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正信念仏偈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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正信偈の「依釈段」の一部。両点(原漢文の右側に音読直読、左側に漢文訓読のための訓点を施したもの)解説本。暁晴翁・著述/松川半山・画図『正信偈訓読図会』1858年より
山科本願寺で正信偈の読誦を練習する男女。『正信偈訓読図会』1858年より

正信念仏偈」(正信念佛偈、しょうしんねんぶつげ)は、親鸞の著書『教行信証』の「行巻」の末尾に所収の偈文。一般には「正信偈」(しょうしんげ)の名で親しまれている。真宗の要義大綱を七言60行120句の偈文にまとめたものである。

同じ親鸞撰述の『三帖和讃』とともに、文明5年(1473年)3月本願寺第8世蓮如によって、僧俗の間で朝暮の勤行として読誦するよう制定され[1] 、現在も行われている。

内容

大きく二つの部分によって構成されている。「総讃」の2句に続く前半は、「依経段」と言われ『仏説無量寿経(大無量寿経)』に依って明らかにされている、浄土往生の正因は信心であり、念仏は報恩行であることを説明し讃嘆している。後半の部分は「依釈段」と言われ、インド中国日本でこの教えを正しく伝えた七高僧の業績・徳を讃嘆している。

科文

  • 「総讃」-「帰命無量寿如来 南無不可思議光」
  • 「依段」
    • 弥陀章」-「法蔵菩薩因位時 - 必至滅度願成就」
    • 釈迦章」-「如来所以興出世 - 是人名分陀利華」
    • 「結誡」-「弥陀仏本願念仏 - 難中之難無過斯」
  • 「依釈段」
    • 「総讃」-「印度西天之論家 - 明如来本誓応機」
    • 龍樹章」-「釈迦如来楞伽山 - 応報大悲弘誓恩」
    • 天親章」-「天親菩薩造論説 - 入生死薗示応化」
    • 曇鸞章」-「本師曇鸞梁天子 - 諸有衆生皆普化」
    • 道綽章」-「道綽決聖道難証 - 至安養界証妙果」
    • 善導章」-「善導独明仏正意 - 即証法性之常楽」
    • 源信章」-「源信広開一代教 - 大悲無倦常照我」
    • 源空章」-「本師源空明仏教 - 必以信心為能入」
    • 「結勧」-「弘経大士宗師等 - 唯可信斯高僧説」

旋律

正信偈の読誦は、独特の旋律(メロディー)にのせた「声明」でなされることが多い。読誦の旋律は各派ごとに異なる。また各派ごとに3種類から10種類程度の旋律が定められており、読誦のTPOによって使い分けられる。以下、主な旋律を挙げる[2]

  • 大谷派は「句淘」(くゆり)・「句切」(くぎり)・「真四句目下」(しんしくめさげ)・「行四句目下」(ぎょうしくめさげ)・「草四句目下」(そうしくめさげ)・「中拍子」(ちゅうびょうし)・「真読」(しんどく)・「中読」(ちゅうどく)・「舌々」(ぜぜ)の9種類。日常的に最も頻繁に用いる旋律は「草四句目下」。
  • 本願寺派は「真譜」(しんぷ)・「行譜」(ぎょうふ)・「草譜」(そうふ)の3種類。日常的に用いる旋律は「草譜」。
  • 木辺派は「真引」・「中引」(ちゅうびき)・「舌々」・「真流」(しんりゅう)の4種類。日常的に用いる旋律は「中引」。
  • 佛光寺派は「真譜」・「行譜」・「草譜」・「舌々」の4種類。日常的に最も頻繁に用いる旋律は旋律は「草譜」。
  • 興正派は「墨譜」・「中拍子」・「草譜」・「舌々」の4種類。日常的に多く用いるのは「中拍子」。

脚注

  1. ^ 柏原祐義『正信偈講義』無我山房 series=、大正4、17頁。 
  2. ^ 深見友紀子・遠山和大・赤羽美希「『正信念仏偈』データベースとe ラーニングの構築 : その1 五線譜化へのプロセス」,『京都女子大学研究紀要(宗教・文化研究所)第28号』2015年3月1日

関連項目

外部リンク