南彰。インタビューは、沖縄(Zoom)と東京で二度にわたって行われた。写真は、6月29日、東京・日本記者クラブで。(写真映像部・新崎美菜子)
南彰。インタビューは、沖縄(Zoom)と東京で二度にわたって行われた。写真は、6月29日、東京・日本記者クラブで。(写真映像部・新崎美菜子)
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 その記事をウェブ上で最初に目にした時、アメリカ合衆国政府のベトナム戦争の秘密報告「ペンタゴン・ペーパーズ」をワシントン・ポストの編集局長ベン・ブラッドリーが、1971年に社内の反対派を押し切って掲載したときのセリフを思い出した。

 The only way to protect the right to publish - is to publish.

 報道の自由を守るただひとつの方法は、報道することだ。

 これは、スピルバーグが実話をもとに制作した『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』で、トム・ハンクス演ずるブラッドリーが発した言葉だが、琉球新報の南彰(みなみあきら)がはなった、6月17日の記事

〈辺野古沖転覆の死亡船長が過去に性暴力 被害女性が証言 「運動離れて」求めに応じず 沖縄〉

 は、まさに映画のブラッドリーの言葉を体現するような見事なスクープだった。

防衛政策「南西シフト」を 県紙連合で「面」で追う

 元新聞労連委員長、朝日新聞を2023年10月に辞めて沖縄の地方紙に移籍した南彰と連絡をとろうと思ったのは、たまたま目にした佐賀新聞の6月14日(日)の朝刊一面がきっかけだった。

「地方紙安保取材ネットワーク」という九州・沖縄・四国の県紙8紙が共同して取材した「考安全保障 九州・沖縄の現場から」の第一回が一面を埋めつくす形で掲載されていた。

 2022年12月に日本の防衛政策が大きく変わり「敵基地攻撃能力」を持つことになってから3年半。かつてはソ連の侵攻に備えていた自衛隊の武器配置が、九州・沖縄地方に大きく変わった「南西シフト」を、各県ごとではなく、面でとらえるとどういうことになるだろう、という狙いから始まった連載だ。

 その県紙横断の企画の中心にいたのが、南彰だったのだ。

「昨年1月に琉球新報から県紙の皆さんに声がけをして始まりました。『敵基地攻撃能力』を認めるという安保政策の大転換があって進む南西シフトを各県の住民はどう捉えているかを、まずやろうということになったのです」(南彰)

 参加した県紙は他に、長崎新聞、大分合同新聞、熊本日日新聞、宮崎日日新聞、南日本新聞、愛媛新聞と合計8社。他にも西日本新聞や高知新聞がオブザーバーとして参加しているという。

 連載の第一回では、陸上自衛隊の輸送機オスプレイの夜間飛行訓練の地域が地図で示されており、九州全域の「面」に広がっていることが一目でわかるようになっている。

 南とはAERAで昨年3月に対談をして以来だったが、くだんの対談の最後に、南はこんなことを言っていた。

「沖縄は東アジア情勢の影響をもっとも大きくうけている地域で、政治的に様々な思惑の人が動いています。国益にとらわれず国際的視野で見通せるそんな記事を書いてみたい」

 そのとき私はすかさず「台湾有事ですね」とつっこんだのだが、今回の「地方紙安保取材ネットワーク」は、まさに、中国からの脅威に対抗して進む日本の「南西シフト」を地元から捉えるとどうなるかという企画になるようだ。

「7月に掲載される第二弾は、各県の空港における軍用機の発着の統計から始まる予定です」

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