造化のログなので、Snowflakeで構築するのが自然な選択だった。

 現在のObserveは、Snowflake上で1日当たり3億件のクエリーを実行し、17兆行をスキャンしている。Snowflake上で稼働するアプリケーションとして他を大きく引き離し、最大規模だ。買収後に変わることは、垂直統合の深さ。SnowflakeのインフラをさらにObserveのワークロードに最適化できるようになる。

--テレメトリーデータとビジネスデータが同一プラットフォーム上に存在することで、顧客にはどのようなメリットがあるのか

 これは、われわれが数年前から追い求めてきたビジョンになる。例えば、2時間の障害が発生した際に、「そのビジネスインパクトは何だったか」という問いに、リアルタイムに答えられる。テレメトリーとビジネスデータが同じデータベースにあればリレーショナルなクエリーで横断的な分析ができる。

 「Apache Iceberg」とオープンカタログが、このAI活用を加速する。テレメトリーをIcebergのテーブルにストリーミングし、ビジネスデータも同じIcebergのテーブルに置けば、カタログがデータの所在を把握する。「CoCo」(Snowflakeのコーディングエージェント)や「CoWork」(ナレッジワーカー向けエージェント)から自然言語で「障害のコストは?」と問うとすぐ答えが返ってくる世界が1~2年以内に来るだろう。今はまだ初期段階だが、その方向は明確だ。

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