歴史の授業で習った「参勤交代」を覚えているだろうか。江戸時代、徳川幕府は諸大名を1年ごとに江戸と領地を往復させた。歴史家の安藤優一郎さんは「豪華絢爛な大名行列をイメージする人は多いが、武士たちはお殿様の排泄物や風呂、漬物石まで運んだ」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、安藤優一郎『江戸の旅行の裏事情』(朝日新書)の一部を再編集したものです。 ■「単なる大名行列ではない」参勤交代の舞台裏 プライベートで旅行を楽しんでいた庶民とは違い、江戸の幕臣にせよ各藩の藩士にせよ、主君を持つ武士にはプライベートな旅行は事実上無理だった。隠居の身ならばともかく、家督を継いでいる身で、庶民のように一カ月にも及ぶ長期旅行など、夢のまた夢である。 しかし、公務となれば話は別だった。 参勤交代への御供を命じられた藩士は国元から江戸、あるいは江戸から国元への旅に加わることになる。その日数は江戸からの距離

