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Synodosに関するエントリは138件あります。 政治社会経済 などが関連タグです。 人気エントリには 『「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS』などがあります。
  • 「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS

    1.はじめに 日経新聞に載った「月曜日のたわわ」の広告は波紋を呼んだ。「月曜日のたわわ」は青年漫画誌の連載漫画であり、その漫画のキャラを使った広告が不適切であるとして批判されたのである。批判の趣旨は、広告で描かれた絵は女子高生を性的に扱っており、新聞の広告として不適切という点にある。これに対し、表現の自由で許される範囲であるという反論がなされ、活発な論争が起きている。 これに類似の論争はこれまでに何度も繰り返されてきた。古くは、人工知能学会表紙事件(2014年)、新しくは宇崎ちゃん献血ポスター事件(2019年)、そして直近では温泉むすめの事件(2020年)が記憶に新しい。 これらの論争では、人々がその表現をどう受け取るかが争点の一つである。しかし、騒動の渦中に人々がその表現をどう受け取っているかが調べられた例は多くはない。本稿ではこれを試みる。この広告に対して批判する意見、容認する意見はど

      「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS
    • 「論理的思考」の落とし穴――フランスからみえる「論理」の多様性/『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏インタビュー - SYNODOS

      「論理的思考」の落とし穴――フランスからみえる「論理」の多様性 『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏インタビュー 社会 「ロジカル・シンキングを身につけよう」「これからの教育に必要なのは論理的に話す・聞く・書く能力である」……論理的に考え、書いたりプレゼンテーションしたりする能力はビジネスや教育分野でもてはやされ、現代では欠かせないスキルとして広くうたわれている。 しかし改めて考えると、「論理的」とはなにか? 「論理的」であることは何に立脚しているのか? どこでも共通する普遍的なものなのか? 『「論理的思考」の社会的構築』を著した渡邉雅子氏は、「「論理的」だと感じる思考や論理の型は、実は文化によって異なっており、それぞれの教育の過程で身につけていくものだ」と指摘している。本稿では、「論理」の多様性やその社会的構築過程、小論文教育から見えるフランス独自の論理のあり方、日本におけるア

        「論理的思考」の落とし穴――フランスからみえる「論理」の多様性/『「論理的思考」の社会的構築』著者、渡邉雅子氏インタビュー - SYNODOS
      • ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり/井出草平 - SYNODOS

        ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり 井出草平 社会学 社会 エグゼクティブ・サマリ 久里浜医療センターの樋口進氏らのグループが発表した論文から、ゲーム障害を過剰診断していく方針が読み取れる。この論文は厚労省・文科省の政策にも影響があると考えられ、ゲーム好きの健康な子どもや若者たちが、精神疾患とレッテルを貼られ精神科病棟に入れられる未来も現実味を帯びてきた。 先日、ゲーム障害の有病率調査が久里浜医療センターによって発表された。【注1】英語論文として発表されたため、まだ一般には知られていないが、専門家の間ではかなり話題になっている。というのも、久里浜医療センターはゲーム障害でない人を診断しようとしているのではないか、と、いわゆる過剰診断を懸念する声が湧き上がっているからである。 本稿では、久里浜医療センターの研究を紹介

          ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり/井出草平 - SYNODOS
        • ロシアによる非合理的な軍事侵攻とプーチンの「世界観」/溝口修平 - SYNODOS

          はじめに 2022年2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻から約2ヶ月が経過し、戦争被害の悲惨さが連日報じられている。この間、さまざまなところで「プーチンの狙いは何か」が議論されてきた。本当の「プーチンの狙い」を知るのはプーチン自身のみであり、どのような議論も結局は推測の域を出ないものになってしまう。しかし、この小論では、次の2つを目標に定めて議論を展開することで、「プーチンの狙い」に接近していきたい。1つ目は、「プーチンの狙い」は合理的には説明できないという点を明らかにすることであり、2つ目は合理性に基づかない決定が今回の悲劇を招いているとすると、何がそのような決定をもたらしていると考えられるかを検討すること、である。 ここでの仮説は「利益」ではなく「価値」の実現こそがプーチンの目指すものではないかということである。これはあくまで仮説に過ぎない。しかし、ロシアの行動を合理的に説明で

            ロシアによる非合理的な軍事侵攻とプーチンの「世界観」/溝口修平 - SYNODOS
          • 兵庫県知事選調査――なぜ斎藤氏は勝利したのか/田中辰雄 - SYNODOS

            兵庫知事選は斎藤元彦氏が返り咲いた。パワハラで県庁職員とマスコミから叩かれつづけ、県の労働組合は辞職要求を出し、兵庫県議会は自民党から共産党まで含めての全会一致で不信任決議を出した。選挙戦中には兵庫県の22人の市長が連名で斎藤氏を再選させるべきではないとの異例の声明を出し、日本ファクトチェックセンターは、パワハラはでっち上げだという斎藤氏の擁護側の主張を根拠なしと断じた。いわば、四面楚歌だったはずで、それを覆しての勝利である。全国レベルでの知見と兵庫県内での知見に大きな差があったと言っても良い。 本稿の目的はその落差を多少なりとも埋め、起こった事態を理解することである。そのために兵庫県民へのアンケート調査を投票直前に行った。結論は以下のとおりである。 (1)斎藤支持者の7割は、斎藤氏のパワハラはマスコミの捏造と考えており、また、8割は今回の辞任劇は斎藤氏が進めた改革に反対する既得権益層が起

              兵庫県知事選調査――なぜ斎藤氏は勝利したのか/田中辰雄 - SYNODOS
            • 入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS

              2022年2月19日に行われた、早稲田大学教育学部一般入試の国語問題(第一問)に、私の著書『フーコーの風向き-近代国家の系譜学』(青土社、2020年)の一部が用いられた(44-51ページ)。 それについて、はじめは何の気なしに問題を解いてみた私は、結果的に以下の問い合わせを早稲田大学入学センターに行うことになった(3月4日。メールの一部を改変なしに引用)。 貴学の教育学部国語の第一問に、私の著書『フーコーの風向き』からの出題がありました。 先日解答例が公表されましたので、それについての質問です。 貴学の解答例 問一 イ 問二 ハ 問三 ニ 問四 ホ 問五 イ 問六 ホ 問七 ニ 問八 ハ 河合塾・代ゼミの解答速報(全く同じ) ホ ハ ニ ホ イ ホ ニ ハ 駿台予備校の解答例 ホ ハ ハ ニ イ ホ ニ ハ この論文全体の論旨、およびフーコーの思想を研究してきた上での私が考える解答例 ハ 

                入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS
              • アサクリ・弥助炎上事件――正義とキャンセルカルチャー/田中辰雄 - SYNODOS

                (1)事件の概要 第一幕:ゲームの炎上 アサクリ・弥助の炎上事件は単なる一ゲームの炎上事件以上の思わぬ広がりを見せており、下手をすると国際問題になる可能性がある。この事件について簡単な調査を行ったので報告する。 まず、多くの人はこの事件のことを知らないと思われるので簡単にいきさつを説明する。事の起こりはアサシンクリードというゲームの予告が炎上したことである。 このゲームはフランスのゲーム会社UBI制作の人気シリーズで、過去のさまざまな場所・時代にアサシンとして乗り込み、同様に過去の時代・場所に乗り込む能力を持った敵の勢力を倒していくゲームである。これまでに、ルネサンス期のイタリア、産業革命期のロンドン、独立戦争時のアメリカなど様々な舞台でのゲームが発売されており、その時代の建物・風俗などが忠実に再現されていることでも話題となった。 このシリーズが日本の戦国時代を舞台としてつくられることにな

                  アサクリ・弥助炎上事件――正義とキャンセルカルチャー/田中辰雄 - SYNODOS
                • 呉座・オープンレター事件の対立軸――キャンセルカルチャーだったのか?/田中辰雄 - SYNODOS

                  1.はじめに 2021年、大学関係者の間で呉座・オープンレター事件が話題になった。本稿はこの事件で何が対立軸だったのかを、人々へのアンケート調査の形で調べることを目的としている。 事件のあらましを簡単に述べる。ベストセラー『応仁の乱』の作者である歴史学者、呉座勇一氏が鍵付きツイッターアカウントで、ある女性研究者を揶揄あるいは誹謗していることが明るみに出て、炎上する。呉座氏は謝罪し、NHKの大河ドラマの歴史考証役を降板した。その後、有識者よりこの事件を一般的な女性差別問題として広く世に問うオープンレターが出され、1300人もの学者らが署名する。半年後に呉座氏の所属機関は予定されていた呉座氏の採用を取り消した。 この事件はいろいろな角度から議論が可能で、すでに多くの記事が書かれている。オープンレターが出るころまでは呉座批判一色であったが、採用取り消しで呉座氏への同情論が出るようになり、最近では

                    呉座・オープンレター事件の対立軸――キャンセルカルチャーだったのか?/田中辰雄 - SYNODOS
                  • 「夕張ショック」と「運用部ショック」(その1):日本はギリシャになれるのか/中里透 - SYNODOS

                    「日本がギリシャにならないために」。そんなフレーズが流行ったことがあった。今から15年ほど前、民主党政権の時のことだ。 その後、政権交代があったこともあってこのフレーズはあまり聞かれなくなったが、長年にわたる地方創生の成果なのか、永田町という町で最近見事に復活したようだ。石破総理は「日本の財政はギリシャよりも悪い」という自身の見立てを国会で問われ、その認識に誤りはないとの見解を改めて表明している(6月9日の参議院決算委員会)。 もっとも、その数日後に石破総理は全国民に2万円の給付を行うことを自民党総裁として党側に指示している(子どもと低所得者についてはさらに2万円上乗せ)。もし破綻寸前の国で一国の総理が消費税1%分に相当する給付を行うことを表明したら、その瞬間に「国債暴落」が起きてもおかしくないから、通常であればこのような指示をすることはためらわれることになるだろう。 そうなると、「ギリシ

                      「夕張ショック」と「運用部ショック」(その1):日本はギリシャになれるのか/中里透 - SYNODOS
                    • 赤いきつねウエブCM炎上事件/田中辰雄 - SYNODOS

                      赤いきつねのウエブCMが炎上した。この炎上の背景を調査したので報告する。 事件のあらましは以下の通りである。このCMはマルちゃんでおなじみの東洋水産が、主力商品の一つである赤いきつねと緑のたぬきの販促につくったウエブCMである。公表後しばらくは何もなかったが。2月16日あたりから炎上が始まった。このウエブCMには女性が登場する赤いきつね版と男性が登場する緑のたぬき版があり、炎上したのは女性版の方である。女性版では家で一人でドラマを見て涙ぐむ女性が赤いきつねを食べ、最後に商品名を口する。 このCMが炎上したのは、女性が性的に扱われているからだというものである。動作としては食べているだけであるが、頬を赤らめ、髪をかき上げ、口をアップで映すところが性的なものを感じさせる、より正確に言えば、男性目線で性的に見えるように描かれているというのが炎上の理由である。Xでの批判者の書き込みを見ると、CMの背

                        赤いきつねウエブCM炎上事件/田中辰雄 - SYNODOS
                      • 「103万円の壁」撤廃で地方財政が破綻?:冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS

                        「103万円の壁」をめぐる議論が引き続き活発に行われている。この問題をめぐっては新たな論点も浮上した。それは基礎控除の引き上げなどによる所得税と住民税の減収によって、都道府県・市町村の一般財源に大幅な減収が生じることに関するものだ。 各県の知事からはこの問題をめぐり相次いで懸念が表明され、中には「このままでは財政破綻」との声も聞かれる。これに対し、国民民主党の玉木代表はSNS上で、減収分は地方交付税で補てんされるという趣旨の説明を行っている(https://x.com/tamakiyuichiro/status/1858810419525415362)。 結論からいうと、両者の見方はいずれも極端で不正確なものだ。後述するように、各都道府県・市町村の収支がきちんと合うよう減収分が補てんされる仕組みがあるから、財政破綻が生じるおそれはない。だが、その調整の仕方は、減収分がそのまま地方交付税で補

                          「103万円の壁」撤廃で地方財政が破綻?:冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS
                        • SYNODOSたわわアンケートが開いたパンドラの函

                          これhttps://synodos.jp/opinion/society/27932/ とかあれhttps://anond.hatelabo.jp/20220425213225の話。 タイトルはちょっとかっこつけたかった。厨二の名残り。 いや、田中辰雄氏が実施したたわわ広告の調査、すごいよね。 ヤンマガも日経も、一つの広告にあれだけ詳細な意識調査をかけることは滅多にないんじゃないろうか。 個人的にかなり面白かったので、ぐだぐだ語ってみたい。しかし、エグい調査やで…。 まず、最近よく無断転載されてるあのグラフ、田中氏の記事でいうと図4。 批判的な意見の者は主に40代~50代の女性に多いことが目立つ。「更年期のヒステリックしわわオバサンが巨乳たわわ美少女に嫉妬」な構図を読み取りたくなるのも分かる。 だがせっかくの調査、他の数字も味わってみよう。様々な決定要因のとこね。 例えば、既婚者。 既婚者

                            SYNODOSたわわアンケートが開いたパンドラの函
                          • 兵庫知事選分析フォローアップ/田中辰雄 - SYNODOS

                            兵庫知事選の有権者について選挙1か月後を追跡調査したので報告する。長いので最初に結論を述べておく。なお、2か月経過後に事態はさらに変化しているが、それこまでは追ってない。1か月後の変化である。 (1)1か月後の時点で斎藤氏と稲村氏の二人の支持率に変化はない。パワハラがあったかどうか、マスコミの捏造かどうかといった点について見解の分断もそのままである。斎藤陣営の選挙違反事件は支持率に影響を与えていない。 (2)斎藤氏の勝利の要因としてはYouTubeの影響が大きく、YouTube動画だけで5%程度支持率を上げた計算になる。注目すべきはYouTubeで政治・社会問題についての動画を初めて見たという人が斎藤氏を支持する傾向があることで、いわば初見効果(初めて見たことによる効果)が働いた可能性がある (3)選挙後に分断状況に変化がないと述べたが、これはマクロのことで、個々人で見ると意見の変化はある

                              兵庫知事選分析フォローアップ/田中辰雄 - SYNODOS
                            • 「効率性」という病――ノーベル賞経済学者が懺悔する、リベラル経済学の罪と罰/芹沢一也 - SYNODOS

                              「効率性」という病――ノーベル賞経済学者が懺悔する、リベラル経済学の罪と罰 芹沢一也 SYNODOS / SYNODOS Future 編集長 経済 「専門家の言うことなんて信用できない」 そう言われたとき、私たちはどう返答すればよいでしょうか。 とくに経済学者は、近年のポピュリズムの台頭の中で、激しい批判の矢面に立たされてきました。 「自由貿易は全員を豊かにする」「移民は経済にプラスだ」「技術革新は素晴らしい」。 彼らが数式とグラフを使ってそう説けば説くほど、現実に職を失い、コミュニティを破壊された人々との溝は深まりました。 そしてその怒りは、こうした経済政策を推進してきた「リベラルなエリート」全体へと向かいました。 もし、リベラリズムがふたたび未来の希望になり得るとすれば、私たちはこの「経済学の傲慢さ」と決別しなければなりません。 今回紹介するのは、2015年にノーベル経済学賞を受賞し

                                「効率性」という病――ノーベル賞経済学者が懺悔する、リベラル経済学の罪と罰/芹沢一也 - SYNODOS
                              • 教科書の中と現実の経済学――7分で読める「信用創造論」/中里透 - SYNODOS

                                今年の共通テストの出題をきっかけに、信用創造についての教科書的な説明の当否がネット上で話題となっています。本源的預金(現金)をもとに貸出が行われ、貸し出されたお金が預金として銀行に戻り、再び貸し出されて(以下繰り返し)、本源的預金の何倍ものお金が市中に出回るようになるという信用創造論の説明は、中学や高校の教科書にも登場して親しみ深いものです。お札の行き来を通して金融のしくみを日常の感覚で自然に理解できるという点では、この説明(しばしば「又貸しモデル」と呼ばれます)に大きな利点があるといえるでしょう。 もっとも、このことは同時にこのモデルの欠点でもあります。というのは、お札(日銀券)という「モノ」の行き来に囚われて、「与信というのは貸し手と借り手の間の債権債務関係をめぐる問題である」という視点がすっかり抜け落ちてしまうからです。ネット上で展開されている議論も、そのためにやや混乱が生じているよ

                                  教科書の中と現実の経済学――7分で読める「信用創造論」/中里透 - SYNODOS
                                • 「旗」を奪還せよ――リベラルが「愛国心」を語らねばならない理由/芹沢一也 - SYNODOS

                                  「旗」を奪還せよ――リベラルが「愛国心」を語らねばならない理由 芹沢一也 SYNODOS / SYNODOS Future 編集長 政治 世界中で「自国第一」を掲げるポピュリストや権威主義的なリーダーが台頭しています。 彼らは声高に「国を守れ」「偉大な国を取り戻せ」と叫び、熱狂的な支持を集めています。 一方で、私たちリベラルはどうでしょうか。 「国家」や「愛国心」という言葉を聞くと、どこか居心地の悪さを感じてしまわないでしょうか。 「それは排外主義につながる危険なものだ」「時代遅れの感情だ」と、距離を置こうとしてはいないでしょうか。 しかし、私たちがそうやって「国家」という概念をゴミ箱に捨てているあいだに、そのゴミ箱から「国家」を拾い上げ、自分たちの都合のいいように磨き上げ、強力な武器として独占してしまったのが、現代の排外主義者たちです。 今回紹介するのは、カリフォルニア大学バークレー校の

                                    「旗」を奪還せよ――リベラルが「愛国心」を語らねばならない理由/芹沢一也 - SYNODOS
                                  • 地政学は現実主義か――存在論的安全保障で考える/渡辺敦子 - SYNODOS

                                    はじめに 地政学ブームが続いている。今年発売されたものだけでも出口治明・立命館アジア大学長の『教養としての地政学入門』(日経B P)、船橋洋一監修の『こども地政学』(バウンド)など、「地政学」をタイトルに掲げた本の勢いはここ数年、止まるところを知らない。変化の激しい現代においてこの5年ほどの間に、「地政学」と言う言葉は、出版・言論界で例外的に不動の地位を築いたようにさえ見える。 だが、地政学とは何なのか。近年刊行されたビジネス書などによると、地政学は、世界の動きを正確に把握するために不可欠である。【注1】それは世界の「見え方」であり、「勝利の方程式」であり、知れば知るほど面白い、現代人必携の知識であるらしい。しかしこれらの本に登場するのは、ナチスドイツと繋がりがあったと言われるカール・ハウスホーファー(1869-1946)、英国帝国主義の理論家ハルフォード・マッキンダー(1861-1947

                                      地政学は現実主義か――存在論的安全保障で考える/渡辺敦子 - SYNODOS
                                    • 教師はなぜ苦しい職業になってしまったのか――給特法の矛盾に迫る/『聖職と労働のあいだ』著者、髙橋哲氏インタビュー - SYNODOS

                                      教師はなぜ苦しい職業になってしまったのか――給特法の矛盾に迫る 『聖職と労働のあいだ』著者、髙橋哲氏インタビュー 教育 教育現場の厳しい状況や教師たちの疲弊が報道されるようになって久しい。また昨今、教師のなり手不足も懸念されている。こうした現状の原因として指摘されるのが、教師の給与に関して定めた「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)である。本記事では新著『聖職と労働のあいだ――「教員の働き方改革」への法理論』で給特法の構造や矛盾、教師の労働条件の変遷等を論じた、埼玉大学の髙橋哲氏(教育法学)に、給特法の概要や問題、進行中の給特法を巡る教員超勤訴訟の論点を中心にお話を伺った。(聞き手・構成 大竹裕章(岩波書店)) 教師の時間外労働を認めない「給特法」 ――まず給特法とは、どういった内容の法律なのでしょうか。 給特法の要点は、公立学校の教員を対象に、労働基準法

                                        教師はなぜ苦しい職業になってしまったのか――給特法の矛盾に迫る/『聖職と労働のあいだ』著者、髙橋哲氏インタビュー - SYNODOS
                                      • 「自然の価値」を論じなおす:関係価値と自然の代替不可能性――環境経済学と環境倫理学の対話/篭橋一輝×吉永明弘 - SYNODOS

                                        シリーズ「環境倫理学のフロンティア」では、環境倫理学の隣接分野の研究者との対話を行っています。今回は「環境経済学×環境倫理学」として、「クリティカル自然資本」をキーワードに研究されている環境経済学者の篭橋一輝さんと対話を行います。篭橋さんは、最近では自然の価値に関する論考を書かれており、これは環境倫理学に親和性のあるものになっています。今回は、これらの内容をふまえて、環境経済学と環境倫理学の観点から、現代における自然の価値について議論していきます。 吉永 篭橋さんは環境経済学がご専門で、南山大学社会倫理研究所で第二種研究員としてお勤めになり、以前(2019年3月)には同研究所で『未来の環境倫理学』の書評会を開いていただきました。このように、以前から環境経済学の観点から環境倫理学の研究を見守っていただいておりましたが、2020年にお書きになった論考「〈関係価値〉は新しい価値カテゴリなのか――

                                          「自然の価値」を論じなおす:関係価値と自然の代替不可能性――環境経済学と環境倫理学の対話/篭橋一輝×吉永明弘 - SYNODOS
                                        • 異次元緩和と財政規律:不思議な「現代財政理論」/中里透 - SYNODOS

                                          日本銀行の「多角的レビュー」には、ひとつの隠れたテーマがある。それは「財政ファイナンス」に関するものだ。この問題をめぐる議論の必要性については、2度にわたり開催された多角的レビューの会場でも複数の参加者から指摘がなされたと記憶しているが、昨年12月に日銀から公表されたレポート(「金融政策の多角的レビュー」)の本編では、必ずしもこの問題について十分な言及がなされていないようだ。 金融政策の運営について政府があれこれ注文をつけることに一定の慎重さが求められるのと同じように、日銀が財政運営について垣根を越えて発言することは控えるべきという判断はあってもおかしくないが(2013年8月の消費増税集中点検会合で「どえらいリスク」を強調して予定通りの増税実施を促した黒田総裁(当時)も、その後は財政運営について控えめの発言を繰り返すようになった)、「財政ファイナンス」をめぐる議論は財政と金融の連携と役割分

                                            異次元緩和と財政規律:不思議な「現代財政理論」/中里透 - SYNODOS
                                          • 「見守り」と「疫学調査」は両立しない――福島の甲状腺検査の構造的問題 稲葉俊哉氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

                                            右足でアクセルを踏みながら、左足でブレーキをかける 東京電力福島第一原子力発電所(以下福島第一原発)事故後、子どもの甲状腺がんの増加を不安に思う福島県民の声が多く上がった。 福島県は、県民の不安を解消する目的(以下、「見守り」と呼ぶ)で、甲状腺がんやその疑いの有無を超音波機器でふるいわける検査(甲状腺がんスクリーニング。以下、甲状腺検査)を開始した。加えて県は、原発事故による放射線被ばくの子どもの甲状腺への影響を調べることを、甲状腺検査の目的として掲げた。 県民健康調査のあり方の議論および結果の分析については、これを検討する専門家会合(「県民健康調査」検討委員会。以下、検討委員会)が設置され、議論が続けられてきた。 今回、2013年から2022年まで、検討委員会の委員を務めた稲葉俊哉氏にお話を伺った。稲葉氏は、広島大学原爆放射線医科学研究所がん分子病態研究分野教授であり、専門は放射線医学、

                                              「見守り」と「疫学調査」は両立しない――福島の甲状腺検査の構造的問題 稲葉俊哉氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
                                            • 黒田日銀総裁バッシングの問題点/柿埜真吾 - SYNODOS

                                              発言を恣意的に切り取った報道 日本銀行の黒田東彦総裁がきさらぎ会での講演【注1】の中で「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことへの批判が広がっている。総裁は庶民の苦しみをわかっていない、総裁は買い物をしたことがあるのかといった怒りの声が上がり、黒田総裁も謝罪に追い込まれた。与野党の政治家からも批判が相次ぎ【注2】、共同通信の世論調査でも黒田総裁を不適任とする回答が6割となった【注3】。黒田総裁は猛烈なバッシングを受けている状況である。 しかし、黒田総裁がどんな文脈で値上げ許容度が高まっていると発言したのか、読者は正確にご存じだろうか。怒りに身を任せる前に、きちんと情報を確認してほしい。 きさらぎ会での黒田総裁の講演は、現在の資源高を乗り越えるには賃金上昇が必要であることを訴えたものである。黒田総裁は、資源高の下で消費者が値上げを受け入れているのだから、賃上げが必要であり、日銀は企

                                                黒田日銀総裁バッシングの問題点/柿埜真吾 - SYNODOS
                                              • ゲーム障害は臨床的に必要な概念なのか?――病理化、スクリーニング、モラルパニック/山根信二×井出草平 - SYNODOS

                                                井出 先日、国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口進氏が、ゲーム障害(原語はgaming disorder)を推定する学術論文を発表しました(以下、樋口2021年論文)【注1】。そこでは、日本の一般人口におけるゲーム障害の推定有病率は、男性7.6%、女性2.5%、全体で5.1%であったという結果が示されています。この論文に関しては、以前にシノドスで分析を書きましたので、そちらを参照いただければと思います(「ゲームプレーヤーを精神疾患にするディストピア――久里浜医療センター「ゲーム障害の有病率5.1%」論文のからくり」)。 本日は、ゲーム学・デジタルゲーム研究がご専門の山根信二先生と、この樋口2021年論文を検討したいと思います。具体的には、これまでゲーム障害という概念を推進してきた学者の論文との整合性を、2人でチェックしていくことになります。彼らの言っていることに矛盾はないのか、樋口20

                                                  ゲーム障害は臨床的に必要な概念なのか?――病理化、スクリーニング、モラルパニック/山根信二×井出草平 - SYNODOS
                                                • 本屋と紙の本の未来/吉永明弘 - SYNODOS

                                                  今なお「本屋」と「紙の本」の時代なのか? 新型コロナウィルスは大学の授業のデジタル化を促進した。リモート授業の間、連絡はWEB上の情報システムを通じて行われ、資料もそこから取得することが一般的になった。そこでは参考となる情報としてWEB上の記事のURLを示すことが多かった。実際、WEB上の記事だけで必要な情報提供ができてしまう。本稿も、関連するWEB上の記事に多くを負っている。今回参照した「紙の本」は一冊しかない。 これまで私は「紙の本」を参照して論文や記事を書いてきた。「紙の本」を教科書として使い、授業の要旨を記した紙を配布し、参考図書を授業やゼミで学生に貸し出してきた。しかしこの先、電子書籍での読書がさらに普及し、ノートも紙ではなく直接PCに書き込む形が一般化したならば、教室からあらゆる形の「紙」が消えるかもしれない。 そのときに消えるのは「紙」だけではない。紙の本を売り買いする「場所

                                                    本屋と紙の本の未来/吉永明弘 - SYNODOS
                                                  • 「シルバー・デモクラシー」の虚偽/吉田徹 - SYNODOS

                                                    「シルバー・デモクラシー(シルバー民主主義)」という言葉が人口に膾炙してから久しい。その象徴として、国政選挙での若年層の低投票率などが取り上げられる。これは選挙報道で各党や各党候補者を平等に扱えず、かといって政策検証などは関心をひかないため、中高年視聴者や読者のための恰好のネタでもあるからだ。ただ、その効果は無視できないと見え、メディア関係者のみならず、大学生などと会話していると、日本の民主主義の問題点として、必ずといっていいほどなされる主張だ。なお、先の2021年衆院選で60代の投票率は71%、対して20代の投票率は36%だった。 そもそも「シルバー・デモクラシー」は何を意味するのか――もっとも早くこの言葉を使ったのは、著名な政治学者だった内田満が1986年に著した『シルバー・デモクラシー 高齢社会の政治学』(有斐閣)だと思われる。ただ、これは長寿社会を迎える日本で、高齢者がいかに政治参

                                                      「シルバー・デモクラシー」の虚偽/吉田徹 - SYNODOS
                                                    • UNSCEAR最終報告・福島の住民への放射線被ばくによる健康影響は見られない――明石眞言氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

                                                      UNSCEAR最終報告・福島の住民への放射線被ばくによる健康影響は見られない――明石眞言氏インタビュー 服部美咲 フリーライター インタビュー・寄稿 「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)は、2021年3月9日、東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「福島第一原発事故」)の影響に関する報告書(以下「2020/2021年報告」とする)を公表した。 UNSCEARは、放射線が人や環境に及ぼす影響についての重要な事項を網羅的に調べ、国連に報告する役割を持つ。科学的な報告のみを行い、他の国際機関や各国などに対する提言や勧告は行わない。(UNSCEARの報告を受けて、IAEAやWHO、ICRPなどの国際機関は各々の分野における提言や勧告をし、ガイドラインを作成する。各国はこれらを参考に政策をつくる。下図参照。) UNSCEARは、2013年に福島第一原発事故の報告書(以下「20

                                                        UNSCEAR最終報告・福島の住民への放射線被ばくによる健康影響は見られない――明石眞言氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
                                                      • 日本人とカルト――橋爪大三郎氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS

                                                        今、政治と宗教の関係が問われている。 政権与党の政治家が、次々と特定の宗教団体との関係を明らかにした。霊感商法などの活動が問題視される団体である。野党は、これを追究していたはずだった。しかし、野党の政治家もまた、同じ宗教団体と関係を持っていたことが次々と明らかになった。政治家を批判する報道が続くものの、何が問題なのかははっきりしない。 政治家が特定の宗教団体と関係することの何が問題なのか。その本質は曖昧なままである。 過度な献金を求めるなど、反社会的な活動を行なう宗教団体をカルトと呼ぶことがある。またカルトは、宗教の初期形態を指すともいう。 宗教は、人間にとって、行動を決める考え方そのものである。 日本人の多くは特定の宗教を信仰していない。それにもかかわらず、なぜカルトは日本で力を持ち続けているのだろうか。 今考えるべきことは、特定の政治家と特定の宗教団体との特定の関係性に留まらない。日本

                                                          日本人とカルト――橋爪大三郎氏インタビュー/服部美咲 - SYNODOS
                                                        • イーロン・マスク買収後のツイッターはどう変化したのか/田中辰雄 - SYNODOS

                                                          イーロン・マスク氏がツイッターを買収し、従業員の大半を解雇したことは世界を驚かした。これによりツイッターは人の手によるツイートの調整、いわゆるキュレーションができなくなり、その結果リベラル系のニュースの流布が減ったと言われる。これは本当だろうか。また本当だとして人々はこの変化をどう思っているのだろうか。簡単な調査をしたので報告する。 結論から言うと、大量解雇の結果、確かにリベラル系のメディアの発信力が低下したと思われる。リベラル系メディアの記事のリツイート数が減る事例があり、また、人々の印象でもリベラル系が好む話題のツイートが流れてこなくなったからである。ツイッター社のキュレーションはリベラル系記事を推していたという巷間のささやきは事実のようである。 このツイート傾向の変化が好ましいか好ましくないかを尋ねると、人々の意見は半分に割れている。当然のことながら、政治的にリベラルの人は好ましくな

                                                            イーロン・マスク買収後のツイッターはどう変化したのか/田中辰雄 - SYNODOS
                                                          • 民主主義がうまくいかない理由――タイ政治では何が起きているのか?/シノドス・オープンキャンパス02 / 外山文子 - SYNODOS

                                                            民主主義がうまくいかない理由――タイ政治では何が起きているのか? シノドス・オープンキャンパス02 / 外山文子 国際 #シノドス・オープンキャンパス はじめに 21世紀に入ってすでに20年以上もの年月が経過しました。しかし、未だに世界における民主主義や人権といった価値の実現までの道のりは険しい状況にあります。米ソ冷戦終結後の1990年代には、「民主主義」や「人権保護」といった欧米の価値が、世界中で実現されると大いに期待されていました。ところが2006年頃から世界的に「民主主義の後退」(recession of democracy)という現象が注目を集めるようになりました。近年では、米国のトランプ大統領、トルコのエルドアン大統領の強権政治、ロシアや中国といった権威主義国家の国際的な政治的影響力の拡大が注目を集めています。 日本と関係の深い東南アジア地域の国々も政治に問題を抱えています。タイ

                                                              民主主義がうまくいかない理由――タイ政治では何が起きているのか?/シノドス・オープンキャンパス02 / 外山文子 - SYNODOS
                                                            • 『「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS』へのコメント

                                                              ブックマークしました ここにツイート内容が記載されます https://b.hatena.ne.jp/URLはspanで囲んでください Twitterで共有

                                                                『「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS』へのコメント
                                                              • ウクライナ戦争と「ナラティブ優勢」をめぐる戦い/川口貴久 - SYNODOS

                                                                はじめに ロシアによるウクライナ全面侵攻から3カ月弱が経過した現在、ウクライナ軍は首都キーウに迫るロシア軍を押し返したものの、東部ドンバス地方や南部では激しい戦いが続いている。陸・海・空・宇宙に次ぐ、第五の戦場「サイバー空間」や第六の戦場「認知空間」【注1】でも、ウクライナとロシアの戦いが繰り広げられている。ロシアの「情報安全保障」という枠組みの中で「サイバー空間」「認知空間」が峻別されているかどうかは別として、これまでのところ認知空間での戦いはウクライナや米欧が明らかに優位に立つ【注2】。 日本でも情報戦への関心が高まっている。防衛省が2022年4月1日、防衛政策局調査課に「グローバル戦略情報官」を新設し、偽情報や対外発信の戦略的意図を分析するという。 そこで本稿はウクライナ戦争をもとに、情報戦・認知戦で用いられる情報の一種である「ナラティブ」および「ナラティブ優勢(narrative

                                                                  ウクライナ戦争と「ナラティブ優勢」をめぐる戦い/川口貴久 - SYNODOS
                                                                • 「夕張ショック」と「運用部ショック」(その2):トラス・ショックをどのようにとらえるか/中里透 - SYNODOS

                                                                  石破総理の国会答弁をきっかけに、「日本の財政はギリシャより悪いのか」ということが話題になっています。前回はこのことについて、これまでの経緯とデータをもとに考察を行いました。 それに引き続いて今回は、日本において債券市場に動揺が広がり金利が急騰した3つの事例を振り返り、「トラス・ショックをどのようにとらえるか」ということについて考えてみたいと思います(それに先立って、2万円の給付金の根拠などをめぐる議論についてもふれています)。トラス・ショックというと「また増税の話か」と思われるかもしれませんが、ここでは減税や歳出増に異を唱える際の「お題目」としてトラス・ショックを利用するスタンスとは一線を画し、異なる視点から一連の経過をながめています。 なお、前回の記事については下記ページにて自由にご覧いただくことができます。必要に応じご利用ください。 「夕張ショック」と「運用部ショック」(その1):日本

                                                                    「夕張ショック」と「運用部ショック」(その2):トラス・ショックをどのようにとらえるか/中里透 - SYNODOS
                                                                  • 日銀はなぜ利上げをしないのか――マイナス金利について考える/中里透 - SYNODOS

                                                                    MMT(現代貨幣理論)はしばしば「トンデモ経済学」と評されるが、MMTを批判する側にもユニークな「トンデモ経済学」がある。その典型例のひとつは「利上げをすると国債暴落が起き、日銀のバランスシートが債務超過になる(なので、日銀は利上げができない)」というものだ。 一般に利上げをすると債券価格は下落するから(利回りは上昇)、利上げをすると国債価格に下押しの圧力が働くというところまでは正しい。だが、そこからさらに進んで、国債価格が下落して日銀のバランスシートが債務超過になるという話になると、話が途端にあやしくなる。そのために利上げができないという話になると、なおさらだ。 もっとも、日銀の「債務超過」は「国債暴落」や「ハイパーインフレ」と同様に訴求力のあるパワーワードなので、この話はさまざまな場面で繰り返し登場する。それが世の中の関心を引くためのネタの範囲にとどまっている限りにおいては面白いが、実

                                                                      日銀はなぜ利上げをしないのか――マイナス金利について考える/中里透 - SYNODOS
                                                                    • 今こそ、HSPを科学的根拠にもとづいて理解する/『HSPブームの功罪を問う』著者、飯村周平氏インタビュー - SYNODOS

                                                                      今こそ、HSPを科学的根拠にもとづいて理解する 『HSPブームの功罪を問う』著者、飯村周平氏インタビュー 社会 HSP(敏感すぎる人)という言葉は、人々の生きづらさを巧みに表したことで共感をよび、広く知られつつある。だが、本来は心理的特性を表すこの考え方が独り歩きし、根拠に乏しい発信が多くを占めている現状がある。それだけでなく、心理的特性であるHSPを(障害や疾患のように)「治療」すると謳う医療、HSPに関する資格ビジネスやマルチ商法、さらにはカルト団体の参入まで、ブームの渦中にあるHSPは多くの問題を抱えている。 こうした事態を注視する気鋭の心理学者、飯村周平氏は「HSPがブームとして『消費』されている現状にメスを入れていく必要がある」と語る。本稿では飯村氏の新著『HSPブームの功罪を問う』の内容を中心に、ブームの実情やその「罪」の側面、子育てや教育への影響、メディアの責任、研究者として

                                                                        今こそ、HSPを科学的根拠にもとづいて理解する/『HSPブームの功罪を問う』著者、飯村周平氏インタビュー - SYNODOS
                                                                      • 第二次安倍政権はなぜ「独裁」と呼ばれたのか――戦後日本の恩顧主義の変容/大澤傑 - SYNODOS

                                                                        はじめに【注1】 2022年7月8日、参議院議員選挙の遊説中に安倍晋三元首相が凶弾に斃れた。現代日本政治を揺るがす大事件であった。安倍が担った政権は、憲政史上最長の在職期間を誇ったことからも明らかなように、安定的であった一方、2012年から始まった第二次政権は森友・加計問題などが表出したように、その強権的かつ縁故主義・恩顧主義的な統治手法が一部で「独裁」と呼ばれた。 折しも、昨今の国際社会では民主主義の後退と権威主義の台頭が叫ばれている。これに対し、日本の政治体制の権威主義化(独裁化)を指摘する声もなくはない【注2】。実際、3500人を超える専門家らが民主主義に関する多様なデータを収集・分析する多様な民主主義研究所(V-dem Institute)の自由民主主義の指標(市民の自由、法の支配、権力分立の度合いなどからなる)は第二次安倍政権以降低下した【注3】。 民主主義や権威主義といった統治

                                                                          第二次安倍政権はなぜ「独裁」と呼ばれたのか――戦後日本の恩顧主義の変容/大澤傑 - SYNODOS
                                                                        • 疫学調査として破綻している――福島の甲状腺検査の意義を問う/津金昌一郎氏インタビュー / 服部美咲 - SYNODOS

                                                                          東京電力福島第一原子力発電所事故(以下福島第一原発事故)の後、住民の不安の声を受け、福島県は、2011年10月から原発事故当時18歳以下だった全県民を対象に、甲状腺がんの超音波スクリーニング検査(以下「甲状腺検査」)を実施している。 甲状腺検査の目的のひとつとして、原発事故による放射線被ばくによる甲状腺への影響(甲状腺がんの増加の有無)を調べることが挙げられている。原発事故による放射線被ばくで子どもの甲状腺がんの発生が増えるかどうかについては、福島県民のみならず、国内外の強い関心を集めている。福島第一原発事故の歴史的評価にも大きく関わる問題でもある。 ところが、検査を継続し、その結果を解析したとしても、放射線被ばくと甲状腺がんの発生率との因果関係を知ることはできないとの指摘が、県の設置する専門家会合(「県民健康調査」検討委員会)の委員からなされた。検査の目的のひとつが達成できないとすれば、

                                                                            疫学調査として破綻している――福島の甲状腺検査の意義を問う/津金昌一郎氏インタビュー / 服部美咲 - SYNODOS
                                                                          • 「リベラル」と「レフト」の不幸な結婚を終わらせよう――リベラリズムを再建するための絶縁状/芹沢一也 - SYNODOS

                                                                            「リベラル」と「レフト」の不幸な結婚を終わらせよう――リベラリズムを再建するための絶縁状 芹沢一也 SYNODOS / SYNODOS Future 編集長 政治 「リベラル」という言葉が、これほどまでに手垢にまみれ、憎悪の対象となってしまったのはなぜでしょうか。 それは、私たちが本来守るべき「自由」と、それとは似て非なる「急進的な変革(レフト)」とを、あまりにも長い間、曖昧に混同させてきたからではないでしょうか。 世間一般の目には、リベラルも左翼も、ひとまとめに「サヨク」として映っています。 キャンセルカルチャーで他人の口を封じる人びと、資本主義の破壊を叫ぶ人びと、あるいは過去の歴史を断罪する人びと。 そうした「レフト」の過激な振る舞いが炎上するたびに、なぜか「リベラル」という看板全体が泥を被り、本来のリベラリストまでが信頼を失っていく。 この「連帯責任」の悪循環を断ち切らなくてはなりま

                                                                              「リベラル」と「レフト」の不幸な結婚を終わらせよう――リベラリズムを再建するための絶縁状/芹沢一也 - SYNODOS
                                                                            • 2024年衆議院選挙、自民党敗北の一因――強い保守層の離脱/田中辰雄 - SYNODOS

                                                                              今回の衆議院選では自民党が大幅に議席を減らし、過半数を割り込んだ。政権与党が選挙に敗れる原因は、与党の政策の失敗か大きな政治的スキャンダルであることが通例である。今回も例外ではなく、物価上昇と賃金の停滞など自民党の政策面での失敗と、不記載問題(裏金問題)への批判が敗北の原因であることは衆目の一致するところであろう。 さらに、今回はそれに加えて、総選挙の直前に総裁選があり自民党の総裁が僅差で高市氏ではなく石破氏になったという事件があった。このとき、高市氏が敗れたことに失望して自民党支持を止めるという声がネットに流れたことがある。 本稿の課題は有権者への事前のアンケート調査で、これら敗北の要因の定量評価を行うことにある。結論を先に述べておくと、政策の失敗、不記載問題、高市落選への失望の3つの要因はいずれも働いている。このうちこれまでにない要因として注目すべきは、高市落選への失望効果であろう。

                                                                                2024年衆議院選挙、自民党敗北の一因――強い保守層の離脱/田中辰雄 - SYNODOS
                                                                              • マイナス金利 ―― 冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS

                                                                                このところ、マイナス金利の解除をめぐる議論が活発に行われている。マイナス金利を続けながら、円安の行き過ぎを懸念して為替介入をするというのは平仄が合わないから、日銀当座預金に対するマイナスの付利を適切な形で見直すというのはおかしなことではない。 もっとも、「急いては事を仕損ずる」という場合もある。2000年8月に行われたゼロ金利政策の解除がその典型例だ。物価の情勢がまだ十分に見通せない中、デフレ懸念の払拭が展望できるようになったとしてゼロ金利を解除したものの、ITバブル崩壊の影響もあって景気が悪化。物価下落の圧力が高まったとして2001年2月に公定歩合の引き下げが行われ、3月には量的緩和という形で事実上のゼロ金利政策に復帰せざるを得なくなった。 この点からは、景気と物価の状況を慎重に見極めて、誤りのない判断をしていくことが必要になる。海外景気に下振れのリスクがあることを踏まえれば、なおさらだ

                                                                                  マイナス金利 ―― 冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS
                                                                                • 「法外なもの」とは何か――『相模原障害者殺傷事件』を読む/仲正昌樹 - SYNODOS

                                                                                  ちょうど5年前(2016年7月26日)、相模原の知的障害者施設で起こった殺傷事件は当時大きな話題になった。19人もの人が命を奪われたこと、犠牲者たちが知的障害者であったこと、容疑者が元職員であったこと、容疑者の言動が不可解であり、彼自身の責任能力が怪しく思われること。少なくとも四重の意味でショッキングな出来事であり、障害者福祉のあり方、個人による大量殺戮の可能性、陰謀論的な妄想と刑事責任能力という三つの大きな社会的課題が絡んでいた。 これまでこの事件について多くの書籍や論考が刊行され、雑誌の特集や連載が組まれてきた。本稿で紹介・論評する『相模原障害者殺傷事件』(西角純志、明石書店、2021)は、著者自身がかつて4年間この施設に勤務した経験があり、かつ、ドイツ語圏を中心とする社会思想史の研究者でもあるという特殊な立場にあり、その両面性を生かして論述を進めているところに特徴がある。昨年3月の判

                                                                                    「法外なもの」とは何か――『相模原障害者殺傷事件』を読む/仲正昌樹 - SYNODOS

                                                                                  新着記事