あえてきついこと言わせてもらいます。都会と田舎の格差はますます広がっていくのに、地方のみなさん、ちょっとのんびりしすぎじゃないですか
私はこの3年間、日本全国を旅しています。旅しているといっても、遊んでいるのではありません。投資の大切さやすばらしさをアピールする講演会を開いています。草食投資隊という名前のチームで、長期投資の素晴らしさを伝えるために、全国津々浦々話をしにいっています。コモンズ投信の渋沢会長、セゾン投信の中野社長と私が草食投資隊のメンバーです。
一昨年まではまさに手弁当で回っていました。今年からは東京証券取引所と東証キャラバン(http://plusyou.tse.or.jp/)というキャンペーンに参加して、全国47都道府県を手分けして回っています。もう50回以上開催をしています。
地方に行くごとに、どんどん地方と東京の格差が広がっていくことに気がつきます。シャッター商店街がどんどん広がり、目抜き通りの一等地にもつぶれてしまった店や寂しげな空き地が増えています。
一方で、昔ながらのやり方を変えない非常に頑固なシニアの人たちが商工会議所の指導者として支配しているという構図も全国的にみられる風潮です。衰退する街に、衰退を助長しているような老害たちとそのシニア世代に逆らえない二代目、三代目のジュニアたち、という寒々とした風景が広がっています。
「引退して若手に譲られたらどうでしょうか」
2年前に広島である経済団体が主催のセミナーで講師をしました。そこには上場を希望している会社の経営者たちが集まっていました。そこで私は、成長する企業の条件などについてお話をする機会をいただきました。事前にそこに来られている会社は新産業やITの会社がたくさん来ているということでとても期待していました。
ちょうど映画の「ソーシャルネットワーク」の映画が封切りされる直前の時期です。この映画はfacebookの創業者、ザッカーバーグ氏の創業までのエピソードを面白おかしく映画にしたものです。私は聞いてみました。
「みなさん、今度ソーシャルネットワークの映画が公開されますよね。知っておられる方?」といったら、120名くらいの会場で10名強くらいの人しか手を挙げず非常に驚きました。
昔ながらの建設業とか流通業のひとたち中心のセミナーなら別にそんなに驚きません。しかし、上場希望のIT企業の経営者がたくさんおられるというので、ものすごく驚いたんです。別に見る、見ないはどうでもいいのです。が、世界的に話題になっている映画や本の情報に対する感度が低ければ、最先端のビジネスで勝てるわけがありません。
おそるおそる聞いてみました。facebookのアカウントを持っておられる方はと。すると、同じくらいに10数名の方が手を挙げられました。
もちろん2年前から現在と状況が違います。しかし、ここは上場希望のITの経営者が集まっている場です。30~40代の比較的若い経営者がたくさんいました。老人経営者ではなかったわけです。
私は厳しく言いました。
「みなさん、ここにおられる人たちは残念ながら情報感度が鈍すぎます。引退してより若手に譲られたほうがいいでしょう。このような鈍い経営者が率いていたら社員がかわいそうです。」
そして実際、あれから2年間、広島からIT関連の上場企業は出ていません。
グローバル化は地方も都会も容赦ない
ITやインターネットのおかげで通信回線さえあれば誰でも世界の情報を取ることができる時代になっています。場所によるハンディはあまりないのです。しかし、実際は都市と地方の情報感度の差は開く一方です。
地方は本当にのんびりしています。のんびりしていること事態はぜんぜん悪いことではありません。しかし、グローバル化や大競争時代の突入は地方も都会にも容赦なく襲いかかっており、それは好きか嫌いかというようなレベルの話ではなくて、どの地域の人であれ誰であれ、真剣にどう対応するか必死に考えなければいけない話です。
比較的優位にある都市部の人たちのほうがそのような情報を得ることに非常に敏感です。一方で必死に考えなければいけない状況に置かれている地方の人たちがとてものんびりしています。目に見えて悪くなっている現状に対して不安に思っているけれども、それでものんびりしている状態は変わらず、漠然とした不安を抱えながらも何もしない人が多い気がするのです。
それは地方で講演会をすると痛感します。のんびりとしていて、現在世界で起きていることに対する関心や興味が低く、またそのような情報を取る手段があるけれどもそれを億劫に思っていてアクセスしようとする人が少ないという現状があります。
たまたま広島の話をしましたが、広島だけではなく、それは全国どこでも広がっている世界です。大阪、名古屋はそれでも感度は高いのですが、福岡くらいになってくると危機感がずいぶん減ってきてのんびりムードが増えてきます。
人の流出がとまらない地方
やまもといちろうさんがブログで以下のような話をしています。
ここで書かれているのは、私が日頃感じている地方の現状そのものです。またここで引用されている先のブログでは、お父様のかなりシビアな状況を語っています。
無職の父と、田舎の未来について
(http://d.hatena.ne.jp/sanokazuya0306/20120922/1348323875)
私は昨年、この地域の近くの北見に行きました。オホーツク経済圏としてこの地域をよくしようという人たちもたくさんいました。決してネガティブな話だけではありません。しかし、震災などがあったわけでもないのに、この地域ではひどい場所では1年で5%近く人口が減っていました。おそらくここで書かれている現状が背景になっており、人がこの地域から流出をしているのでしょう。
やまもといちろうさんも「明確な答えを持っているわけではないが」と話しており、私も残念ながら明確な答えを持っていません。
挑戦の足を引っ張る「地方内抵抗勢力」
富山市などは「コンパクトシティ構想」などを実践しており、路面電車を活用しながら公共サービスを活用しやすくしながら街を実質小さくして、効率的な公共サービスを提供していくような試みをしています。このようにコストをどのように落としていくのかという議論をつくしていく必要があります。
一方で、売上をどうあげていくのか、ということについては、よりクリエイティブ・コモンズの蓄積も求められるし、挑戦者を応援していく、という精神が必要です。
しかし、こうした取組みについては足を引っ張る地域内抵抗勢力の力がなお大きい。結果的には挑戦心あふれる若者は地方を絶望して大都市に行ってしまう。気難しい老人か挑戦心の少ない若手が残るというマイナスのふるい分けに止まる兆しがみられません。
この点については大概のことには楽観的な私も、まだまだ都会と地方の本質的な格差は広がる一方なのではないかということを危惧しています。
本件については心の底から建設的な反論や前向きな事例が欲しいです。地方における前向きな取り組み事例があったらどんどん取り上げていきたいと思います。