生成AIの急速な普及と業務のデジタル化により、世界中のデータ生成量が増加している。AI学習データや膨大なクラウドワークロードを支えるデータセンターのインフラ整備が急がれる中、Seagate Technology(Seagate)は3月13日、新たなHDD「Mozaic 4+(モザイクフォープラス)」の量産出荷を開始したと発表した。
独自の熱アシスト磁気記録(Heat Assisted Magnetic Recording:HAMR)ベースのストレージプラットフォームであるMozaic 4+は、現在世界最高容量となる最大44TBを実現。主要ハイパースケールクラウドプロバイダー2社に認定され、すでに量産と実運用を開始している。

Seagateの戦略
AI時代のデータ爆発とインフラの課題

日本シーゲイト代表取締役社長の新妻太氏
日本シーゲイト代表取締役社長の新妻太氏は「AIの進化により、データはデジタル化する社会において最も価値ある資産となりつつある」と、現在の市場環境について指摘する。
テクノロジーの進化はこれまでもデータの増加をもたらしてきたが、現在起きている変化の規模は過去の比ではない。IDCの予測によると、世界で生成されるデータ量は2005年には1ZB(ゼタバイト)未満だったが、2020年には72ZBに達し、2029年には527ZBになると見込まれている。
こうしたデータ需要に応えるため、インフラの要であるデータセンター市場も急拡大を遂げている。「2030年までに世界で約1万5000のデータセンターが稼働する見込み。新設データセンターの多くは100~300MW規模の大型施設となり、これは従来のデータセンターのおよそ10倍の規模に相当する」と新妻氏は説明する。
AIインフラと聞くとGPUなどのコンピュート領域が注目されがちだが、膨大なデータを安価に「保存・保護・活用」するためのデータインフラが不可欠だ。「現在、クラウドストレージの約87%はHDDが占めている」と新妻氏が指摘する通り、クラウド環境におけるストレージはHDDであり、エクサバイト規模のデータを効率的に管理するため、HDDのさらなる大容量化への期待は高まっている。
TCO削減と環境負荷低減をもたらす「Mozaic 4+」
このようなハイパースケーラーの切実な要請に応えるのが、シーゲイトが発表した次世代プラットフォームMozaic 4+だ。「Mozaicは現在、主流な技術へと進化している。Mozaic 4+は、業界唯一のHAMRベースのストレージプラットフォームであり、現在出荷されている世界最高容量のHDDになる」と新妻氏は強調する。
データセンター事業者における最大の課題は、限られたラックスペース、電力、冷却能力の中で、いかに大容量のストレージを構築するかという点。新妻氏は、Seagateは単にHDDの台数を増やすのではなく、ディスク当たりの記録容量を高め、HDDの大容量化を進めることにある。
「例えば、1エクサバイトのストレージ環境を構築する場合、従来の30TBドライブ(ディスク1枚当たり3TB)では3万3330台が必要だった。しかし、44TBをサポートするMozaic 4+(ディスク1枚当たり4TB以上)を用いれば、2万2700台で構築可能になる」と新妻氏は試算する。
この台数削減により、設置面積は314平方フィート(約30平方メートル)から214平方フィート(約20平方メートル)へ縮小し、消費電力量は約2.6GWhから約1.80GWhへと下がる。「Mozaic 4+により、1エクサバイト構成で約47%の効率向上を実現する」と新妻氏は述べ、このドライブ単位の大容量化が設備投資の削減だけでなく、冷却負荷の軽減やエンボディドカーボン(建築時の二酸化炭素総排出量)の削減といったサステナビリティー目標の達成にも大きく貢献することをアピールした。


