「電波停止」発言に反論できないテレビ局の弱み

政府は切り札を握っている

ドクターZ

〔PHOTO〕gettyimages

なぜこれほど強気なのか?

高市早苗総務相の発言が物議を醸している。

高市総務相は8日、「テレビが政治的に公平性を欠いた発言をすれば、電波停止もありうる」と述べ、それに対し野党から「言論弾圧」だと厳しく批判された。

テレビメディアも当然、この発言を問題視した。電波法76条には、「放送法などに違反した場合、一定期間電波を止める」、「従わなければ免許取り消しもありうる」と規定されている。だが、この規定は倫理的なものであり、あくまで各放送局が自主的に規制すべし、と解釈すべきであるというのが彼らの主張である。

しかし、当の高市総務相は、批判をまったく意に介していない。その後の国会でも相変わらず、「電波停止はありうる」という旨の発言を繰り返している。

なぜ、高市総務相はこれほど強気なのか。

背景にあるのは、テレビ各局の隠れた「弱点」。あまりにも安すぎる電波利用料だ。

'08年に河野太郎衆議院議員(現・行革相)が、ブログで各テレビ局が支払っている電波利用料を公表したことがある。河野氏が'15年に入閣した際にそのブログは削除されたが、インターネットアーカイブ上には「記録」が残っている。

公表されたデータによれば、テレビ局の電波利用料負担は、総計で34億4700万円。だが、営業収益は実に3兆1150億8200万円にのぼる。ブログには「電波を独占して上げる収益に対して利用料が千分の一。低すぎませんか」と書かれていた。

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まったくその通りである。高市総務相、ひいては政府は、この低すぎる電波利用料の実態を知っているので、テレビがいくら喚いてもまったく動じない。文句を言うなら、電波利用料を引き上げる。この切り札を政府が握っている限り、最後には黙らせられることを知っているのだ。

 

電波利用料を100倍払ってでも

テレビ各局は、もう本当のことを白状したほうがいい。新聞の軽減税率と同じで、口では威勢の良いことを言っても、その一方で自分だけはいい思いをしたいのだと。

ちなみに、海外の先進各国では、電波利用料は電波オークションによって支払われている。これはテレビ各局が競い合い、最も高値をつけた局が電波を利用できる仕組みだ。日本でも電波オークションによって料金が決まるようになれば、電波利用料は今の100倍以上になるだろう。

もし電波オークションが導入されれば、テレビ各局は良い競争状態になるため、放送法の規定も不要になる。現に、海外では日本の放送法のような規定がない国がほとんどである。

電波利用料を現在の100倍払うから、放送法なんて廃止してくれ。そう言わない限り、テレビ局と政府はまともなガチンコで議論はできない。国民は、もう電波利用料が安すぎるというテレビの虚構に気がついているはずだ。このまま、自分たちの都合の悪いところを隠し、威勢の良いことばかりを言っていると、化けの皮がはがれるのではないか。

テレビは本来、「生の声」を伝えられるのが売りのメディアであるはず。「電波利用料100倍」、「放送法廃止」を主張し、政府と真っ向から戦うべきだろう。

『週刊現代』2016年3月5日号より

 

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